ないときは全然ないのだが、テレビの落語が一気に録れた。
今日は触れないが、BSよしもとやBS松竹東急もあって。
古今亭菊之丞師は「日本の話芸」初登場だそうで、寝床を掛けていた。
今日はその本編よりも、マクラについて。
なんとNHKで三平の悪口だ。
池袋演芸場で久々に同期で先輩の三平に会ったのだと。たまたまそういう順序だったのだそうで。
おやと思った。浅草にしか呼ばれない三平が、池袋に出演とは実に珍しい。鈴本ほどではないものの、年1回あるかないかの珍事だ。
思わず調べてしまった。6月上席昼、圓太郎師の芝居である。柳朝師との交互出演。
三平について「笑点クビになったあとの三平アニさんです」。先制パンチ。
菊之丞師が楽屋で昔話などしていると、「俺は古典落語に力を入れるよ」と三平。
「遅いと思います」と菊之丞師。
落語モノにするのは時間が掛かるのだ。もう50になる三平アニさんがが落語をものにするのは、70の頃だろうと。
公共の電波どころか公共放送でもって、キツイよなあ。エールと言って言えないこともないけども。
古典落語なめんなよという菊之丞師の本音が漏れ聞こえる。
今から振り返るとあの世代の噺家たち、修業時代からみな「あの人はダメだ」と思い続けてきたに違いない。
ちゃんと落語やらず浮ついてばかりいると。
菊之丞師はひとり真打であった。いわゆる○人抜きではないが、抜擢である。
その前の三平もひとり真打であったが、これはひとりでやるためわざわざ香盤を下げたというだらしないもの。
当時はそれでも、世間的には明るい坊っちゃんで通ってもいた。だが近くで見ている人の評価がいちばん怖い。
正蔵師が本業で出世してしまったのもかえってまずかったのでは。
正蔵師がここまで立派になると、当時考えていた人は少なかろう。だが奇跡の成功を収めてしまった。
本当は急に切り替えたわけでなく、タレント時代にすでにいろいろ考えていたのだろうけど。
弟はそれを見て、いつでもなんとかなるだろうと考えてしまったのであろう。
三平の話は長くなるのでこのへんで。
菊之丞師、お客さんの都合を考えずに長くやる噺家の批判も、師匠・圓菊の口を借りて出していた。「小三治さんじゃねえんだから」。
浅草お茶の間寄席には、林家ひろ木師が出ていた。
ずいぶん以前、4月中席、三遊亭律歌師の披露目の席の収録。放送未定のまま撮るだけ撮っておいたらしい。
面白いことに、落語でなく津軽三味線で出ている。
ひろ木師、二刀流だと喧伝されてるのだけど実際にやってるところを知らなかった。寄席で三味線出してるんだ。
もっとも、本物の色物さんのように赤字で書かれてはいないようだ。
交互出演も多い様子からすると、落語の枠で三味線を持つらしい。
近年、噺家さんが余芸のほうで高座に上がる例は知らない。
川柳川柳師のラ・マラゲーニャぐらいまで遡らないといけないのでは。
柳家一琴師も、紙切りでは寄席の高座に上がっていないと思う。
ひろ木師の本業のほうは池袋で聴いた。きく麿師の代演だったのだが、なかなかいい高座だった。
「熊の皮」を、かみさんの尻に敷かれるドキュメンタリーとして語ってしまう得難い人。
今回話芸の部分は、三味線を抱えていてもほぼマクラ漫談と同じ。
「若手では有望株と言われてます」なんて内容とは裏腹に、自信なさげに自虐を吐いていくという。そして全然押さない芸。
本当にたどたどしい語りなのに、客には不快感は与えない。
三味線の師匠は故人の太田家元九郎。なんたってにっぽん代表だかんなー。
私もなんどか高座を聴いたが楽しい師匠であった。
そしてひろ木師の三味線、実に達者でまた驚いた。三味線の上手さをよく理解してるわけじゃないけども、私だってジャズで耳は鍛えてきたのだ。
これなら、色物として寄席の10日間顔付けしてもらえると思うんだけどな。浅草以外でも。
ちょっと反省しないとならないことがある。
私はしばしば、浅草にしか呼んでもらえない三平を揶揄している。
だがひろ木師だって現状、出番はほぼ浅草だけなのだ。
一方を馬鹿にし、一方をこれから期待の星として持ち上げるのもどんなもんだろうかと。
まあ、好き嫌いばかりは仕方ない。
浅草もたまには行かないとね。
浅草お茶の間寄席のインタビューには、新真打の春風亭昇也師が出ていた。
出演が遅いが、TVKでは高校野球の予選があったせいだろう。
この人の落語がめちゃくちゃ好き、ということはない。私の行った披露目も、柳雀師のほうだった。
ただ、客観的に上手いなと評価していることが多い。
だが、それよりなにより、この人の漂わす大物感はなんだろう。
若手大喜利でも、もっぱらツッコミ芸を見せているから、派手さはない。だが現代売れてるお笑いの人はツッコミ芸人が多いのを見てもわかる通り、全体を見渡すプロデュース能力が高いのだろう。
落語のほうもどんどん上手くなっている。今回出した壺算は、かつて聴いたものより華やかさ、軽やかさが増していたように思う。
将来的には、柳亭小痴楽師と一緒に落語イベントのプロデュースをしているに違いない。
さらに言うなら、痴楽会長、昇也副会長だとピッタリだなと思っている。20年後の話です。
痴楽会長、昇也副会長いいですねぇ。
ついでにもう一人、鯉八副会長もサポートで付いたら・・・
そのころの講談協会会長は白山先生でしょうから、成金メンバーばかりになるのもまずいかな?などと俺も勝手に妄想膨らませました。
まあ、成金はやはり抜けてますね。
ツッコませてもらうと、芸協の講談師は日本講談協会なのでありました。