スタジオフォー巣ごもり寄席(上・「ヒルハラ」反対)

4日のスタジオフォー四の日寄席に行こうかと思っていたが、週末から忙しくなる予感。
忙しくならなかったら困るのだけど。
ともかく予定を繰り上げ、同じスタジオフォーで毎週水曜日開催される、巣ごもり寄席に行ってみることにする。
二ツ目3人が長講を出すこの会、前から存在を認識してはいるが、参加するのは初めて。
今回はすごい。NHK新人落語大賞で活躍した、入船亭小辰、柳亭市弥のふたりも顔付け。
日本を代表する二ツ目の、3分の1が出るわけである。
これは楽しみです。

しかし、極めて残念なことに、期待外れに終わったのであった。
トップバッター小辰さんは、別に悪くはなかった。先日の池袋で聴いた「替り目」ほど感動したわけではないにせよ。
だがNHK本選において、優勝した笑福亭羽光さんに並ぶ評価を(私が)した市弥さんに、今日はがっくり。
TVに出した落語一発で評価を爆上げした人を、久々に聴きにいったら、期待ほどでもなかったなという。
たまたま悪かったのでなく、私の打ち立てる落語の基準に合わないみたいだ。
期待外れの会の模様を書くのは、あまり愉快じゃない。
いっそ、地獄のような会ならそれはそれでネタになるが、そこまでじゃない。そんな会、そうそう経験したくはないが。
二ツ目の長講というのはつくづく難しいものだなと。
20分でも長く感じる(本人も、客も)という人だって中にはいる。市弥さんはスプリンターであって、長距離(長時間)に弱いのだろうか。

まったくの余談だが、巣鴨駅から地蔵通りを歩いていたら、「よお、久しぶり」と年配の男にななめ横から声を掛けられた。声掛けられた側が無視しづらい、絶妙の角度とタイミングでもって。
こちらも対抗しなければ。
じっくり相手の顔を見て指を差し「あなたのことを知らない」と言ったら、釈明もせずそそくさと去っていった。
相手をしたら、どうなるのだろう。
そんな巣鴨競馬場の昼下がり。

スタジオフォーは今日もなかなか盛況だ。
私の入館直後に、小辰さんが会場入り。
巣ごもり寄席は1,000円で、1時間半仲入り休憩なし。
神田連雀亭の昼席と同額だ。内容も同等と思う。連雀亭のほうは4人出るが。
客の婆さんがコロナについて、「手洗ってマスクしてれば大丈夫よお」と大きな声で発言していた。
巣鴨らしいな。個人の見解に口は出さない。
お年寄りは、家族に行くなと言われるみたいだ。言う側の気持ちもわかるし、来る年寄りの気持ちもわかる。
ともかくここは、高座にアクリル板も立てて、きちんと対策している。入場時に体温も測るし。

トップバッターは小辰さん。
NHK新人落語大賞の話題は一切出さなかった。これは市弥さんも。
持ち時間の長い中、小辰さんはマクラを10分ぐらい振っていた。
平日昼から集まった客を見回し、どうしてこれだけ集まるのかと、私の最も嫌いなことをいう。
最終的には、皆さんは有給休暇を取ってらっしゃるんですねと言っていた。
実際はほとんどが無職だと思うけどね。

参考記事:昼間の客を揶揄するダメ芸人

仕事待ち状態で、急遽来ている私、いささかイヤな思いをしました。
四の日寄席の、古今亭の真打たちは、誰ひとりこんなことは言わないなあと。
そもそも平日昼間に来てくれている客を馬鹿にするネタ聴いて、喜ぶ客がこの世にいるのかあ? 少なくとも、この日この席にいたとも思えない。
そして演者のほう、いったいなにを目的に語ってるのだ?
こんなもの、演芸界に不要だろう。平日昼間の客を揶揄するマクラに、「ヒルハラ」という概念を与えたい。
概念には、言葉を与えると強くなる。
「ネタ帳ドレミファドン」「スタンプカード芸」などとともに、今後当ブログでは勝手に使うことにする。

小辰さん、あとは結婚式の司会のマクラ。
新郎新婦がともに居合道の人だったという。もっともらしいが明らかにフィクション。
空手の人同士が結婚したという、彦いち師のマクラを改作したみたい。
これはなかなか面白かった。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

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