亀戸梅屋敷寄席23(上・三遊亭兼好の楽しい相撲談義)

「小遊三の会」について書いた後、11日間連続でなんとか毎日ネタをつないだ。
Googleの広告収入が上がるならと頑張って続けてきたが、昨日朝、お仕置きのお知らせが来た。
「自分でクリック」など不正行為により、ペナルティとして30日間広告が出ないのである。
先行して広告を導入している姉妹ブログでも、何度かこの目に遭った。そちらは、自己クリックではなく恐らく海外からの異常アクセスのためなのだけど。
自己クリックなど、誰がわざわざやるものか。だいたい、やったって売上げにカウントされないし。
ただ、自分のブログをスマホで読んでると、ついうっかりタップしてしまうことがある。これを何度かやってしまったためだろう。
なんで自分のブログなんか読んでるんだって? このブログの一番の愛読者は私なのだ。
しばらく自分で貼った広告(これは、クリックだけでなく、お買上げいただかないと収入にならない)だけで頑張ります。

まあ、ブログはさておいても落語へは行きたい。
柳家小せん師主任の池袋に行くつもりだったのだが、この日の交互出演の人が好きじゃない。少数精鋭の池袋下席ではひとりの比重が高い。
披露目の始まった鈴本(主任は柳家緑也師)にしようかとも思ったが、市馬会長が休演で、これもやめた。
というわけで、落語協会ではなく円楽党の亀戸へ。

主任は三遊亭兼好師。
人気の師匠だから早めに出向いたのだが、開場直後に入ったらほぼ満員になっていた(定員は50人)。
札止めにはならなかったのだが、危ないところでした。
兼好師は、まさに円楽党を代表する存在。円楽党というか、東京の、いや日本の落語界を代表するひとりだが。
そんな師匠が、予約なしに1,000円で聴けるのである。ありがたい限り。
その兼好師、満員の客の前ですばらしいデキでした。

 

真田小僧 しゅりけん
雑俳 好吉
紙入れ 好太郎
(仲入り)
時そば 楽市
花筏 兼好

 

この日は好吉さんもよかったが、なんといっても主役の兼好師に尽きる。なのでその圧巻の高座から。
兼好師は好きな噺家だ。だが私が兼好師を好きな度合より、世間の落語ファンのそれは、はるかに高いような気がする。
私だって師の圧巻の高座を聴いているはずなのに、世間の人たちには、もっとずっと響いている様子。
これはいささか悔しい。
だが今日は、理屈と感性の両輪で、兼好師のすごさにちょっと迫れた気がする。世間に追いついたかな。

NYから帰ってきた小室さんについて語りそうな予感がしていた。
婚姻の発表が出た直後、両国で兼好師から毒多めのマクラを聴いたのを覚えている。だが、違う分野。
白鳳が引退しますねと。
品格がどうのと言われてますが、もともと日本人じゃないわけですから大目に見てやってもいいんじゃないですか。
よそから来た人に厳しく当たるファンのその態度が、海を渡っての大谷敬遠につながるんじゃないですか。
私はあんまり嫌いな力士っていないんですよ。
ですが白鳳、あんまり国技館で観てません。私、どこからか升席もらったりして、だいたい行くんですが、休場の多かったこの人は一度も観てません。すごいでしょ。
大関時代にはちょっと観ましたが。
それから、升席の妖精の話。双眼鏡で、そちらばかり観ていて相撲を観てません。
一度相撲も観にいってください。スポーツとは違うものですけど。
相撲取りは大変です。年間6場所もあって、あんなもの全力でいつも取り組んでいたら身が持ちません。
立ち合いのときは2tトラックが激突するようなものなんですよ。場所中は毎日が交通事故です。
だから八百長もいいんです。

呼び出しの話。
呼び出しも階級があるが、上の人が上手く、下の人が下手とも限らない。寄席と一緒。
筆頭の呼び出し、次郎はびっくりするほど下手。なまっているし。
でも次郎さんは、土俵を作る責任者。非常に丈夫な土俵を作る実績で、現在の地位を築いたのだ。
それから立行司、式守伊之助の話。伊之助は力士の名を読み上げるとき、なぜか「はひふへほ」が間に入る。

兼好師の語る相撲あるある、相撲好きの年寄りたちに大ウケでした。
私はというと、しばらく相撲観ていなくて、なにがなんだか全然ピンと来ない。
だが、なんの問題もない。
これは結局、相撲オタクの語る、相撲落語なのだ。
柳家小ゑん師が秋葉原を語り、古今亭駒治師が鉄道を語るのと一緒だ。
真のオタクが専門的分野を楽しく語っていれば、聴く側に知識がなくても楽しいのである。

そして兼好師、知っている高座よりさらにパワーアップしている。
マクラの内容だけではない。それに合わせた所作のすばらしさ。
相撲取りが立ち会うときの衝撃を説明するにあたり、仕草ひとつで爆笑を生む。

本編、花筏に続きます
 
 

作成者: でっち定吉

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