長津田・みどり花形寄席(上・柳家花いち「荒茶」)

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すみません、お待たせしてます。今日聴いた落語を今日出します。

先日、真打昇進決定の柳家花いちさんの情報を調べていて、ツイッターでこの会の存在を知った。
千円とのことで、早速予約。
新しい落語会の第1回とのこと。この時節柄、新しい会とは見上げたものではないですか。
青葉区在住の花いちさんと、緑区在住の瀧川鯉丸さんとの二人会だそうで。
花いちさんて横浜在住だったのか。新幹線を新横浜で下りると言っていたのはマクラで聴いたが、多摩方面の会が多いので、なんとなくそちらかなと思っていた。
結婚してから横浜に住んでいるのだろうか。冷房のないマンションに。
鯉丸さんは1年ぶり。

長津田駅前の、新しい立派なみどりアートホールが会場。長津田は案外と都内からも近いし、交通費も安い。
ホールは立派だが、このタワマンも備えた複合施設を除くと、長津田駅前は実に殺風景である。
乗り換え以外でこの駅で下りるのは初めて。
食事するところも非常に少ないので、駅ナカでしぶそば。それでも、わかめの天ぷら入りのおそばが絶品でしたが。
山を切り開いて作った、田園都市線の明るい各駅とはまるで違う風情。

 

荒茶 花いち
武助馬 鯉丸
(仲入り)
片棒 鯉丸
花いち 徂徠豆腐

 

落語会のお客は60人くらいか。このご時世では決して悪くない。開場前からみなさん待っていた様子だ。
客席が弧を描いており、どこからでも高座が見やすいのはいい。
幕が開くと、まず花いちさんが登場。
「みどり花形寄席」とあるメクリを自分でめくる。
メクリの字は寄席文字ではなくて、習字の得意な人が楷書で書いている。

花いちさん、真打が決まったことは言わない。
芸名が柳家花いち、本名が錦織圭ですといつもの調子。師匠花緑には、オランウータンの赤ちゃんと呼ばれています。
そして自虐マクラ。
免疫つけるためによく笑ってください。自分のために。
あと、免疫つけるためにいいのは、寝ることです。
寝るのは構いませんが、途中で帰らないでください。帰ると私の免疫が落ちますだって。
花いちさんは自虐マクラの天才だ。あるいは天災か、バカボンか。
客の敬意を損なわず、変な空気にもしない。ウケだけ持っていく。私の大嫌いな「笑いの強要」とはまるで違う空気が漂う。
あまり真似しないほうがよさそうだけど。

地方の会でウケなかったとき、主催者がフォローしようと花いちさんに、「今日だけすみません、いつもはもっとウケるんですが」。
楽しい自虐はまだまだ続く。あと学校寄席。

さて開口一番の一席は、荒茶。
たぶん、初めてのこの会の、客層を探るのに適当な演目なんだと思う。
花いちさんの荒茶は一度聴いたことがある。
やり過ぎない、シンプルで楽しい一席。やり過ぎても面白い人だけど。
加藤清正のヒゲに浸かったお茶など、気持ち悪くなりそうなシーンはあっさりやるのだ。
花いちさんの期待どおりの反応だった様子。さすが。
頼りなさそうな人だが、客を手のひらで転がしているのだ。

次に鯉丸さん。
今までも花いちアニさんと共演したかったのだが、なかなか機会がありませんでしたと。協会違うからね。
花いちさんは男前でいいですねと。
私なんか、一般家庭に呼ばれた際、集まった子供にブタ呼ばわりされましたと。
そのお座敷は、コロナで外出できない90歳のおばあちゃんを元気づけようと企画されたもの。
おばあちゃんは喜んでくれたのだが、その日は日曜。
夕方5時半になるとそわそわ。結局、落語を止めておばあちゃんと一緒に笑点を視る羽目になる鯉丸さん。

本編は武助馬。師匠・鯉昇ゆずりか。
冒頭、「片岡仁左衛門」が出てこない鯉丸さん。旦那のセリフでもって「自分の師匠忘れるやつがあるか」とごまかす。
ごまかせてなかったけども、アドリブ利いて立派だ。
急に眠気に襲われ、馬の足をやっているくだりから、うつらうつらしてしまった。
ギャグに走らず楽しい武助馬だったように思います。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

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