池袋演芸場の続きでも、予告したM-1でもないことを書きます。
もうちょっと落ち着いてからネタにしようと思ったのだけども、私の気持ちが落ち着かなくて。
落語協会からまた廃業者が出ました。どうなってるんだろうな。
木久扇門下の林家扇兵衛、林家木はちのふたり。
前座の木はちさんはお見かけしたこともなく、感想の持ちようがない。
二ツ目の扇兵衛さんが。
いきなりの廃業だった様子。
博多の会を急遽キャンセルして、その後落語協会の香盤からも名前が消えた。
来年のスケジュールも埋まっていた中で。
ブログには会中止のお知らせだけ出ている。
茨城での「いばらく」というユニットも組んでいて、新年にも会が予定されていたようだ。別に県出身じゃないのに。
そして、広告張った木久扇一門の本(発売前)にも名前が載ってる。これはかなり恐ろしい。
こんなバタバタしている様子はもう、自主廃業ではあり得ない。
状況的には、明らかに破門である。
なにをしくじったのかわからないが、二ツ目と前座、ワンセットで破門というのも珍しい。兄弟弟子でも一緒になにかやらかすのは考えにくい組み合わせ。
木久扇師はめったなことでは破門しない師匠と理解していたのだが、その(私の相当に一方的な)思いも揺らぐ。
高齢になって、テレビで映らないシーンでやたら頑固になっていたら嫌だなと思って。談志の晩年のように。
当ブログではたびたび書いていることだが、破門しない師匠のほうが優秀だ。
破門しない師匠は、数合わせのためにのみ存在するダメ噺家をアホほど抱えているのか。そんなことはなくて、むしろ真逆。
彦いち、きく麿、木りん、けい木といった噺家を次々育てている木久扇師への高い敬意が。まあ、余計なお世話なのは重々承知だけど。
あ、息子の木久蔵もね。
林家扇兵衛さん、博多や茨城で会ができるように、営業力は高かった様子。
巨体で愛想がいいのである。人をほっこり幸せにするタイプ。
だが私は決して、扇兵衛さんの落語のファンではなかった。
行きたい会にこの人が顔付けされていたら、いてもいいと思う程度。
昨年出向いた「堀船せんべえ寄席」では、4人のうちこの人の高座だけ外れで残念に思った。会の名称に自分の名前が入っているように、主催者だったのだけど。
ちなみに後の3人は、同期の林家つる子、入船亭遊京、金原亭馬久。みな上手い人。
この際の扇兵衛さんの「蛙茶番」を聴いて、私は「スタンプカード芸」という言葉を発明した。
噺家の脳内に、クスグリを1個入れるたびに押すスタンプカードがある。抜かさずスタンプを全部埋めたらおめでとう、という。
そんな芸は聴きたくない。
神田連雀亭で聴いた「長短」のように、なかなかいい高座もあったのだが。
上手いとは一度も思わなかったが、人をにこやかにする人だから、まあ害はないよねと。
ただ、今後伸びるとも思わなかった。師匠にもその評価があり、破門の決断に影響を与えた、そんな気はする。
特に好きだった噺家でもないのに、6回高座を聴いているというのは、なかなか多い。本当に嫌いだったら避けて回数は減るのだが、そこまでではない。
笑点特大号の公開収録でも扇兵衛さんをお見かけした。
若手大喜利の座布団運びでもって、フライングで顔を出してしまい、撮り直しになっていたのを思い出す。(いい意味で)ポンコツだと思ったものだ。
それだけ高座のたびに彼を見ていろいろ常に考えた以上、どうしても廃業に心を揺り動かされてしまう。
ポンコツと営業上手とは両立する。しかし、今回は師匠に対し、ポンコツの側面を見せたものか。
公開収録で見た若手大喜利は、師匠が司会だった。
数ある弟子の中でも、木久扇師には目を掛けてもらっていたほうだと思う。露出を増やせば伸びるだろうという配慮はあったと思う。
「ひよっこ落語家移住記~ネタになってもらえませんか?~」というTV番組でも、好楽師の弟子、好好さんとともに特集されていた。
本人も、コロナ禍で師匠宅に呼んでもらい、ご飯を食べさせてもらっていると語っていた。巨体だからよく食べるわけだが。
いったいなにで師匠を怒らせたのか。
まだ29歳だそうだ。芸協なら35歳まで入門OKなので、前座からやり直すなら復活は不可能ではない。
でも扇兵衛さんに復活して欲しいとは、悪いけど思わない。これはもう、噺家としての評価の問題に尽きる。
破門を乱発する師匠は嫌いだが、いっぽうで、評価の上がらない噺家が長く続けることがいいとも思っていない。
クビにならなければ、将来的に味のある噺家になったかもしれない。その可能性まで否定はしないが。
廃業二ツ目つながり。
先日、円楽党を辞めた元・三遊亭愛九について書いたら、結構すごいアクセス。
私がブログにアップしたとたんに、本人のクレイジー気味のツイート更新が止まった。たぶん、無関係ではないと思っている。
辞めた事情は知らないし、辞めてブツブツ言っている側に正義なんてない、そんなことも言わない。ただ、今の状況下でつぶやいても、誰も同情してくれないと思う。
なら、黙っていたほうが人として賢い。
(2021/12/24追記)
なんと、冒頭に張った木久扇師の新刊(発売予定)の表紙が変わっている!
そして、弟子が14人でなく12人に減っている!
きっと中身も減るのでしょうね。
迅速な仕事を褒めるべきか・・・
更新ご苦労様です。
突然協会のホームページから名前がいなくなってて驚きました。扇兵衛さんは確かに名人になるような落語家さんではなかったかも知れません。しかし、仰る通り器用で上手いだけが落語家ではないと思います。ああいった落語家さんが寄席の空気を和やかにしてくれることも大事だと思います。ほのぼのとした語り口と昭和歌謡の上手さで高齢者の方にも人気があっただけに残念です。
何が原因でやめることになったのかを外野があれこれ詮索するのは野暮だからしようとは思いません。ですが扇兵衛さん自身中学高校は神戸だったと聞いたこともありますし上方の桂和歌ぽんさんとも兄弟会を開いていたので上方で再復帰してくれたら嬉しいとも思っています
うゑ村さん、いらっしゃいませ。
人数の増えすぎた落語界、リストラ策でも密かに進行中なんじゃないかと・・・
残念なのは間違いないですが、もう実力で切り分けて納得しないと耐えられない、それが私の心境です。
直接会って会話した事がある訳ではないんですが、何となく優しい木久扇師が弟子を破門するというのはその弟子に相当 見込みが無いから別な道へ進めと言う意味なのか?相撲協会の某力士達のように賭博行為が見つかったのか?
木久扇師の優しさについて言えば、昨日私の地元福島で落語会があり木久扇師、昇太師、三平師、宮治師でフリートークコーナーがあったんでうすが、そこでも三平師を盛り上げようとやたらと話を振ってくれてたのが木久扇師でした。それを上手くウケるように返せないのがさすがの三平師な訳ですが。
あ、昨日のビバリー昼ズとナイツ・ザ・ラジオショーのブリッジで、昇太師とナイツが今から福島で一緒ですねと話していましたが、その会に行かれたのですか。
優しい木久扇師であって欲しいところですが、お歳だからいろいろあったりしないかなあと。木久扇師を擁護するために、知りもしない内情を、破門された人に押し付けるのもイヤですし。
ともかく、事件はなにかあったのでしょう。
「見込みがなくて辞めさせる」ケースが皆無とは思いませんが、会が多数ある状態での破門は異常です。