マンガと落語の共通点(上)

当ブログにはGoogleの自動広告が貼ってある。
モバイルの検索でよくヒットするAMPサイト(背景が白い)に自動広告が出ないのが現在の悩み。いろいろやってるのだけど。
実質的にこのサイトが営業妨害になってしまっている。AMPはやめるかもしれない。

それはともかく、本来のサイトにはよくマンガの広告が出る。
それで興味を持って、実際に購入して読んでみたのがこちらのエピソード。
広告のマンガを読んでみた「しょせん他人事ですから」

今でもこのマンガ、よく広告に出ますね。売れてるみたい。

この記事を書いたのはほんの2か月前のこと。そちらにも書いたとおり、最近ほとんどマンガは読んでいなかった。
マンガを電子書籍で読む、というスタイル自体は有してはいたけども、根がケチなので購入する際に都度ブレーキがかかってしまうのだった。
私の落語以外の楽しみはもっぱら、図書館で借りてくる小説。タダより安いものはない。
しかし書いた記事をひとつのきっかけに、その後マンガに夢中になってしまったのでした。自分でも驚いている。

きっかけはもうひとつある。ノートPCが機能しなくなり、代わりに中古のタブレット(Android)を買ったこと。
通信機能のないタブレットで仕事するのは思いのほか面倒だ。外付けのキーボードとのBluetooth接続はしょっちゅう切れるし。Wi-Fiも切れるし。
だが、マンガを読むのにはサイズ的に快適なのだった。
一昨日は久々にたっぷり歩いて、夕方のPRONTOで一杯やりながらタブレットでマンガを読んでいた。これはハマる。
晩杯屋みたいな立ち飲み屋だとサマにならないけど。

自動広告に出てくるのはピッコマとかめちゃコミックなどだが、私が読んでいるのはほぼ「LINEマンガ」だけ。
できればLINEマンガの広告(自動広告でなく、自分で選ぶもの)を貼りたいのだけど、現状ない。

LINEマンガは巷でもほとんど宣伝してないが、驚くほど多くのマンガが無料で読める。
無料では1日1話しか読めないコンテンツも多いが、20冊近く同時に読み進めている中においては、別段どうということもなく。
購入せず翌日を平気で待ててしまうところが、あかにし屋の真骨頂。
30秒のCMを見ることで、無料で読めるマンガも多い。CMぐらい我慢しよう。

ところで、マンガという形式自体に大きく着目した歴史は、私の人生において特になかった気がする。
面白いマンガもあるし、つまらないものもある。小説、映画、ドラマ等、世間のあらゆるコンテンツと同じことである。
ところが、短期間に数多く読んだことでマンガという形式自体について、一段階上の思いを馳せるようになった次第。

ここからようやく落語の話になります。付いてきてくださってますでしょうか。

落語という芸能もまた、面白いものも、つまらないものもある。
好き嫌いももちろんある。
私が最も好きなスタイルは、演者が噺にのめりこまず、しっかり距離を取って語るもの。
劇中の喜怒哀楽も、ごくひそやかに盛り込むスタイル。ツッコミもひそやか。
柳家に多い。

この方法論しか唯一認めないのではない。圧のムダに強い三平は許しがたいが、桂竹千代さんみたいに非常に圧が強くても好きな人はいる。
それはさておき、噺からしっかり距離を置くスタイルには、客の協力が欠かせない。
演者が提示している素材を、客が自分で自由に味付けすることで完成する。
演者はいかようにでも解釈できる素材を提供しなければならないし、客は客でぼんやり聴いていたら話にならない。

この味をマンガから感じ、気付いてあれ、と思った。
それまでの認識は逆。活字媒体よりマンガのほうが、説明過剰になるんじゃないのか?

だがそうじゃないのだ。
小説の場合、説明は必要性に基づき行われているのである。
登場人物の風体からものの考え、あまりにも描写がないと読者がついていけないので、人物背景の説明が、必要な箇所で行われている。
ハードボイルドという手法がある。登場人物の内面を説明しないスタイルである。
小説が説明から逃れられないという限界を突破しようとして、このアンチテーゼが生まれてきたわけだ。

いっぽうマンガのほうは、最初から説明がなくても付いていけるのである。
絵が提供されることで、読者は説明を求めなくなるのだ。
実際には人物画があっても、人間についてはなにひとつ語られていない。その行動原理もわかりはしない。
小説でいうハードボイルド。
だが、読者が求めないから、説明の必要性もなくなるのである。
このため、マンガのストーリーは大変軽やかだ。

長くなったので続きます

 
 

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。