東京かわら版2月号は小三治特集

定期購読

東京かわら版2月号はなんだかやたら分厚い。
価格までなんと800円もする。昨年が600円で、1月号が700円。
定期購読してるので、値段なんか気にしたことはなかったが。
分厚くして勝手に値段上げて、その説明はなく。毎月本屋で買ってる人は困惑したのではないか。

なんで厚いのかと思うと、小三治特集。予告あった?

当ブログは、日本一小三治に対して批判的である。
「小三治 性格」「小三治 人柄」などの検索を、一手に引き受けるようになった。
さらに、破門関係の記事からも流入が多くある。

書いたものに反論など一度も来たことがない。反論できないのだと、自分では思っている。

さて、かわら版の特集に、またしても違和感を覚えたのであった。
別に、小三治が偉人として扱われ、亡くなった事実そのものを否定する気までは、最初から持っていない。
ただ、無責任な偶像化があると、ちょっと引くのだ。
そう思いつつ、特集の記事から、「同業者の誰も小三治を偶像化するつもりがない」事実も同時に読み解けたりなんかして。

実際の「小三治を偲ぶ会」から対談がふたつ。
小三治が出演を予定していた「小三治・三三親子会」「江戸川落語会」である。
前者は弟子が揃い、後者は市馬、扇辰の両師が加わっている。

「俺をネタにするな」と弟子に命じていた小三治。談志と真逆。
高座において、師匠の話ほど客に喜ばれるものはないが、そういうものは禁じられていた。
変な美学。
小三治の師匠、先代小さんの話は今でも定番なのに。
この対談の場で語り、そして活字化されたものを最後に、また弟子たちは小三治の話は封印するのだろう。
いつももたもたしていて遅くなる師匠を上野駅から新幹線に乗せるため、新幹線のドアに挟まって発車を止める弟子の三三と三之助。
このエピソード、つくづくクソだな。人前で語る弟子のセンスもどうしようもないが。
小三治も、電車の発車まで止めさせるようなクズのくせに、よく寝坊の小痴楽に嫌味を言えたもんだ。

同じ行為を談志がやっていた(やりそうだ)として、自分でも、弟子からも、偽悪化して語られることだろう。
小三治は立派な人のフリだけするくせに、中身はヤカラ。

席亭の話が、池袋演芸場だけない。
池袋ではずっと夏に主任を取ってたのにな。
昨年から、正蔵師と交代で担当していた夏の三三師の主任がなくなったのも、関係あるのだろうか。

それから、噺家たちの追悼コメントが並ぶ。
芸人は見事に落語協会の人だけ。なんで? 断られたの?
コメントの冒頭が馬風師で、「俺には肚を見せなかったし、心を許すことはなかった」だって。このコメントから始まるという。
弟弟子であるさん喬師のコメントがないのはとても気になった。師匠がコメントしていないので喬太郎師も。

小三治会長のおかげで昇進が遅れた二人にもコメントを取っていた(つくし、天どん)。
二人とも、とても短かった。披露目の口上についての思い出という共通点。まあ、そりゃそんなのしかない。

堀井憲一郎氏のコラムも、見開き2頁になっていた。
この人、小三治本当に好きなのかしらといつも疑問に思いながら読んでいるのだが、今回は面白い視点もあった。
全般的に小三治の高座を褒める中で、政府や社会の批判をする際には切れ味が1ミリもなかったと、談志を引き合いにして書いている。
日常のことを語るのは面白いのに。
小三治がNHK演芸図鑑で正蔵師と対談し、「総理大臣いつまでやってるんだ」と文句を吐き、左の連中が喝采を送っていたのを思い出した。
私も、ただそれだけ言われてもねと思ったが。

この特集を読んだからでもないのだが、小三治がどういう人であったか、私の中ではまた一段と具体化してきた。
一言で言うと「多様性の欠落した人」。

現代は、どこへ出ても多様性の求められる時代。
もちろん、そういうのについていけない人もいる。それはそれで、本人がしくじるだけ。
だが小三治という人は、口では多様性に乗っかりそうな人。中身はガチガチである。

「東大以外は大学ではない」と言っていた父親の話を、いつまでも語り続ける姿に不気味なものを持っていたのだが、その正体がだんだんわかってきた。
小三治は結局、落語界に東大を作りたかったのだと思う。
もちろん、自分自身がトップに立つ落語の体系。
落語界の東大以外の落語は、落語ではない。
そこを理解できない弟子はとっとと切り捨てる。

しかし、こんなやり方では弟子は育たない。結果的には、劣化版の弟子しか生みだせなかった談志と同じことをしている。
いい師匠は、多様性の塊。決して弟子を型に嵌めたりしない。
師匠自身の好き嫌いなんて、一番最後にまわせばいいものだと思う。

作成者: でっち定吉

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