「こんちはご隠居さん、忙しいですか」
「おや八っつぁん。ちょっと考えごとをしてたんだがちょうどよかった。お前さんの意見を聞かせておくれ。まあお上がり」
「考えごとね。やっぱり小林麻耶はバイデンを批判したから消されたのかって」
「そんなこと信じてるやつ、いないだろう。もうちょっと古い話なんだがな」
「古い話っていうと、『柳家小ごとは本当に大師匠小三治によって破門されたのか』とか」
「そこまで中途半端に古くないし、マイナーなネタでもない。ホリエだよ」
「水割りをください」
「それは堀江淳だな。また古いな、メモリーグラス」
「じゃ、しのぶ」
「ザ・テレビ演芸でもない」
「堀江しのぶと聞いて、テレビ演芸思い出す人も相当珍しいね」
「いいだろ。まだ南部虎弾がいた頃のダチョウ倶楽部が毎週勝ち抜いたの見てたんだよ。あとピンクの電話とかな」
「懐かしいね」
「テレビ演芸はいいんだ。お前さんももちろんわかってるだろうが、堀江貴文な」
「餃子テロね」
「そうそう、さすが八っつぁんだ。そういうキャッチフレーズを考えてたんだ。いいね、餃子テロ」
「キャッチフレーズなら、もうホリエモンってのが定着してるでしょ」
「それが気に入らないんだ。なんであんな極悪非道のクソ男が、モンなんて愛称で呼ばれるんだよ。くまモンに謝れ」
「隠居、口が悪いね。でもまあそうだね、愛称で呼ぶと、なんとなくいいイメージになるもんね。前科一犯だけど」
「それでな、新たな愛称を考えてやろうと思ってな。さっきから頭をひねっていたのさ」
「新たな愛称ね。あ、つまりあれですね、いっとき流行ったでしょ、暴走族を珍走団って呼ぼうって運動が」
「そうそう。社会の敵は、まず呼び方から変えようということだ」
「瀧川鯉斗も噺家なんだから、珍走団の団長だったって名乗ったほうがいいね」
「そうだね。さてお前さんの『餃子テロ』も悪くないんだが、「バイトテロ」と違って、現象すべてをひっくるめた愛称とは言えないのが難点だ。「旧ホリエモン、新餃子テロ」が成り立つみたいに、すべてを言い切れる概念にしたいわけだ」
「なるほど。そうだね、ホリエモンってのはもともとドラえもんから来てるわけですよね」
「そう。国民的マンガに申しわけなくてならないね」
「どうみてもドラえもんじゃないね。いじめっ子だからジャイアンだね。だからホリイアン」
「なんか妙にカッコよくないか。『ホリーアン』とか歌いそうじゃないか」
「じゃ、スネ夫だね、動物虐待してたような陰湿な奴だから。ホネ夫」
「あたしは好きだけどね、ホネ夫。あいにく、誰のことかまったくわからない愛称だから無理だな」
「じゃあ、ドラえもんじゃなくてアンパンマンでどうですかね。ばいきんまんにあやかって、ほりきんまん」
「それもあたしは好きだがね。ばいきんまんは実のところ子供たちに人気だからな。だが、ホリエがバイキンみたいなやつだという着眼点はいいね」
「自分自身がコロナみたいな奴ですからね。じゃ、新型ホリエウィルス」
「語呂だけはいいな」
「じゃ、ホロナウィルス」
「引っ掛かりがもう少し欲しい」
「なかなか難しいね。隠居の考えたのを教えてくださいよ」
「そうだね、やっぱりホリエモンに引っ掛けようと思って考えたぞ。『ホリエ豚』」
「ほりえとんってことね。うめえじゃねえすか。豚っぼいし」
「ただな、ホエー豚みたいでな。チーズを作る際に出てくる乳清を飼料にして育てた豚な」
「ホエー豚は健康そうですもんね。本人はもっとジャンクでカロリー高めな感じですよね。マヨネーズと背脂を混ぜ合わせたみたいな」
「再度考えてみるか・・・ホリエゾンってどうだい」
「・・・フランス語ですか?」
「そうか、おしゃれっぽいのも嫌味でいいかもな。ホリエ損だ。奴にかかわったら、餃子屋みたいに人生を損するから」
「いいじゃねえすか。ホリエゾン。それでいきましょうや」
「ありがとう八っつぁん。では宣言するぞ。堀江貴文を今後『ホリエゾン』と呼ぶことをここに宣言する」
「パチパチ。ところで今日は、いったいなにかと思ったら小噺だったんだね。小噺のときは、タイトルに【小噺】とかつけるのが今までのパターンじゃねえすか」
「つけると個別記事のアクセスが落ちるんだよ。ハナから読んでもらえないんだね」
「そうなんですか。じゃ、ここまで読んできて怒ってる人結構いるね。それにしても、寄席のレビューを出したらアクセスが落ちて、小噺出したらアクセスが落ちるんでしょ。いったいなんの記事のときにアクセス多いんすか」
「そうだな、立川流の批判だね」
「結局、人の悪口なんだ」