亀戸梅屋敷寄席19(上・三遊亭楽㐂「権助魚」)

今日の記事は「撮って出し」です。今日行った寄席の模様を、今日アップ。
久々の亀戸梅屋敷寄席へ。2月に2回来て以来だ。
ここ自体は、3月に「亀戸梅屋敷落語会」という好の助師主催の会で来ているが。
コロナ前後も出掛けてはいるが、意外なところがご無沙汰になる。
主任は三遊亭好楽師。先日のしのばず寄席を断念したので、こちらに切り替える。
好楽師も2月以来の久々。
狭い亀戸も楽屋との仕切りを開いて、席をまばらに配置している。
楽屋は、受付の前にパーテーションで簡単に作っている。そんなところに長くいられるわけはないので、直前に来てすぐ帰る格好のようだ。
それだけ気を遣っているのに、なんとつ離れする程度のスタート。
最終的には20人近く入っていたか。

 

寄合酒 楽太
権助魚 楽㐂
お露新三郎 圓福
(仲入り)
蚊いくさ 朝橘
稲川 好楽

 

前座および受付は楽太さん。
この人は、3月に両国で聴いた。おかげさまで、「三遊亭楽太」で検索すると、その記事が1ページ目にヒットする。
メクリには「開口一番」とある。もう入って半年になるのだからメクリぐらいありそうだが、コロナの影響?
ちなみに亀戸梅屋敷寄席は前座も顔付けされるのだが、当初の予定ではしゅりけんさんであった。
前座が代わっても、別に代演扱いではない。
円楽党、新しい人が入ってこないのか、楽べえ、しゅりけん、楽太の3人の前座で回しているらしい。
大変そうだが、でも毎日のように高座に上がっていれば上達が早いだろう。
楽太さんから諸注意。諸注意の中に「待ってました禁止」も含まれる。
そして寄合酒。
所属団体を問わず前座がやるのは聴いたことがない。登場人物が多くて、難しいんじゃないかと思う。
まあ、円楽党だってそんなに前座がやったりしないだろうが。
楽太さん、なかなかいい調子。少なくとも半年間で相当に上達しているわけだ。
そして円楽党の前座はみなそうだが、企まないのがいい。
一か所聴いたことのないくだり。
乾物屋のおっかさんだったか、若い衆のひとりが「昔女優さんだったと聞きましたが、さすがにお綺麗で」とヨイショをして煮豆をもらうという。

二ツ目枠は楽㐂(ラッキー)さん。この人は1年半ぶり。
「㐂」の字(喜の異体)を持った噺家はこの人だけだったのだが、落語協会で「㐂いち」、それから今度の新真打に「㐂三郎」が誕生するので、この機会に登録しました。
あと、「反対俥」の「俥」も登録してある。
相変わらず楽しい高座を務める人だが、出身地である府中のマクラのあたりでちょっとうつらうつらしてしまった。
目を覚ますと権助が旦那について出かけている。権助魚だ。
もっとも噺の導入部で、旦那の浮気について触れ、「まあ、うちの師匠もやってるしな」と言っていたのはかすかに覚えている。師匠は円楽師。
先に円楽党の企まない前座を褒めたところだが、知らない楽㐂さんの前座時代はどうだったのか。さぞ企む前座だったのではないかと想像。
権助の声を、完全に旦那やおかみさんと変えてくる。
落語では意外と珍しい手法だが、別に人物を描き分けるために使っているわけではないのでいいのでは。喬太郎師みたいな手法。
寝ぼけて聴いていて偉そうなことは言えないのだが、いろいろ工夫があって楽しい一席。
旦那は権助を撒くため、「たばこ入れを忘れた」「紙入れを忘れた」と言って取りに帰そうとするのだが、おかみさんが一枚上。
旦那はたばこなんて吸わないし、紙入れも、かみさんが普段と違うものを用意している。

権助が出ていったのが午後2時、戻ってきたのが2時25分。
落語のお約束自体をギャグにしてしまう、この噺の最大のウケどころ。
1年前、当時二ツ目の鳳笑さんが、魚屋のシーンをカットして落語の時間的連続性を取っ払ってしまったため、ここでまったくウケないという一席を聴いたことがある。
古典落語は、せっかくの工夫をして蹴られることがあるから面白いが、それはともかく。
楽㐂さん、ここで「あそこにある大時計」を見てごらんとおかみさんに言わせ、自分も下手にある時計を見ていた。チェックのためだろう。
それはいいのだけど、どうせなら時間も実際のものに合わせればよかったのに。ちなみに、楽㐂さんが時計を見ていたのが午後2時5分ぐらい。
開演時間の午後1時半に出たことにすれば、「今午後2時5分だよ」で爆笑だと思う。
もちろんそんなことしなくてもウケてたけども。楽しい一席。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

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