神田連雀亭に二ツ目の何割が出ているのか・・・半分が出ています

神田連雀亭は、二ツ目専門の寄席であり、落語が安く聴けていい。
私もたびたび出向いている。
この席、二ツ目の全員が出ているわけではない。なので、真打になるまで活躍を知らない人も結構いる。
いっぽう、繰り返し聴く人もいる。

このたび5月の芸術協会の新真打3人のうち、柳亭明楽師は出ていなかった。まあ、出ていたオタク落語の春風亭吉好師も聴いたことないのだけど。
秋の落語協会の昇進予定者4人も、最後まで出ているのは柳家さん光さんだけ。
立川流の立川こはるさんもしかり。この人は巣鴨スタジオフォーでようやく聴けた。
その先も、芸術協会春の真打のうち、山遊亭くま八さんは出ていない。
落語協会の抜擢真打も、林家つる子さんは出ているが、三遊亭わん丈さんは出ていない。

同じ一門でも、出ている人、いない人がいるので、師匠の意向は特になさそう。
師匠の意向がもしあるとするなら、運営から放逐された古今亭志ん輔一門だけではないかな。
ちなみにこの際にリニューアルがあり、それまで参加していた人の多くが卒業した。志ん輔師に義理立てがあったのかどうかはわからない。

番頭を務めていて、真打昇進以外の理由で出なくなったのが元・三遊亭天歌さん。
連雀亭の壁にはメンバーの木札があるが、天歌さんのものは「新真打」にまとめて置かれている。

現在の演芸界を、連雀亭メンバーはどこまでカバーしているのだろう。
ちょっと気になったので、調べてみることにします。
2023年5月の番組表から、メンバーを抜き出してみた。

橘家文吾落語協会
金原亭馬久落語協会
三遊亭ぐんま落語協会
三遊亭ふう丈落語協会
春風一刀落語協会
春風亭一猿落語協会
春風亭一花落語協会
春風亭㐂いち落語協会
桃月庵白浪落語協会
入舟辰乃助落語協会
入船亭遊京落語協会
柳家あお馬落語協会
柳家さん光落語協会
柳家花ごめ落語協会
柳家花飛落語協会
柳家吉緑落語協会
柳家小はぜ落語協会
柳家小はだ落語協会
柳家小もん落語協会
柳家緑助落語協会
柳亭市次郎落語協会
柳亭市若落語協会
柳亭市寿落語協会
林家あんこ落語協会
林家つる子落語協会
林家なな子落語協会
林家彦三落語協会
桂笹丸落語芸術協会
桂伸しん落語芸術協会
桂伸べえ落語芸術協会
桂鷹治落語芸術協会
桂竹千代落語芸術協会
古今亭今いち落語芸術協会
三遊亭吉馬落語芸術協会
三遊亭金の助落語芸術協会
三遊亭仁馬落語芸術協会
三遊亭遊かり落語芸術協会
三遊亭遊七落語芸術協会
春雨や晴太落語芸術協会
春雨や風子落語芸術協会
春風亭橋蔵落語芸術協会
春風亭昇市落語芸術協会
春風亭昇輔落語芸術協会
春風亭昇羊落語芸術協会
春風亭弁橋落語芸術協会
笑福亭希光落語芸術協会
笑福亭茶光落語芸術協会
昔昔亭喜太郎落語芸術協会
瀧川鯉丸落語芸術協会
瀧川鯉舟落語芸術協会
瀧川鯉津落語芸術協会
瀧川鯉白落語芸術協会
柳亭信楽落語芸術協会
立川幸之進落語芸術協会
三遊亭らっ好五代目圓楽一門会
三遊亭栄豊満五代目圓楽一門会
三遊亭兼太郎五代目圓楽一門会
三遊亭好好五代目圓楽一門会
三遊亭好二郎五代目圓楽一門会
三遊亭鯛好五代目圓楽一門会
三遊亭鳳月五代目圓楽一門会
三遊亭樂八五代目圓楽一門会
三遊亭萬丸五代目圓楽一門会
立川うぃん立川流
立川がじら立川流
立川だん子立川流
立川らく人立川流
立川らく兵立川流
立川吉笑立川流
立川志のぽん立川流
立川志の太郎立川流
立川志の彦立川流
立川志の麿立川流
立川志ら門立川流
立川志ら鈴立川流
立川笑二立川流
立川寸志立川流
立川只四楼立川流
立川談吉立川流
立川談洲立川流
桂紋四郎上方落語協会
三遊亭はらしょう東京演芸協会
桂優々フリー
一龍斎貞奈講談協会
神田こなぎ講談協会
田辺いちか講談協会
田辺凌天講談協会
宝井梅湯講談協会
神田紅佳日本講談協会
神田紅純日本講談協会
神田桜子日本講談協会
神田松麻呂日本講談協会
神田真紅日本講談協会
港家小ゆき日本浪曲協会
国本はる乃日本浪曲協会
東家恭太郎日本浪曲協会
東家孝太郎日本浪曲協会
東家三可子日本浪曲協会
富士実子日本浪曲協会

各団体内の並び順は、Excelの「昇順」である。
香盤順、とか言うと大変なのでご勘弁。

芸協の講談師は、日本講談協会のほうでカウントしています。

ここからいろいろなことがわかる。
上方落語は、芸協の鶴光一門を除くと、現在2人だけ。鶴光一門も2人だが。
桂優々さんは師匠・雀々ともども完全フリー。
上方落語協会所属の人は、桂紋四郎さんだけ。
木札には他の名前もあるのだが、実際には出ていないようだ。移動に制限のなくなった今後は増えるのかもしれないが。

落語協会、芸術協会は27人で同数。5月までは、芸協のほうが2人多かったわけだ。
いっぽう、円楽党は9人に対し、立川流は17人と倍近い。規模は同程度なのに。

各団体の、二ツ目出場率も調べてみる。

  • 落語協会 63人中27人(出場率42.9%)
  • 落語芸術協会 52人中27人(出場率51.9%)
  • 五代目圓楽一門会 16人中9人(出場率56.3%)
  • 落語立川流 22人中17人(出場率77.3%)
  • 講談協会 7人中5人(出場率71.4%)
  • 日本講談協会 7人中5人(出場率71.4%)

浪曲はそもそも二ツ目の制度がない。「二ツ目相当」を選び出さないといけないのが面倒で、やめた。
種目を問わず、「二ツ目格」ではなく二ツ目全体の出場率は、167人中90人なので、53.9%。
特に講談の人は、寄席に出ることを強く求めているように思われる。

落語では、立川流が異様に出場率が高い。
「寄席の否定」から始まった団体の、寄席出場率の高さという。
これはどう解釈したらいいのだろうか。談志の望みとは違う気がしないでもない。別にいいけど。
以前立川かしめさんを聴いたのだが、いつの間にか抜けている。なかなかユニークな人だったが、今後聴く機会は恐らくありますまい。
落語協会は出場率が半分以下である。わりといろんなところに出られるからなのだろうか。
芸術協会も、率で見ると決して多いわけではなかった。

連雀亭出場者の、種目も分けてみた。全99人中。

  • 落語 83人
  • 講談 10人
  • 浪曲 6人

どうりで、講談・浪曲を聴く機会が少ないなと思った。
講談の場合、昼席の「きゃたぴら寄席」があるため、一般の席に出る率はさらに減っていることになる。

「神田連雀亭に出てないけど、なんとか聴いている人」には誰がいるだろう。
今だと落語協会の春風亭朝枝さん。この人は一瞬メンバーで、その後抜けたのだ。
林家きよ彦さんとか、柳家小ふねさんとか出ると嬉しいのだが。
芸術協会だと、春風亭かけ橋さん。たぶん、仕事が十分あるから出ない気がする。
桂南楽さんにも出て欲しい。

(訂正)
浪曲の東家孝太郎さんがなぜか表中に2人いました。修正しています。

投稿日:
カテゴリー: 寄席

作成者: でっち定吉

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2件のコメント

  1. 連雀亭は、申告登録制とききます。
    つまり、出たいと思う前座さんや二つ目さんたちは申出した上で、顔付けされるシステムのようです。
    したがって、出ない人は申告登録していないということになります。

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