GWの寄席、結局中止

今日もちょっと末広亭の続きものを中断しまして。

国と都の休業要請に押し切られ、5月1日~11日の開催は結局中止。残念無念。
寄席の心意気は存分に見せつけたが、まあ仕方ないのかなと。
勝手に寄席をもてはやしておいて、勝手にずっこけている世間の人も多いと思われる。継続発表から4日後に過ぎないからイメージはよくない。
だが、抵抗したことで4月の6日間営業できたのだ。実績は立派に残した。それはいえる。

都の関係者が芸術協会に混乱を謝罪したという。顔を立てたわけだ。
もちろん落語協会にも、各寄席にも謝罪したのだろう。
この職員の謝罪、恐らく誰も顧みないと思うので、私だけ勝手に敬意を表しておきたく思います。
芸協、および歩調を揃えている落語協会の公式を読むと、そもそもの「無観客開催要請」にヘソを曲げたように思える。
無観客とは、ファンの立場からは「配信」のことと理解していたのだが、寄席の認識としてはそうでないらしい。無観客で落語だけ喋れという意味のようで。
このたび、無観客開催要請ではなく、改めての「休業要請」があったわけだ。一段重くなったのである。
このあたりで矛を収めておこうという、業界の計算もあるのだろう。

毎日聴いてるニッポン放送のラジオは、水曜のビバリー昼ズは春風亭昇太師がパーソナリティ。落語芸術協会会長。
昨日はそのあと、また間が悪いことに、ナイツ・ザ・ラジオショーの2時からゲストに昇太師が登場。
時間的には、すでに寄席の中止は決定していたのだろう。ラジオショーの1時台も、寄席や落語協会市馬会長などと密に連絡を取っていたに違いない。
どちらの番組でも、寄席中止の話も(そもそもの寄席継続の話も)せず、楽しく明るく振る舞う昇太師。泣けてくるね。
2人の弟子の、末広亭の披露目が飛んでしまったのだが、その話にも注意深く触れない。ナイツもやりづらかったろうが、不自然さはおくびにも見せない。
「昇吾はバカ」などの話題で盛り上がっていた。みんなプロだ、偉い。

寄席中止まで、あと2日あります。末広亭の通しを楽しんだばかりの私は行かないが、寄席デビューしたい人はぜひこの機会に。
せっかく書いたこちらの記事もご参考に。
池袋は落語協会の披露目だ。29は燕三、30は柳枝。

寄席4場に加えて、5月は永谷演芸場も休止である。
永谷の公式に、落語芸術協会と協議の上と書かれている。あれ、両国寄席を開催する円楽党とも協議したと思うけど。
両国寄席は毎月1~15日なのに、うち11日できないという。
円楽党の亀戸梅屋敷寄席も休止。

神田連雀亭もたぶんやめるだろうな。
都内はたぶん全滅で、連休中に開くのは神奈川県の横浜にぎわい座ぐらいだ。

5月上席のトリが飛んだのが桂文治師。当然怒っている。

毎年ある5月の上方枠は、文治師自ら取り仕切っていたのか。確かに大変。
まあ世間様からは、「それがどうした」と言われそうだけど。大阪から連れてくるなんて非常識だ!と言う人もいそう。

左翼的意見を多く載せている、素人落語ブログが二三ある。
休業決定の前段階、寄席継続についてなにか書いているかなと思って覗いてみたら、この話題見事にスルーして別のことを書いてる。
「オリンピックなにがなんでも中止」意見が強いので、寄席継続には抵抗があるのだろうか。
まあ、なにをどう書くかはそりゃ自由だ。私だってそうだ。

いっぽう、オリンピック反対のスポークスマンの一人、立川談四楼師は、継続が決まった段階でこんなツイート。

矛盾がひどいんじゃないか。
いささか腹を立てたのだが、再読すると一応文言に気は遣っているようだ。少なくとも寄席を開けることを「正義」とはしていない。
まあ別ツイートも併せて読むと、どうしてもある程度の矛盾は出る。

逆に、それもそうだなと一瞬思ってしまったのが志らくのコメント。よく考えたら腹が立つ。
「社会にとって必要だから開催する」と、当事者が言うなと。
しかしこんなものどう考えても、開催するための方便に過ぎない。全体のうち、方便の部分だけ取り上げて論評する、その姿勢。
なるほど番組が終わるわけだ。先に哲学があってこの世の森羅万象を切るのではなく、いちゃもんを付ける部分から探していくという。

さて連休は仕方ない。家で仕事をしよう。
社会生活の維持には貢献しない当ブログも、ネタがなくなると休むと思います。
鈴本やらくごカフェが配信をしてくれると嬉しいのだが。極めて虫のいいお願い。

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カテゴリー: 日記

作成者: でっち定吉

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