亀戸梅屋敷寄席26 その1(三遊亭好一郎真打昇進披露口上)

円楽党は新真打、好吉改め三遊亭好一郎の披露目の最中。
できれば10日間ある両国に行きたかったのだが、なかなか夜は出歩きづらい。
昼席の亀戸で9日、一日だけ披露目があるのでそちらへ。
今月落語4席目だ。ちょっと多いな。

三遊亭好一郎真打昇進披露口上
三年目 好楽
おじさんカフェ とむ
猫の災難 良楽
(仲入り)
味噌豆 けろよん
町内の若い衆 好の助
雛鍔 好一郎

亀戸は、この日だけかもしれないがソーシャルディスタンス配置をやめ、以前のように椅子をぎゅうぎゅうに敷き詰めている。盛況である。
受付には、知らない前座さん。
愛楽師の息子、愛二郎さんらしい。顔も似ている。

(訂正です。後から思えば愛二郎さんでなく、何度かお見かけしている楽太さんでした。ごめんなさい)

絶賛売出し中のスーパー前座、けろよんさんが顔付けされていたのだが、今日高座に上がるのは愛二郎さんかなと。それならそれで仕方ない。
と思ったら、けろよんさんの姿もあった。
結局高座にはけろよんさんが上がったのだが、出番はなんと仲入り後。クイツキである。
いくら前座離れした優秀な人だからといって、それがクイツキを務める理由ではない。
スーツ姿の好一郎師もお客さんに挨拶している。

愛二郎さんがメクリを「口上」に替える。え、いきなり?
確かに高座を後ろに置き、前に畳を敷き詰めてはいる。
司会の好の助師を筆頭に、良楽師、好楽師、そして主役の好一郎師が登場。

好の助師いわく、本来、口上は緋毛氈の上でやりたいのですが、見ての通り高座は狭いもので。
そんなわけで畳を敷き詰めてこれでお許しいただきます。
着てるものは(黒紋付で)立派ですが、これじゃ乞食だよと。
好楽師が、「牢屋のほうがいいんじゃない」と口を出す。
好の助師、言い直します。牢屋です。

好の助師の披露目のときは、ここ亀戸でちゃんと緋毛氈敷いてやってたけどな。
それから好二郎さんの二ツ目昇進のときは、高座に4人ぎゅうぎゅうに座っていた。

好一郎師のプロフィールを簡単に司会が紹介。
熊本で生まれ18年、神戸に渡って4年、それから東京で13年。次はいったいどこへ行くんでしょうか。

端に座る良楽師の口上。
私は富山に住んでいて、日ごろ好一郎さんと会わないもので、よく知りません。
ケチつけるのは披露目の定番。
井上尚弥のボクシングを引き合いに出していたが、どう使っていたのか忘れた。ふだん高座の模様をかなり書いてる私だが、披露目の口上は本当に覚えられない。

それから好楽師。好の助師の紹介では、「いきなり口上をする原因を作った」とのこと。
好楽師は披露目を競馬に例えていた。どう例えていたっけ。

好一郎は両国で毎日ネタを変えてるんですよ。熱心です。
好楽師が「変えてるんだっけ」と本人に水を向けるので、口上なのに好一郎師も返事したりする。
初日にやったのは「甲府い」です。これが評判よくて嬉しい限りです。
お客さんに、教えたんですかと訊かれましたが私は知りません。誰に教わったのか本人に訊いたら王楽からだそうで。

私は連雀亭で「甲府い」を聴いた。披露目の初日には行けなかったが得した気分です。

好楽師の音頭で三本締め。

メクリを愛二郎さんが替えると、なんと「好楽」。ザワつく場内。
好楽師、早く帰らなきゃいけない事情がある様子。
すぐ登場だから黒紋付のまま。

先ほど好の助が言ってましたが、ちょっと事情がありまして。
私医者に通ってますが、痛風の薬、もう飲まなくていいと言われてまして。
ただ今月検査に行かなきゃいけなかったんですけど、芸術協会の仕事で青森に行く用事がありまして。
軽く考えてて医者を飛ばしちゃったんですけど、一度早く来てくださいということなので。それが今日この後なんですよ。
6月2日に弘前で、宮治師との二人会があったようだ。

スマホで写真撮り続けてる女性客、というよりただのクソ●●アが気になって、好楽師の話がちょっと飛んでしまった。
高座の好楽師も気にしてたと思う。
披露目の口上では写真撮影の許可が出たから私も撮ってるが、とうにその時間は終わっている。

おかげでなんのため好楽師が医者に行くのか正確に把握していないのだが、とにかく診察の都合のため披露目の口上を繰り上げ、出番も繰り上げるのだ。
実にテキトーな師匠の、生きたテキトーエピソードではないでしょうか。

前座を押しのけて上がるのだから、軽い噺をするのかと思ったら、なんとトリネタの「三年目」。
高座についてはマジなんだ。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。