2020M-1グランプリ(上)

毎年恒例、素人のM-1グランプリ振り返りです。落語のほうだって素人ですがね。
漫才なんてわかってるぜという目線で語りたくなる誘惑を抑えつつ、書き進めていく。

落語には特に関心はないが、毎年1回覗きにきてくださる方もいるでしょうか。
ありがとうございます。

今年は妙に気合が入っていて、仕事の締切りあるのに敗者復活戦から全部見てしまった。復活戦にも点数付けてるので、後で取り上げるかもしれない。
ただ落語に絡まないネタを延々と引っ張ることもしづらいので、一応は長くても上中下3回でやめる予定です。

マヂカルラブリー優勝だったが、ちょっとなと。
ちなみに、決勝に残った3組のうち、最終決戦の結果まで直前予想していた。
私の予想では、「おいでやすこが 5」「見取り図 2」「マヂカルラブリー 0」であった。
実際は、「おいでやすこが 2」「見取り図 2」「マヂカルラブリー 3」。
このあたりは追って取り上げます。

立川志らくは今年で審査員を辞めるなんて言っていたが、どう考えても、状況的にもともと今年で最後だったろう。
テレビに出続けたいという願望を常日頃語っているくせに、カッコ付けてるな。
上沼恵美子は実に穏やかだった。今年はいろいろあったから。
この人は本当に、自ら辞めそうだ。

本選の最初から。

《インディアンス》丁稚採点90点(7位)/結果:7位

敗者復活の勝者は、予想通りインディアンス。
3組投票できるので、私はインディアンスとぺこぱ(3位)、それから自分では3位の点数を付けた「キュウ」に投票したのだが、キュウはなんと13位(15組中)でありました。
そこまでズレるもんかね?

インディアンスは、敗者復活と同じネタでやや残念。昨年の和牛もそうだったな。
急遽舞台に上がる現在の形だと、こうなってしまうのでは。
敗者復活戦に出るということは、ネタを一本余計に持つということだが、そうもいかないのだろう。
敗者復活では、アドリブ満載に見せかけた用意周到なネタ作りではないかと思ったのだが、同じネタを聴くとやはりアドリブではなかった。
ちゃんと、イクラちゃんに持っていくためのフリの間違いというものがある。
敗者復活の場では「寒くて痛い」とか、本当のアドリブもあったけど。
巨人師匠は、敗者復活戦を観ていないらしく(当たり前だけど)、ツッコミの言い間違いを本当に間違えたと思っていたようだ。プロを誤認させるのだから、しっかり作ってあるわけだ。
基準として90点にしてみた。二度目でも面白かったが。

インディアンス、今までツッコミ(キム)があまり仕事をしていないイメージがあったのだが、今回は実にしっかり、いい働き。
いきなり敗者復活組が当たってびっくりなんてことをいう人もいたが、なにが不思議なのか。
最初に出るのも5番目に出るのも、確率は同じである。

《東京ホテイソン》丁稚採点90点(7位)/結果:10位

このふたりのやり取りはものすごく面白い。
けれども、間違えたクイズの答えが、正解にまったく掛かっていないのがなあ。最下位は仕方ないのでは。
消しゴムとアンミカと、類似点はどこにある?
この人たち、回文とか言葉遊びものも全部このパターン。
なぞかけ流行りの世の中。少しはちゃんと掛けたネタを作って欲しい。

《ニューヨーク》丁稚採点93点(2位)/結果:5位

キングオブコントでも悪ぶっていた彼ら、現代において倫理的にアウトな、微妙な軽犯罪を畳み込んでいくのは実に面白かった。
自分たちの悪いイメージを踏まえたうえで、世の常識をもうひとひねりしてみせるのは見事だな。
松ちゃんが「腹立つけど面白かった」と言っていたのはなんとなくわかる気がする。
私は、嫌いな芸人(噺家でも漫才師でもだ)を客観的に見ようなんて努力は、するだけ無意味だといつも思っている。好きになれない時点で、ネタを楽しむのは難しい。
今後も、この見解を撤回する気はない。
だが唯一、ニューヨークだけは、芸人としてあまり好きじゃなくても全然関係ないなと思った。
爆笑。ツッコミでもしっかり笑いを取っているし。
「つまらない話」で最大限のウケを取るところに、先日のNHK新人落語大賞「ペラペラ王国」を思い出す。
時事ネタの帝王、ナイツ塙が「新しい時事ネタを見た」と語っていたのは最大級の褒め言葉であろう。
ただし最終決戦に残ったとしても、優勝しそうな気が、この時点ですでにしないのも確かだった。

《見取り図》丁稚採点91点(5位)/結果:予選3位⇒準優勝

客観的にも主観的にも、優勝候補と思っていた見取り図。
彼らの漫才は、完全にツッコミに照準が合わせてあるのが面白い。ボケ・ツッコミでなく種まきと収穫。
非常に面白かったのにもかかわらず、4組目で場があったまってきたためか、私的にはなんとなく点数が伸びない。
不満など一切ないのに、不思議。まあ、決勝に行ったが。
それにしても、ネタの仕込みと回収の作り込み方はさすが。序盤の「無意識にやってしまいました」を最後に回収するあたり、教科書に載っていそうな方法論だが、なんとも見事。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

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