国立演芸場11 その1(春風亭昇輔「万病円」)

 

今日も撮って出しですみません。特許庁前のファミマで、スマホで書いております。
今月は仕事サボり気味でいけない。一応仕事はあるのだが、今日も出掛ける。
国立演芸場では、5月に昇進した新真打の披露目を遅れて開催中。
瀧川鯉八師の披露目が観たい。13日の金曜日だが、めでたい。

だが、その意に反して神田連雀亭へ。
ワンコイン寄席は、トリが浪曲の玉川太福さん。あと、立川笑二さん。
短い時間のほうがいろいろいいだろうと。
だが髪切って、さらに飯食ってたのでギリギリ。大丈夫かなと思いつつ現地に行ってみたら、札止め。
定員19人だからな。
まあ、のんびり食事しながら、こんな可能性も十分あると思っていた。太福さんは人気だし。
なので特段の挫折感はなく、気持ちを切り替えて国立へ向かう。
ただ、行く方法は考えてなかった。
連雀亭から国立は、Google Mapで見ると徒歩53分ということなので、皇居沿いに歩くことにする。
いい天気で、いい散歩だった。平日昼間から皇居ジョガーの多いこと。
そして皇居沿いといっても、近代美術館から先は一度も通ったことのない道であった。
東京に知らないところ、まだまだ無数にあるものだ。

鯉八師の披露目は、あと二日あるのだが、そちらは揃ってすでにSOLD OUT。昇太師、小遊三師がそれぞれ出るのが大きいみたい。
いっぽうこの日は、芸協副会長の柳橋師すら、休演で夢太朗師に交代している。
師匠・鯉昇も出ず、代わりに兄弟子・鯉朝師が顔付け。
地味だなあ。
でも、国立に駒治師の披露目に来たときも地味だったなと。その地味な披露目がとてもよかった。
それにこの日は、寄席に帰ってきた春風亭鯉枝師が出ている。

今日も国立劇場側から入ってくる。階段の上、開きっぱなしの演芸場の楽屋に、特に面白いことはなし。
いつものように東京かわら番を出して200円引いてもらう。
11月から国立は、2部制でなく通常興業に戻っている。ただし時間は短め。
定価は2,000円という、また特殊な額。本来の興業だと2,200円である。

真田小僧(下)どっと鯉
万病円昇輔
ディス・イズ・ア・ペン鯉枝
マグナム小林
目黒のさんま夢太朗
(仲入り)
口上
街角のあの娘鯉朝
ボンボンブラザース
長崎鯉八

 

前座はどっと鯉さん。この人は初めて。
なんと、真田小僧を「下」から語り出す。つまり、金坊がお父っつぁんをまんまと引っかけて去っていき、おかみさんが帰ってきた後の場面から。
こんな構成、初めて聴いた。前例はきっとあるのだろうが、そうそうやる機会はないだろう。
でも10分の枠ではいい方法だ。
感心したのだが、小一時間歩いてきて、しかも満腹。寝てしまいました。
口調はよかったと思う。

続いて春風亭昇輔さん。瀧川一門だが、この人は鯉朝師の弟子である。

マクラを振らず、湯屋の番台。金返せと言う町人。
あ、万病円じゃないか。また珍しい噺を持ってるものだ。
私は、珍品好きの柳家花飛さんから聴いて以来。
これが見事な一席だった。
二ツ目に昇進してそれほど経っていない昇輔さん。物足りない部分はもちろんある。
だが全体の構成としてすばらしいね。
これで、悪い侍に貫禄があったら言うことないのだが、おっつけそちらは付いてくるだろう。
侍の相手をする、湯屋、まんじゅう屋の小僧、布団屋、薬屋がみなすばらしい。
相手が不良とはいえ侍だからしっかり口調はへりくだっているのだが、常に虎視眈々と逆襲を狙う人物ばかり。
最後にまとめて逆襲するのではなく、小出しに逆襲していくところがこの噺の気持ちのよさ。
逆襲される侍も、そんなにひどい奴というわけでもない。
ちなみに、花飛さんから聴いた万病円には布団屋のくだりはなかった気がする。
昇輔さんの語りを聴いて、この珍しめの噺が前座噺だったら楽しいだろうなと思った。それだけ、スタンダードなよさに溢れている。
布団屋を抜いたとして登場人物5人。相手が次々代わるけども、「一目上がり」よりやりやすいと思うのだ。
私はいつも、寄席の前座噺のバラエティがもっと増えないかなと思っている。

増えてほしい噺の候補。

  • だくだく
  • 六尺棒
  • 猫の皿
  • 洒落番頭
  • 茶代

茶代ってなにって? 喬太郎師の復刻落語です。

鯉昇一門初の孫弟子昇輔さん、楽しみな人。

続きます。

 

 

作成者: でっち定吉

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