噺家のかみさんが「紙入れ」たあシャレになりませんな。
ふだん買わない週刊文春を買ってきたら、ちゃんと「志らくの『紙入れ』」とタイトルが付いていた。
落語のわかっている人が記事を書くとは大したもんです。
紙入れと違うのは、このおかみさん、娘がふたりいること。学校が休みで本当によかったね。
志らく嫌いで、たびたび当ブログで本気で非難している私だが、この事件を「ざまあみろ」と単純に眺めることはできない。
別に同情もしない。志らくの弟子への向き合い方に問題と遠因があると思うから。
でも、面白うてやがて悲しくなる話。
不満を持った別の弟子がリークしたんじゃないのかなと思う。そうなら私の日頃の想像通り、実に薄っぺらい師弟関係。
ネットの情報だけだと、奔放な元アイドル妻の酒井莉加が、若い男と抱き合ったという程度かと思った。
それ自体不謹慎ではあるが、大騒ぎするほどのことじゃないのかなと。
でも文春読むと、師匠の留守中にしっかり弟子のうおるたーが泊まっていることや、車内で行為に及んでいることが描写されている。
すごい取材力。
この立川うおるたーは噺家休業中となっているが、自分の番組で時間を割いて説明した志らくは、「元弟子」と言っていた。放送の直前に破門した?
時間的には、文春の本誌を読まずに生放送に挑んだのだと思う。
それにしても文春砲はすごい。落語界にそんな大砲が用いられたのは円楽師以来? これはフライデーだけど。
マスコミで売れたかったと常日頃喋っている志らくには、一流芸能人扱いされたという、とっておきのご褒美と言えなくもない。皮肉抜きで。
不倫妻のほうも、まさか文春がやってくるとは思っていなかっただろう。それだけ予想外に旦那がビッグになったのだ。
今回の一連の騒動をさておいても、2016年にも弟子と不倫しているというのはなんというか。
非常にお股の緩い方なんですねとしか言えない。
こうしたことを踏まえて、志らくがもうひとりかすがいとなる子供を作ろうとして、不妊治療に挑んだという時系列になる。
以前破門を食らった(それ自体は当たり前だが)弟子は、「らく葉」らしい。
らく葉に送った、酒井莉加の手紙まで誌面には公開されている。大事に取っておくほうもすごいが。
奔放な嫁に翻弄されるが、叱りつけてやめさせるのではなく、年老いていく自分に惚れて欲しい旦那。
そしてふたりを取り巻く師弟関係の破綻スパイラル。
壮大な純文学のテーマだな。文学ならその後に希望や再生があって欲しいが、現実世界において再生は果たしてあるのか。
この事件に掻き立てられる興味、どこに起因するのか自分でもよくわからない。
ひとつには、落語の世界のおかみさんというものに対する不動のイメージが大きく裏切られた事件だからだろう。
弟子を育て上げ面倒を見る、黒門町夫人や目白夫人のイメージは強い。必ずしも良妻賢母なのではなく、別の意味で強烈な人たちだったことは知られるが。
でも不倫はしなかったはず。
現代も、弟子の多い師匠のおかみさんは大変だ。馬風師とか、円丈師とか。
もちろん、志らく妻は元アイドル。感性も大きく違う。そもそも、落語界のおかみさん教育なんて受けてないし。
志らくと歳が離れているということは、弟子と近いということだ。それでも25歳の弟子より一回り上だが。
まあ、そんな環境ならではの事件。
愛妻を弟子と一切関わらせなかった師匠、談志の真似は志らくはしないのであるな。
しかしな。日頃の弟子に対する志らくの粘着を見ていると、これと妻の火遊びとは表裏一体のものという気がする。
粘着質で傲慢で、しかも男尊女卑が隠せないふたまわり年上の旦那について、金を持ってくるだけの男と認識するようになったとして、無理もない。
いや、無理もないは言い過ぎだが、そんな夫婦の関係性も背景にありそうだ。
師匠のほうは破門の権利を権力に弟子を支配する。かみさんのこともやはり支配する。
だがかみさんも、常にこの呪縛から逃れたいと思う。男と仕事の両方について、
ならどうするか。自ら旦那の弟子を支配することで、呪縛から逃れたつもりになる。その方法が、股を開くこと。
案外、こんなところに人間心理の基本が隠されているのかもしれないな。
こんな妻のために、売れっ子になってますます金を稼がざるを得なくなっている志らく。とんだピエロではないか。
そのせっかく獲得した冠番組も、すぐにどうこうではないにしても今後どうなるやら。
「嫁さんを守る」とその番組で宣伝し、一部に絶賛されているが、夫婦関係を考えたときに別にプラスにはならないと思う。不倫妻にとっては、まだ支配され続けるのだという絶望にしかならないかも。
落語界というところはもとより、それほどスキャンダラスな場所ではない。
最近の一番の騒動は、林家九蔵襲名断念問題ぐらい。
小朝師、円楽師ぐらいマスコミで売れるようになって初めて、落語界と別の要素が入り込んでくる。
噺家も実のところかなり離婚しているのだが、別に話題にもならない。
落語協会会長、柳亭市馬師も離婚してひとり暮らしらしいが、まるで話題にはならない。
林家彦いち師も、講談師の神田茜先生と離婚したが、これも同様。
志らくだって、学生結婚した糟糠の妻と離婚しているバツイチである。
寄席は通常営業だが、噺家は相変わらず、高座で志らくのことは口にしないんじゃないかな。
「喋られないでおくのが武士の情け」なんてことではない。円楽不倫なら、弟子までこれを喋る。
身内でも斬るのが落語界。
だが、日ごろから黙殺している噺家のことは、ネタにもできない。
すみません。上品な当ブログにはあるまじき、ただスキャンダラスな内容で本日は終ってしまいました。
詳しいことは今週号の週刊文春でドウゾ。