今日は現場に行っての「撮って出し」にさせてもらうつもりだったのですが、ネタができたので書きます。
博報堂「Z寄席」が「Z落語」に似ている? 落語家グループが不信感…広報「一般的なテーマと認識」
ヘンなニュースだなあと。
「Z落語」という活動を、天下の博報堂が「Z寄席」としてパクったのだという報道。
パクられたと主張する「Z落語」側が怒りの声を上げ、その怒りが報道される。
そこまでは世間の通例に鑑み、当たり前のことだ。
本筋と違うが、ニュースで「桂さん」って書くなよ。噺家あるあるのひとつ。
桂の亭号を持つ噺家はこの餌食になりやすい。鶴瓶師を「笑福亭さん」って呼ぶのと一緒なんだが。
報道する側も、なにひとつ理解していないのだなというヒントにはなる。
ところで、「Z寄席」にパクられたという桂枝之進って誰よ?
いえ、名前は知ってますよ。いつもブログのネタのために落語ニュースは探してるから。
Z世代の期待の若手として取り上げられる、その記事を見て知っているだけ。記事を読み、理解できたことは一度もない。
東京で活躍している上方落語家で、15歳で入門してまだ20歳らしい。
そこまで知っていて言うが、誰よ。
活動の中身など、本当に知らないよ。まあ、私のようなおじさんに向けた発信などする気もなかろうが。
Wikipediaにも項目が作られていない噺家が、いったいどこでどう活躍できている?
本当にイキのいい若手がいたら、いずれ年寄り向けメディアである「なみはや亭」「ラジ関寄席」などの上方ラジオ媒体でも取り上げられそうだが。
実際にこれらの番組が現在、積極的に取り上げて発信しているのは、笑福亭たま師の活動。これは真にデカい。
いっぽう桂枝之進とZ落語自体、本当に存在しているのか? そんな印象。
Z落語が刺さっている若者が、実際にいるのか?
そしてZ落語は、噺家ユニットのように書かれているがそうではない。
噺家は枝之進ひとりで、あとはクリエイター。
こういうのって、古い落語家がみんなやってきたことの焼き直しに過ぎないのでは? 小朝師や、志の輔師など。
聴きもしないで、批判するような恰好になっちゃいけない。
上の世代が下の世代に、マウントを取るのもいけない。
そこは重々気を付けながら書いているのだが。
だが、面白がって取り上げられているだけで、Z落語も枝之進も一大ムーブメントにはなっていないのだろう。私がシロウトとして身を置いている、落語の世界のほうにはまったく染み出てきていない。
Z落語とやらで落語に触れ合うきっかけを持つ若者がいたならそれでよかろう。
「落語もあるよ」程度に興味を持ってもらうのもいいだろう。
でも、若者が落語が好きになったとする。その後年寄りの集まる寄席や落語会にデビューできた若者は、もうZ落語には帰らないと思うよ。
本物の落語を知れば、帰る理由なんてないだろう。
枝之進の名を、一般の落語領域でまったく見かけない以上、自然そうなる。
ということは、落語領域と違う分野で活動中らしいZ落語の活動も、いずれ限界を迎え、シュリンクしていかざるを得ないということ。
パクリがよくないのは当たり前。
だが、Z落語の現状を遠くからうかがう限り、なんだかな。
断っておくが、「こんなことやるもんじゃない。デビューして間もない若手は地元でコツコツ小さな会を主宰していろ」なんて言うのではない。
でも実際問題、落語界で本当にムーブメントになったのって、成金みたいな、既存の落語の世界から飛び出してきたものだけじゃないか。
博報堂からすると、Z落語が使いづらかったので、自分たちで企画を立ち上げた(それをパクリという)のだろうか。
Z落語のほうも、上の世代をうまくたらしこまないといけない。嫌だとして。
ひとつだけ、絶対にマズいことがある。
枝之進、「Z寄席」(パクったとされるほう)を非難して、「『Z寄席』はZ落語と何の関係もありませんし、事前に連絡などは頂いておりません。ちなみに出演者もZ世代ではありません」。
出演者がZ世代でないならパクリじゃないのでは? という気にも少しはなるのだが、それはいいとする(他にもパクリの要素が見られたようだ)。
Z世代でない、Z寄席の出演者、立川志の春師に喧嘩を売ってしまっている。
志の春師が非難に値する行動をしたのなら、まあわからないではないが。
罪のない大先輩に喧嘩を売るのは大きな間違いだ。
そもそも東京の落語界にいる志の春師が、Z落語の活動内容についてなにも知らなかったのだとすると、それも知名度のなさを表している。
現状実体の薄い活動しかしていないのに、イッチョマエのクリエイター気取りじゃなんじゃないのという気はします。
出世の仕方は人それぞれ。
だが将来的にバッと売り出す足腰を鍛えている過程でもなく、やってることも今の大ベテランが若い時分に終えたことだとすると、正しい方向性ではないのでは?
そう思わざるを得ません。
他にも二三、取り上げたかったトラブルがあるのだが、Z落語だけで十分な量になってしまいました。
いずれまた。