2019芸協らくごまつり その4

次のコマは休憩することにして、暑い外に出る。チューハイなどいただくことにする。
落語協会の林家時蔵師がいらした。見事に会場に溶け込んでいる。
毎回来ているようである。時蔵師は、会場の隅で普通に碁を打っていた。
面白い師匠だ。
囲碁コーナーは桂歌助師の担当だが、相手は歌助師ではない。
立川談之助師もいつものようにいらしていたようだが、見かけなかった。
このあたり、師のブログ「時蔵のこんな話あんな話」に書かれています。

外でいささか時間を持て余し、途中からまた教室へ戻る。

小痴楽さんなど人気の噺家さんやナイツは、ずっとサインを続けている。大変だ。私は別にもらわないけど。
後ろにずらっと客が並んでいるのに、芸人さんを独り占めしてずっと話を続ける客もいる。
そしてその様子を、仕事をしながら眺めている、中堅真打もいる。
こういうイベントというのは、人気が露骨に表れてしまう。まあ、じっと見ている師匠もいい味があったりしますとフォローしておく。

成金メンバーと、その下のユニット「カデンツァ」のトークの教室は、すでに札止めになっている。
なので太神楽体験コーナーを覗いてみる。
鏡味正二郎先生の担当。
子供に曲芸を体験させてほほえましく、面白かったのだが、大人も体験する。
大人が体験するのも別にいいけれど、いかにもインスタやってますよという感じの人が、一生懸命写真を撮ってると引く。
なのでまた途中で退席して、最後のコマに早めに並ぶことにする。

ジュラクゴシックパーク

瀧川鯉八、春風亭昇々の「ジュラクゴシックパーク」。なにをするのかは一切知らない。誰も知らない。
プログラムに名前のなかった昔昔亭A太郎さんも参加。

3人はイタリアに行って落語を披露してきたのだ。イタリア語を覚えて。
A太郎さんは皿屋敷(お菊の皿)、あとの二人は新作らしい。昇々さんは「生まれる」かと思ったが違うかな。

そのドキュメンタリーを流しながら、3人で語り合う、とても楽しいプログラム。
イタリアを、紋付で闊歩する3人。
食事をとっていたレストランで、交渉の上いきなり小噺を披露させてもらう。
本番の寄席の際には、おしまいにコントも。
昇々さんの長友と鯉八さんの力士が、女装のA太郎さんを取り合う。
昇々さんは、イタリア中でやたら得意のけん玉を披露する。

成金メンバーのこの3人は、やっぱり面白いや。
どこから面白くなるというのではなく、トークと映像のどこを切り取ってもすべて面白い。
極めて芸人らしい人たちである。
昇々さんはさすがTVでも司会をしていただけあって、仕切りが上手い。
そこにいい感じで二人が突っ込む。

来年、また3人でどこかに行こうということで、客にアンケートを取る。
A太郎、鯉八は春に真打昇進があるのだが、そのスケジュールを縫って行きたいということだった。
ブラジル、アフリカなどという案もあったが、結局またイタリアに落ち着いた。前回は北伊、次は南伊だそうな。
新たに言葉を覚えなくていいのでご本人たちは楽で、その点、客が忖度したところもあったかも。
イタリア人がなんとなく面白いためもあるだろう。

このイベントを最後に、閉会式を残して会場を後にします。実に楽しかった。
来年も必ず来ようと思う。
外が暑かったとしても、教室の中は涼しい。

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作成者: でっち定吉

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