笑点特大号を見ていれば、地上波もまかなえる。
だから地上波笑点あまり見ないのだが、今日はチェックしましたよ。宮治師の初回。
落語がわか(ったつもりにな)るにつれ、笑点を馬鹿にするようになる痛いファンには困ったものだ。そうは思いつつ、私自身が笑点で笑うことなど、そんなにはない。
落語と同様、くすくすする程度でいいのである。
だが今回の放映、初回からあまりにも面白く、ちょっと驚愕している。
この面白さについては、落語から得た経験でもって、言葉で説明可能。こういうこと。
- 新入りの宮治師を中心に置いた、全員のチームプレイ
- 宮治師が、果敢に先輩たちに挑み、結果を出す
噺家たるもの、いつも自分が主役ではないし、そんな状態にも慣れている。
寄席でも、トリを立てるために全員がチームプレイをする。
今日は宮治が主役だと思えば、すぐにそういう組み立てにするのだ。
そして、宮治師も、主役のおぜん立てにすんなり入れる器だということである。
宮治師はそして、ジジ殺し。
二ツ目のキャリアをのんびり生きてきても、こうはなれない。寄席の出番だってそんなにないし。
だが、早くから売れていたので落語会によく呼ばれていたことと、なんといっても若手大喜利で培ったものだろう。
抜擢真打の披露目で、ジジ殺しの能力が頂点を迎えたのだ。
もちろん噺家だけではない。
各地の落語会主催者を、そして笑点の制作側もたらしこんだのだ。悪口じゃないですよ。
本当は無類の毒舌家なのに、人の出会いと運だという、殊勝なあいさつの桂宮治。
早速たらしこまれた、笑点好きの婆さんたちも多かったものと思われる。
騙されちゃいけない(いいか別に)。
そして、プロデューサーに肩を叩かれて、わかってるなと脅されたと自虐ネタも振る。
自虐とジジ殺し、同時に一丁上がり。稽古屋の女師匠みたいなワザ。
若手大喜利のほうは最近、イマイチだなと思っていた。
思えば宮治師、ジジ殺しの能力を活かすシーンに恵まれなかったのだろう。
若手大喜利では、同じ若手に絡んでいっても大して意味がない。
交互に司会を務める地上波メンバーに絡んでいくことしかできないが、それだってやりすぎるとまわりから浮いてしまう。
新メンバーはいろいろ噂されていたものの、ジジ殺し能力がある宮治師、早くから決まっていたに違いない。
まあ、ぴっかりさんもジジ殺しだが、女性だからちょっと違って見えるな。
席替えにも感心した。隣に好楽師を置いておけば、宮治師がまずここに絡んでいけるのだ。
好楽師は下から来られても全然ウェルカム。というか、嬉しそう。
ここから始まり、順次全メンバーに絡んでいくのであろう。
次のメンバー(自分より下の香盤)が入ってくるときには、違う方法論が必要だが、それまではジジ殺し一本で飯が食える。
それにしても、これだけ見事な仕切りを見せた制作が、どうして5年半前は三平を活かせなかったのだろうか。
あの際、はじっこに入れてスタートしてもよかったのである。
いや、当時の失敗があったからこそ、ここまで見事に復活したのかもしれないが、今から思うと、海老名家にせざるを得ない忖度に、嫌気がさしたスタッフが多かったということではないか。
だから、なんの手助けもせず、世間が呆れるのを待っていた。その状況をなんとかできなかった本人のことなど、知ったことではないけど。
最近、悪いほうの例から「客に対する圧」というテーマを私は持っている。
ムダに強かったのが三平。毎週出るたびに、客に怒りをためていったのだ。
宮治師は、語りが一本調子でないので、客がそこで気を抜ける。余計な圧を感じて反発することはない。
実は、並んでいるベテラン師匠たちと同じ話術である。
笑点の話術を先刻会得しているのだ。これは、なじみやすい。
三平の唯一の功績は、笑点と落語と、方法論がまるで違うわけではない、それを世に知らしめたこと。
宮治師は、「落語が上手ければおおむね大喜利も上手い」という関係性をまた、世に知らしめることであろう。
ところでたい平師も、昇太師に続いてコロナになってしまった。
他のメンバーは問題なかったんですよね。たぶん。
番組中、木久扇師がなにごともなかったかのように一門本の宣伝をしていた。
今週に福島で開催予定の林家たい平師の会中止に・・・代演で誰か来ないかな?(あ、三平師か?それはないかw)
30日の三遊亭兼好師の落語会も中止。
地方で落語が聴ける機会がまた減ってきました。かと言ってお江戸に落語をとも言いづらい雰囲気。
嫌な時代です。
行きづらいですね・・・困りました。
まあ、それでも寄席を中止させようとする勢力はもはやなく、ちょっとは出かけようとは思っていますが。