2019芸協らくごまつり その2

未知とのSO GOOD!~楽屋都市伝説~

続いて次のコマ。楽屋都市伝説に向かう。
教室間移動は大混雑。人が右往左往する中で、入場待ちの列が伸びている。
入場の列を整理するのは、三遊亭遊馬師。
この師匠は、この交通整理の後、末広亭で出番。その後会場に戻ってきて、また入場整理をしていた。
こういう中堅、実力派の師匠が裏方に徹していたりする。噺家さんは偉い。

楽屋都市伝説には、大好きな柳家蝠丸師匠が顔付けされている。
大好きなのだが、その高座は2回しか聴いたことがない。
暮れの池袋中席で毎年主任を取っているので、今年こそはと思っている。ただ、その次の下席(落語協会)がやたら面白いので困ってしまう。

都市伝説を語るメンバーは次の通り。漫談なので、教室で行われるプロの催し物ではもっとも落語に近い。

  • 三遊亭あんぱん(前座)
  • 三遊亭吉馬
  • 神田紅
  • 柳家蝠丸
  • チャーリーカンパニー

三遊亭圓馬師が、弟子の吉馬さんと共同司会。

前座の三遊亭あんぱんさんがいきなり爆笑をさらっていく。笑遊師の弟子。
別に、ネタが面白いわけではない。語り自体は、支離滅裂。グダグダ。
ほぼ、キャラとしての笑いである。
しくじりが多い前座なので、楽屋で「のせもの」を米福師匠のカバンに強引に押し込んだと言われているそうで。

圓馬師に「のせもの」をお客さんに説明したらどうと水を向けられているが、日本語に翻訳できない与太郎チックなあんぱんさん。
結局、「カバンに押し込んだ」は事実ではないのだが、やや似たことがあり、米福師に間接的に叱られたことは確からしい。
噺家の世界、あまりにもしくじりが多いと修業以前にクビになってしまうが、こういうキャラの立った前座は貴重だ。
やり過ぎない程度にしくじり続けて欲しい。

吉馬さんは、師匠・圓馬の亡くなった師匠、橘ノ圓から引き継がれる一門の名前の都市伝説について。
圓のお墓は葛飾区にあって、私、旧名馬ん長と弟弟子馬ん次も葛飾出身なので、大師匠が呼んでいるのだろうと。
師匠の前で緊張したのか、なんだかオチもよくわからないネタだった。
もっともこの人、この後のコマ、「楽屋の中のハナシカ」ではかなり笑わせてくれた。なかなか面白い人だ。
馬ん長時代に池袋で聴いているはずなのだが、まったく覚えがない。
その、2年前のこどもの日には、隣にいる師匠・圓馬師の「佐々木政談」を聴かせていただいた。

紅先生は、若くして亡くなった弟子、陽司の話。
あまり練れていなかった印象。講談師の場合、マクラとしてのネタ作りは、落語に比べると少ないものな。

期待の柳家蝠丸師匠が、期待を上回る爆笑。
都市伝説も毎年出ていて、もうネタがないんだと例の口調で。
だが、奇跡的な最新の実話がある。
地元、練馬で新たに越してきたお婆ちゃんに、山川豊に間違えられたという話。
山川さんに似てるなんて言われたこと、アタシ一度もないんですけど。

さらに練れて、マクラとして高座でも披露されると思うので詳細は書かない。
ネタの内容よりも、噺家としての強烈な個性が出たすばらしい一席。

蝠丸師、ホントに練馬のアパートにひとりでお住まいなんでしょうか?

チャーリーカンパニーのお二人もそれぞれ一席。
日高てん師匠は、怪談と思わせておいての落とし噺。まるで落語の「庚申待ち」の劇中噺みたい。
相方、菊地じん師匠は、楽屋の有名人、東京丸師匠のネタ。
京丸師、楽屋の畳の目でずっとあみだくじをしていたという。なにがなんだかわからないが変人であることは間違いない。

チャリカンのコントは、一昨年、芸協の寄席ではなく、国立の五代目圓楽一門会で観た。
子供の頃からTVで観ている日高てん師匠が、会場を歩いているのを見て嬉しくなってしまった。

続きます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

十代目 桂文治『やかん』 cw 『二十四孝』MEG-CD
価格:1851円(税込、送料別) (2019/5/27時点)

楽天で購入

 

 

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。