三遊亭円楽がなぜ支持されるのか

三遊亭円楽師が復活というニュースが飛び交っている。
併せて、こんな報道も多々。発信者は同じ。

  • 圓生を継ぐ意欲満々
  • 統一協会(落語の団体統合)
  • 笑点視聴率ダダ下がりで打ち切りの危機

 
笑点は円楽師で持っていて、円楽師不在のため現在ひどく数字を落としているんだそうだ。
そうなのかもしれない。

しかしなあ。
世間の最も好きな笑点メンバーが円楽師。それが事実だとして、なんだかな。
私もこのところずっとこの人を批判してきているもので。
復活はめでたいにしても、批判の燃料はまだまだいくらでもある。

円楽師復活といって喜ぶ世間は、いっぽうでは笑点でしか円楽師を観ない人。
なんのこっちゃだ。

ツッコミどころがありすぎて、どこから始めようか。
まず圓生問題。
自分で、「つなぎの圓生でも」と言ってる時点でダメでしょ、普通。
現在の十一代目金原亭馬生師もつなぎの馬生だとご自身では言うけれど、でも一門のバックアップを受けての襲名。現在悪く言う人はいまい。
円楽師、誰かがバックアップしているという話がまるで聞こえてこない。
それこそ、当然継げると思っていた兄弟子、鳳楽師が支援しているというならいざ知らず。
好楽、圓橘といった師匠も、圓生襲名については一切語らない。
完全なるひとり相撲。

円楽党で現在最も売れているのは兼好師。
兼好師に圓生を継がせようということになれば、次々支援が集まりそうに思うが。
それから、王楽師だって別にいいのだ。私が王楽師を高く買ってるとかじゃないですよ。
王楽師も先代圓楽最後の弟子であり、現円楽師と立場は一緒。
好楽師とすれば、弟子か息子が次の圓生になればこんな喜ばしい話はないだろう。
でも、病気の円楽師と争う必要性は感じていない、そんなことではないかな。

個人的には、当代円楽師が圓生になってから亡くなると、ペーパー真打である一太郎が名前を継ぐ(名乗る、ということではない)のが気に入らない。
もう少し塩漬けしておいてもいいのでは。

続いて協会統一の野望。
これも、空回り。
理念が間違っているとは思わないけど、びっくりするほど周辺の空気は薄い。
だからこそ、野望の仲間を持たない円楽師、世間を味方にしようと観測気球を上げているのだろう。
でもそもそも、円楽師のファンなんて協会の並立には興味もないわけで。
落語協会の柳亭市馬師、芸術協会の春風亭昇太師は、寄席のクラファンの際、密に連携を取っていた。
昇太師のラジオビバリー昼ズにも市馬師がゲストで出ていたし、東京かわら版の紙上対談もあった。
その際ふたりは、両協会が一緒になることはないと断言している。
私には、芸協の客員として好き放題している円楽師への牽制に思えた。
大きな協会がふたつあり、これによってデメリットばかり生じているというなら確かに統一の意義はある。
でも、そういう状況でないこともまた確か。統一の必要性を感じている人は少ない。

円楽師、確かにプロデューサーとして博多の落語まつりの開催など腕を振るってきた。
だがまつりに出たくて円楽師に接近する人はいても、真の同志はいないようである。
協会が統合したときのメリットを、具体的に描ける人もいないのだ。

最後に笑点。
笑点にも寿命はあって、いずれ幕を閉じることになる。それはわかっている。
そのときに落語界へのダメージが、決して小さくないことも。
まあ、だからといって、パワハラ円楽師に頼るような番組だったら、なくなっても仕方ないわな。

円楽師のファンなど、しょせん下の世代を潰すことに躊躇のない年寄りばかりなのだろう。
番組を辞めた三平を激しくののしる円楽師のことを、パワハラだと糾弾する人など誰もいなかった。私以外。
年寄りを代表する円楽は正義。ポンコツ若者の三平は悪。これこそ平和の根源。
張本勲の下の世代いじめに快哉を覚えていた年寄りと同じだろう。

やたらと歌丸師を引き合いに出すのもなあ。
歌丸師は圓朝ものはじめ、落語の世界できちんと評価を受けていた人だ。それこそ小三治にさらわれたが、人間国宝手前まで行っていた。
たぶん、円楽師が「歌丸師匠を人間国宝に」と運動したからダメになったのだ。

笑点の後番組を考えてみた。
さすがに大喜利はもう二番煎じで、ダメ。そして偉大なるマンネリは引き継げないが、仕方ない。
やはり救い主になるのは昇太師。すべてリニューアルしても仕方ないし。
昇太、喬太郎のふたりがグダグタな立ちトークを繰り広げる番組だったら、私は観ます。

もっと落語寄りの番組だったら、昔あった「ざこば・鶴瓶 らくごのご」は面白かったな。
当時関西にいたので、毎週楽しみにしておりました。
さすがに同じものはやれないだろうが、即興三題噺はなかなかスリリングだ。

作成者: でっち定吉

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2件のコメント

  1. 統一協会はともかく、円楽さんには円楽党を鳳楽さんとよく話し合って、また立川流も一度解体して芸協への合流を本気でもう一度考えた方が良いと思います。永谷には4つの寄席があるんだし、定席の4つと国立で十分芸協は座組できると思いますしね。もういい加減、三遊も立川も今の幹部達の手で前座の子らなど末裔に寄席という二協会の修行場に帰してあげるべきです。

    1. いらっしゃいませ。
      個人的には、すでに立川流と円楽党は芸協の二次団体になっていると思っています。
      円楽師よりずっと政治力の高い昇太会長の策謀によって。
      二次団体では気に入らないので、革命を起こして一気に統一を図りたいのが円楽師の本音では。そして、統一協会のトップに立ちたいという。
      そこまで見抜かれているので、ギョーカイ人はひとりも相手にしないのでしょう。

      実力でいうと、私の好きな円楽党も、嫌いな立川流もどちらもイマイチに思います。
      とはいえ二次団体に甘んじていつつ、一部の上手い人が出てきている現状こそ、ベストと思います。
      今の円楽師、落語界においては邪魔な危険人物でしかないですね。

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