堀之内寄席5(上・春風亭昇輔「のぶこよしえ」)

綱渡り的に締め切りを片づけながら、合間に現場へ出向きます。
今日の締め切りはやっつけたが、またあさってには締め切りが。
その割にブログ休んだのは今月1日だけだ。褒めてください。

泡沫ライター風情が売れっ子気取りはいけないね。

毎月23日は堀之内妙法寺で「堀之内寄席」。毎月4日の巣鴨スタジオフォー「四の日寄席」と並ぶ、日付固定の会。
「堀の内」で粗忽な八っつぁんが、鍋屋横丁を通って願掛けに行く名刹である。お祖師様。
先日隅田川馬石師から堀の内を聴いたのが、潜在意識に作用していないとも限らない。もっとも堀之内寄席は芸協だけど。
うちから遠いし最寄駅からもまた遠いのだが、結構この席好きなのである。長講が聴けるし。
昨年はコロナの中、中止したりやったりしていたようだが、行かなかった。

3月23日というのは、初めてこの会に来た日がそうだった。4年前。
桜が綺麗だったと書き残している。今年はまだだけど。

池袋演芸場では新作台本まつりをやっている。
23日は、三遊亭丈二師がトリ。特殊な席ではあるが、定席のトリはたぶん初めてだろう。
この新作落語の鬼才を聴きにいきたい気は十分にあるのだが、電話したら予約の取れた、芸協の二ツ目のほうへ。

なかなかいい顔付け。この春に昇進する、成金最年長の柳若さん(真打で柳雀)がトリ。
この席は過去4回来ているが、現在真打の成金メンバーもよく聴いている。
すなわちA太郎、宮治、鯉八、昇々。改めてすごい会だと思う。
もっとも、宮治師の場合、「大工調べ」に圧倒されつつ、悪口雑言のマクラには醒めてしまったが。

わずか500円で、茶菓子もついた贅沢な会。
30人限定だが、ギリギリ埋まらない。
元の会場に戻っていて嬉しい。
世話人の古今亭今いちさんが出て挨拶。今日の会は1月中止の会のスライド分ですとのこと。
この会はお囃子さんも来ていてさらに贅沢。
茶菓子は門前のお菓子屋さんのですと。

のぶこよしえ昇輔
片棒遊かり
(仲入り)
御神酒徳利柳若

春風亭昇輔さんから。
メガネを掛けている姿は初めて見る。
今日メクリ忘れてしまいまして。遊かり姉さんと柳若アニさんはちゃんと持ってきてますので、この後出します。
これじゃどこの誰だかわかりませんが、春風亭昇輔と申します。久々に堀之内寄席に呼んでいただきました。

堀之内寄席は、圓右師匠が20年以上前に始めた由緒ある会です。昨日がその、圓右師匠の命日でした。

故・三遊亭圓右。大人用おむつ・アテントのCMに出ていたのは私も覚えている。
ハゲていたので晩年、毛生え薬を服用していたら女性ホルモンの効果が表れ、なぜか女装して寄席に通っていたという愉快な師匠。

この会の第1回のネタ帳を見ていたら、春風亭昇輔の名前がありました。私の師匠、瀧川鯉朝の前名ですね。
鯉朝っておわかりですか。おや、結構ご存じですね。虫みたいな師匠です。
私は師匠の前の名が欲しかったので、お願いして、貰いました。今日のトリの柳若アニさんも私も、春風亭ですけど瀧川なんです。
瀧川なのに春風亭を名乗っているふたりで、一門では脱北者って呼ばれてます。
カラオケよく一緒に行くんですが、私はヘビメタ担当なので柳若アニさんに喜んでもらってます。

昇輔はいい名です。柳昇の昇に、今輔の輔ですからね。
でも私の前に名乗る人がしばらくいませんでした。
春風亭昇々アニさんが、昇太師匠に「名前考えてこい」って言われて、自分で考えた中に昇輔も入っていたんです。
でも昇太師匠が、「うーん、昇輔はな」と言ったので却下になったんです。前名乗っていた人のイメージが悪いみたいで。
私から昇太師匠に、「昇輔になりました」と報告したら、「あ、そ。お気の毒に」と言われました。

最近は、高座以外の仕事が増えてきました。なにかというと大喜利です。
文句言っちゃいけないんですけど、入れてくれる事務所の段取りが悪いのなんの。
先日は新宿3丁目で、トレーラーの横を上げて座布団敷いて、そこに並んで大喜利をやりました。末広亭の近所ですよ、見つかったら恥ずかしいしどうしようなんて。
大喜利で旅にも行くんですけど、楽屋がないとか、当日になって机の上に座るのを禁止されたりとか、しょっちゅうです。
さすがにこれ、SNSには流さないでくださいだって。
事務所の名だけ伏せて、流します。

それから1年前に神田連雀亭で聴いた、月亭遊方師の話。
カセット世代でないので操作がわからず、高座で流すロッキーのテーマを誤って録音してしまった話。

新作落語は楽しいですね。私も師匠の新作が好きで入門したんです。
と言って、高座にブルートゥーススピーカーを置く。
遊方師のマクラはこの噺専用らしい。本編はその1年前に聴いた、「のぶこよしえ」。

別の噺がよかった気もする一方、衝撃の一席がまた聴けて嬉しい。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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