真田小僧 | 空治 |
千早ふる | 弁橋 |
瞳ナナ | |
時うどん | 希光 |
洗濯物 | 夏丸 |
ナオユキ | |
強情灸 | 傳枝 |
かぼちゃ屋 | 遊馬 |
新山真理 | |
漫談 | 寿輔 |
(仲入り) | |
山内一豊の妻・出世の馬揃え | 紫 |
ナイツ | |
鍋草履 | 歌春 |
ぼやき | 可楽 |
ボンボンブラザース | |
粗忽長屋 | 柳橋 |
(仲入り) | |
アロハマンダラーズ |
どうしても寄席に行きたいわけでもなかったが、14日、仕事のほうが先に切れてしまった。
じっと仕事を待っているのもなんなので、雨の中出かけることにする。
こういうときに寄席に行くと、楽しんでいる間にだいたい新たな仕事がやってくるのがいつものパターン。今回はなにも来ない。
鈴本や亀戸などと悩み、ひとつ浅草まで出向いてみようと思う。
読売新聞のタダ券でもって、東武スカイツリーラインでやってくる年寄りも少なそうだと思い。これは本当にそうだった。
先月コロナ明けに出向いた新宿末広亭もそうだが、浅草もなんと2016年以来のごぶさた。
その前も来てはいるけども。
夜席主任の柳家蝠丸師が気になるが、昼にしよう。浅草は臨時に昼夜入れ替え制である。
落語協会に比べ頻度が落ちる(それはいつも気にはしているが)芸術協会の寄席に、コロナ明けに続けて出向く私。
浅草中席は企画もので、トリは「アロハマンダラーズ」。「にゅうおいらんず」と並ぶ芸協の芸人バンドである。
この手の大喜利企画、私はまったく観たことがない。一度観ておきたいというのもあり。
芸協の誇る色物、ナイツ、ナオユキも顔付けされている。
東京かわら版を出して、200円引きの2,800円。
テケツのおばさんによると、かわら版、4月号5月号でも割り引いでくれるそうである。タダ券でないヘビーユーザー(そんな人いるのかね)はぜひどうぞ。
雨もあるし、新宿シアターモリエールでクラスター感染があったことも響いたのか、お客は40人程度とさみしい。
このぐらいが落ち着くともいえる。
寄席はどこでもそうだが、市松模様に着席。
浅草は売店も開いているし、食べ物持ち込みも禁じられていないが、それは時節柄。場内飲食も極力控えたい。入場前にお昼を済ませて、チョコレートだけローソンで買っていくことにする。
幕が開くと、いつも浅草お茶の間寄席で観ている舞台が登場。当たり前だけど変な感覚。
「心酔」の額は、現代風に左から読んで酔心でも構わないそうだ。
しかしこの日の寄席。なんだか、なんともいえぬ複雑な感想を持って帰ってきた。
楽しんだのだ。
だが、この日の高座を楽しめてしまった自分自身に、戸惑いを禁じ得ない。
5年ぐらい前の私だったら、ちょっと怒り、その後しばらく落ち込んだ、そんな内容だったかもしれない。
だが、現在の私の感性が、こんなのも寄席らしくて、しかも芸協らしくていいなんてことも言っている。
寄席の楽しみ方が上達したといっていいのか? 本当にそうか?
私は寄席を軽んじ気味で、さらに芸協をもっと軽んじ気味の評論家、広瀬和生氏に対してあまり好意を持っていない。
その広瀬氏がこの寄席にたまたま出くわしたら、やっぱり芸協の寄席はと言うことだろう。
広瀬氏の理解できなさそうな寄席で楽しんでいることは、落語ファンとして上等なのか?
今日は漫談だらけ。
浅草はもともと漫談の多い寄席である。持っていった東京かわら版7月号にも、堀井憲一郎氏の独自調査で、浅草の漫談率の高さが明らかにされている。
私自身は漫談の少ない池袋によく行くが、だからといって寄席の漫談は嫌いではない。三遊亭圓歌師なんてレジェンドもいるし。
だがこの日は色物の漫談家として、ナオユキ、それから新山真理の各先生が顔付けされている。
ナオユキはスタンダップコメディという触れ込みだが、まあ漫談の一種。
そんな顔付けなのに、仲入りの寿輔師がなんで漫談するの? 鍋草履を掛けた歌春師も、大部分は漫談である。
これがわからない。お二人とも、池袋なら噺を掛けるはずなのだが。
まあ、もともと漫談メインの師匠方だし、普段どおりの仕事をしているのだからいいとしよう。
しかし。なんじゃこりゃという演者が。ヒザ前の三笑亭可楽師。
ずいぶん久し振りにお見掛けするが、御年83歳。
ひとつ年下の元気なバカおじいちゃん、林家木久扇師と比べると格段に弱っていて、前座さんに手を引いてもらって高座に上がる。
可楽師、マクラで小声でブツブツ。昔からこういう人なのは私だって知っている。
年取った自分に対するボヤキ節。先代の可楽も晩年はひどかったがと。
私は落語は上手くないが、他にもたくさん出るからそっちを楽しみにだって。入れ替え制のヒザ前なんですが。
客が楽しんでないからと(単に客が少ないだけだと思うが)、そう断言して途中で止めてしまう。
いったん頭を下げて、さすがにこんなに早く下りたら悪いと思ったのか、たもとに忍ばせておいた篠笛を出してちょっと演奏。
昔は俺も笛吹きでずいぶん稼いだんだと。
それでも非常に早い上がり。計ってないが感覚的に5分ぐらいの高座だったか。
まさにナイツの、浅草師匠ネタがひとつ生まれた瞬間に出くわした。
この高座に怒らず、むしろ芸人の晩年のドキュメンタリーを観たと思って嬉しくなっている私。
その私の感想に対して、5年前の私が、怒りをぶつけている。
可楽師、この芝居はアロハマンダラーズ関連で顔付けされているのであり、もうしばらく、寄席の出番はないだろう。
職場放棄のような高座を務めていれば、いかにベテランといえ、もう呼ばれることもなかろう。
まあ、昔から寄席というところには、こんなことがあるのだ。
しかし、話題のポテサラ暴走老人に怒っている人ならば、職場放棄暴走噺家に対しても、一応怒らないといけないのではないか。
面白かったのでよし、として100%認めるのは、理屈っぽい私には無理だ。
続きます。
なお、明日は批判100%です。
アロハマンダラーズ(撮影は許可済み)