荏原中延・チャリティー寄席 その1(三遊亭じゃんけん「やかん」)

じゃんけん/やかん
萬橘  / 時そば
(仲入り)
コント青年団
兼好  / 親子酒

品川区・荏原文化センターで毎年あるチャリティー寄席。数えて26回目だそうな。
荏原法人会主催の「税を考える週間」事業である。

会の存在は以前から知っていたが、行くのは初めて。
夜席は出かけづらいのであるが、ここは地元みたいなものなので。
以前は笑点メンバーをよく呼んでいたはず。
笑点メンバーもいいが、今年は円楽党の二大スター、兼好・萬橘の両師匠である。これは行かないと。
ちなみに行きたかった昨年は、入船亭扇遊、瀧川鯉昇のご両名。
還暦過ぎの師匠たちから、今年はずいぶんと若くなったな。
チャリティーだが、入場料は千円指定。

荏原中延駅から北へ延びる商店街、サンモールえばらを夕暮れどき歩いていたら、通りに立ち止まっているひとが3人。
見たら、着物姿の三遊亭萬橘師だ。他のふたりは、コント青年団のご両名。
目的地がわからないのか、スマホをいじっている。
会場はもうじき。ご案内してさしあげようかと思ったのだが、やがて歩き出す御一同。

千円を募金箱に投入して入場する。その後、同じ正面入口から入ってくる御一同。
それほどの入りではない。3~4割程度。商店街のあちこちにポスター貼られていたし、宣伝が不足していたとは思わないが。
東京かわら版に掲載するような種類の会でもないのだが、今年は出ていた。
チケット完売も珍しくない兼好師の出る会にしては余裕がある。
430人入れるホールが広すぎるみたい。
もらったプログラムを見ると、最初の40分は、役所関係のご挨拶や、税金に関する子供たちのお絵かきの授賞式やらだそうだ。
うわ。私の苦手なやつ。
無料の会なら我慢するのだが、チャリティーとはいえ千円払ってるとイヤだ。
時間がずいぶん長いので、もしかしたら二席ずつ? と期待したらこういう落とし穴。
仕方ないので席だけ取り、同じ建物に入っている図書館にしばし避難する。
席に戻ってくると、5分前倒しで一連のプログラムが終わったところであった。
来年来る場合は、この時間帯を狙おう。ビッグネームでも混雑しないのがわかったし。
会を真面目に運営している人たちには本当、申しわけない。
でも私は落語が聴きたいだけ。余計なものが付くことで、落語の楽しい感想が削がれてしまうことだってある。
ちなみに落語の後にも、チャリティー贈呈式とかいろいろあったのだが、抜け出してきた。
抽選会も放棄して出たのだけど、これは呼びとめられて番号訊いてくれた。ありがとう。でも外れです。

前座のじゃんけんさんから。三遊亭兼好師の二番弟子。
兼好門下の兼太郎さん(二ツ目)はよく聴くし、三番弟子のしゅりけんさんもこのところ立て続けに遭遇しているが、この人は初めて。
この会場ではなにも言ってなかったが、来年二ツ目昇進だそうな。
お客さんたちさすが、ちゃんと税金払っていそうな方々ですとつかみOK。

じゃんけんという名前を付けられたが、他にも名前の候補があって、3つから選べと師匠から言われた。
その候補が「兼べん」「兼にょう」。そんなもの、じゃんけんを選ぶしかないだろうと。
兄弟子、兼太郎さんも同じネタを振っていたなと思い出す。兼太郎さんは元「けん玉」。

本編は、まったくスキのない「やかん」。非常に達者であり、聴いてリラックスできるという嬉しい一席。
二三、聴いたことのないクスグリがあった。
「縮れっ毛の高島田。ゆうにゆいにくい」ではなくて、「夏の剣道着。めん・どう・くさい」。
もう1か所そんなのがあったが忘れた。
兼好門下はすでに名門の予感。まだ弟子増えるんじゃないか。
勝手に弟子の名前も考えましょう。「番けん」「酔けん」「万馬けん」「けん物」「けん察」。
じゃんけんさんがあまりにも上手いので、後ろのおばさんが「上手いわねー。さすが三遊亭」って変な褒め方をしていた。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。