国立演芸場9(上・昔昔亭喜太郎「個室らくご」)

饅頭こわい 幸吾
個室らくご 喜太郎
初天神 枝太郎
四段目 遊雀
ナナ
カラオケ病院 桃太郎

 

またしても撮って出し。今日行ってきた落語を夕刻にアップ。
自粛中は毎日のネタに困ったものだが、自粛が終わったらネタに困らないのかというと、そうでもない。
無理に毎日アップするより、質を高めようと思ってはいますが。

日曜日だが、withコロナの寄席はどこも閑散としている様子。
国立のチケットが、当日でも余裕であることは確認してある。
ネットでは買わずに、東京かわら版を持参するのはいつものパターン。200円引いてもらって1,400円。
私が聴きたいのは2部で、主任は昔昔亭桃太郎師匠。
あと、三遊亭遊雀師が目当て。
コロナ対策で、国立演芸場の定席は二部制になった。この短い寄席、私は結構好きかもしれない。そんなわけで先月に続いてやってくる。
コロナ明け、芸協の寄席は三度目だ。芸協はハマるまで時間が掛かるが、ハマると結構通うかも。

ちょっと時間が早いので、ついでに外で仕事することにした。
昨日の記事では、国立へは通常永田町から行くと書いたが、今日は新橋から歩く。
日曜の虎ノ門のタリーズは、空いてていいもんだ。
だがそのガラガラの席の、私の隣に婆さんが腰を下ろしたので驚愕。このご時世にカフェトナラーか。

仕事を切り上げて歩きだすとにわか雨。結構強くて、消費者庁の正面の街路樹で雨宿りしたりして。
小雨になったのでまた歩きだすが、三宅坂に着いた頃はびしょぬれ。
国立劇場のほうから来たのは初めて。階段の上の楽屋口は、コロナ対策で開け放してある。楽屋の奥側から、エレベーターを降りたらしい桃太郎師が歩いてくるのを見た。

入場後、演芸場からウォータークーラーも撤去されていることに気付いた。売店はもとより開いていない。
なので再度出してもらって飲み物を買いに外へ。演芸場の正面にも自販機はあるが、劇場の裏手の自販機へ行ってみる。再度楽屋を除くと、今度は神棚に向かった遊雀師が、柏手を打っていた。

立川幸吾「饅頭こわい」

お客さんは30人ぐらいか。このご時世ではまあまあ入っているほうらしい。
前座は立川幸吾さん。
6月に末広亭で聴いた前座さん。その際は「オチケンっぽい」という感想。
だが今回はずいぶんプロっぽく見えた。
いったんプロっぽく映ると、オチケンぽさはたちどころに達者だという感想に代わるから面白い。ある程度古い前座なので、急に上手くなったわけじゃないのだろうが。
ただし饅頭こわいをサゲまで10分でやるのはキツかったようだ。
まだ、怖いもののない鉄公の自慢のくだりで、楽屋から「時間だよ」というお知らせらしく、柝がチョンと軽く鳴っていた。
そこからちゃんと、2分ぐらいでサゲまで持っていったから立派だ。

ちなみに、落語協会のほうの寄席では、前座の「まんこわ」は私は聴いたことがないように思う。
冒頭部分が聞いたことのないタイプで、でも上方落語で聞いたかもしれない型。
アニイの誕生日なのでワアワアやりたいのだが、親方から「仕事に響くから酒は出すな」と言われているので飲めない。
そこに留が遅れて飛び込んできて、湯屋の前で蛇に睨みつけられて怖い思いをしたと。そこから「好きと怖い」に入る自然な流れだ。
国立の10分の枠でやるなら、カットすべきだったのだろうけど。

昔昔亭喜太郎「個室らくご」

喜太郎さんは若手大喜利のメンバーだから、お客はみんなこの人知ってると思う。
でも、そんなことは一切言わず、知名度ゼロの噺家ですというフリをする。立派なものだ。
黒紋付なのだが、着物は流れ星をあしらった派手なもの。

いつもの、議員秘書の使いっ走りをしていたマクラから、今日は日曜ですし、新作やりたいんですと喜太郎さん。
毎日新作というわけでもないのだな。古典のアレンジも上手い人なのは知っている。
笑点特大号で出していた「個室らくご」。多分代表作なんだろう。
キャッチに捕まった客が、個室で落語を聴かせてもらうという、シンプルな噺。素人がこういう落語を書いて落語協会の台本募集に出しても、落ちること間違いなし。
もちろんプロが書くのはいいのである。
ヨネスケ師も「落語禁止法」という新作でもって、風俗に見立てた落語の提供というシーンは描いていた。
「今日初めてのコを付けますよ」と言われるのだが、初めてとはつまり初高座の前座。そんなものは嬉しくない。
笑点メンバーの名前も書いてあるのだが、看板なので誰も本当には出てこない。
昇太師匠はテレビの収録なので来れない。好楽師匠を呼んでくれというと、「今日は家の掃除でお休み」。
実に軽い噺だが、10分でしっかりまとめているので見事です。
喜太郎さんは芸協カデンツァのメンバーだけど、新作派とは組まないのかなと思う。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

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