池袋演芸場25 その6(柳家喬志郎「大根船」)

明日出す喬太郎師の「心眼」で、検索トップを狙っています。
前のブログなら結構自信があるのだけど、引っ越したからどうだろう。
だがその前に、「柳家喬志郎 大根船」の検索で1位を狙いますよ。これは行けると思う。
問題は、演題を調べる人の検索に掛かるかどうか?

柳家喬志郎「大根船」

超満員の池袋。ただし札止めにしているので立ち見はなし。
クイツキは、さん喬門下の秘密兵器、喬志郎師。
誰が秘密兵器と言ってる? さあなあ。
喬太郎がキョンキョンならば、喬志郎はキョソキョソだな。ギョンギョンでもいいや。

弟弟子の㐂三郎の出ないときだけ出てますと挨拶。そんな自虐で言わなくても、交互出演。
この出番(クイツキ)は、とにかく沸かす人を選んでいるのだろう。
ちなみに㐂三郎師(旧名・小太郎)は新真打。
私は今日が楽日です。なんかもう、打ち上げの気分ですだって。

喬志郎師、私は結構好き。池袋でしか聴いたことがないけど。
一度だけ行ったことのある、駒込落語会を根城にしているようだ。
新作まつりのときには必ず声の掛かる人。
以前は、「笑わせる」「笑われる」の比率がどっこいだった気がするのだが、今やさすがという感じ。
自分のキャラを知り尽くして、客に一番面白いところを魅せる。
こういう人が、落語協会の厚い層を実は作り上げているのだ。新作派でいうと、あとは三遊亭丈二、古今亭志ん五といった人など。
仲入り後のトップバッター、クイツキは、いったん休憩で落ち着いた席を盛り上げないとならない。まず出塁して、4番バッターの満塁ホームランのお膳立てをする。
出塁するには手段を選ばない喬志郎師、デッドボール狙いに出た。

なんと艶笑落語。大きな一物をください的な。
一応、古典落語の装いにはなっている。
海外のジョーク由来だと思う。この大根船については、中国由来じゃないか。
すけべな小噺。骨格だけある小噺に、自分で肉付けをしたんでしょうか。
しかし、最初からすけべな噺だと思わせないところが喬志郎センス。

傘を大量に仕入れたのに、空梅雨でさっぱり売れない。これでは飢え死にするしかない。
ちゃんと、季節が合っているのだ。
旦那は「あること」を決意する。おかみさんが、それだけはやめておくれと懇願する。
あたしの両親にも止められてたじゃないか。
しかし旦那の決意は固い。
ここまで来たら雨乞いだと思うよね、普通。雨乞いの噺はいくつかあって、新作もある。
だが、雨乞いはまるで無関係。
私を含めた客、まだ企みには気づかない。
ここで場面が変わって、大根を水路で運ぶ物売り。声を上げて売り歩く、ぼて振りの船版である。
亭主が大根船を呼び止めて、立派な大根を売ってるな、俺と賭けをしようという。

なんとなく、ネタバレを躊躇させるものがあるのでこのぐらいで止めておく。
ラスト、大根屋さんがかわいそうだと、おかみさんが、亭主の巻き上げた大根のうち、2本を持って船を追いかける。
替り目の、たまに出るうどん屋のシーンっぽい。
大根売りが「いけねえ。今度は船まで取られる」。
という、考えオチ。
わかる人にはすぐわかるが、わからない人だと家帰って考えてもたぶんわからない。

艶笑落語はいつもいつも聴くもんじゃないのだが、基礎教養として知っておいて損はないと思います。

ヒザ前は本来、柳家はん治師。前日は文枝新作の「鯛」を掛けたところ、喬太郎師がこれを「母恋くらげ」で拾い上げたそうな。さすがだ。
今日は柳亭燕路師。
「まあ、様子がいい」のマクラを振る。この場面で出せる廓噺は、辰巳の辻占ぐらい。
この時点で、喬太郎師のトリネタが廓噺である可能性がほぼ消滅。もちろん、トリの師匠に廓噺をやるつもりがあるかどうかは確認してるのだろうけど。
聴いたことのない辻占の文句がひとつ入っていてオヤと思ったのだが、忘れた。

ヒザは林家楽一師。
紙切り、妙にリクエストが少ない。
たまにある、他の客を互いに警戒している感じの席。
なら私が欲しいけど、なにしろ席の真ん中で、出られないから遠慮せざるを得ない。

「大根船」というリクエストをした女性がいた。すごいな。
なんと、落語コーディネーターの菊池明美さんだったみたい。
一度駒込落語会でお見かけしたのだけど、記憶にない。
菊池さんは楽一師にポチ袋をお渡しでした。
ちなみに「大根船」の演題は、菊池さんが言ったのでわかったのである。
私は、「まらくらべ」とでもいうのだろうと思ってました。そんな演題ネタ帳に書けないか。

大谷翔平のお題で切った二刀流は、ピッチングとバッティングの二場面。
ピッチングフォームは驚くほど崩れていて、楽一師が野球にまったく詳しくないことがよくわかる。

いよいよ明日は喬太郎師の登場です。
スタートからすでに1週間経過しているのであった。
この1週間、ブログに書くおかげで楽しい高座を追体験できて、実に幸せ。
おかげで、寄席に行きたいと思わない。

続きます。

(お詫びして訂正)
柳家喬志郎なのに、「喬司郎」とずっと書いていました。
訂正するとともに、切腹して喬志郎師匠にお詫びします。

 

作成者: でっち定吉

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2件のコメント

    1. ありがとうございます。修正しました。

      ご指摘いただいたのにすみません。コメントのハンドルネームにおいて「匿名」はご遠慮ください。
      せめて「狂志郎」とでもしておいてくださればクスッとします。

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