「林家つる子が抜擢にふさわしくない」と落語協会まで罵るブログを批判する

しばらく前から、ネタが切れたときに取り上げようかどうしようか悩んでいたネタである。
私も当ブログについて、ツイッター等で素人から批判されることがある。
「古物買取屋ギャラリーとく」とか、「宴児家喧坊」とか、「uguisu_hetakuso」とか。
逐一逆襲はしたが。
今回は、でっち定吉のほうから出ていって他人を批判しようというのだ。
素人相手では、前例がないと思う。

名を挙げた低レベルの連中はすべて、いきなり向こうからぶん殴ってきたのだ。
「根拠を示さずいきなりケチをつける」というヤカラのやり方。
そんな連中と同じ方法ではない。根拠のある批判をするなら、こちらから出ていってもよかろう。

当ブログは「落語協会 抜擢真打」で検索すると2位、「林家つる子 抜擢」で検索すると1位である。
それぞれで、5位と3位になるブログ記事がある。
当ブログは2016年からやっている。
そちらのブログはもっとずっと前からやっているようで、老舗である。大先輩である。
しかし、批判する。
ちなみに当ブログはSimilar Webによると日本のブログで15万位ぐらいであるが、そちらのブログは圏外。
陰謀論に満ちた典型的な左翼老人ブログであり、好んで読みはしない。だがそんなブログにだって細々とした需要はあるだろうし、そこまでは構わない。
思想に対し直接意見する気などないのだ。

しかし、落語についての語り口はひどい。

林家つる子さんの抜擢が気に入らないという。
ここまでは全然OK。個人の意見。
だいたい、私だってつる子さんのこと、さして褒めたことはない(けなしてもいないけど)。
つる子の抜擢が気に入らないという意見までは、まったくニュートラル。

しかしここから一気に暴走していく。つる子さんが気の毒になった。

  • つる子はヘタ。もっと上手いのがいる
  • つる子はあざとい
  • 落語協会は安易な人気取りに走った
  • この抜擢は間違っている
  • 圓歌パワハラと同じ暴挙である

待てえ!
爺さん、あんたは神さまか。
つる子がヘタで実力がない、というその根拠は、全部アンタの脳内で生み出されて、練り上げられる論理だろうが。
その脳内理論に当てはまらないから、これを実行した落語協会においては不祥事だと。すごい論理の飛躍。
批判の根拠は、自分で決めたもの。自分で決めただけのものを、客観的視点に見せかけようとするが、あいにく成功していない。
ラッキョウの皮をどんなに剥いていっても芯は出ない。

客観的な視野というものは持ち合わせていないのか。
あるいは若いころにはあったが、認知が狂い、多様な情報を処理できなくなっているのか。

つる子さんは、関東の権威ある大会「さがみはら若手落語家選手権」を獲っている。
同じく「北とぴあ」では奨励賞。
そして、さらに重視されたと思われるのが、NHK新人落語大賞の本選出場2回。
もうあと一つぐらい受賞歴があれば言うことはないが、ちゃんと落語界に爪痕を残し続けてきた人だ。
おかしな抜擢とまでは言えない。
もちろん、人気は加味されている。しかし人気があるほうが抜擢に有利なのは至極当然。

同時抜擢の三遊亭わん丈さんを見ても、NHK本選出場はかなり評価されている様子である。
この事実はまったく無視しているくせに、女流でも桂二葉さんは、NHKを獲ったと褒めるのである。
NHK新人落語大賞は、本選出場者にとってはどうでもいい大会で、優勝するとたちまち権威になると言ってるに等しいが、自覚はないのか。
ダブスタも甚だしい。

実力の評価はもとより難しい。ブロガー個人の意見なんて屁にもならぬ。
だからこそ、受賞の事実は客観的判断としてしっかりものを言う。
二人が抜擢されるのに、「さがみはら」「北とぴあ」の二冠である柳家吉緑さんが抜擢にならないのは不思議だと私は思っている。
これも吉緑さんに受賞歴があるからで、なかったら最初から言及しない。
私にだって落語協会で遊京、馬久、小はぜ、小もんなど評価している人が多数いるが、しかし彼らに受賞歴がないのは歴然とした事実。
抜擢させろなんて口が裂けても言う気はない。
受賞歴がないのに抜擢されてしまったのが古今亭志ん陽師で、現在苦難の道を歩んでいる。ブロガー氏は、この抜擢にはなぜだか好意的。

視点を変えてみる。
「林家つる子が女性だから抜擢された」のだと、とりあえずしてみよう。そう思ったとして、それは別にいい。
でもこれ、実社会の出世競争に当てはめてみると、ポジティブ・アクションとしてむしろ奨励されることじゃないんですかね。
古臭い落語界においてはなおさら画期的だ。
昔むかしの「女真打」制度だったら納得するのかな? 真打じゃなくて女真打だから、同じ土俵に上がっていないよと。

左翼の女性蔑視たあ、ちょっと見るに堪えませんな。
まあ、そういう人も世にたくさんいるのを知ってますけどね。

思想について批判する気はないと断ったが、とはいえやっぱり今回のつる子批判にも、左翼文化人のやり口と同じ臭いを感じるのは事実。
最初に敵を決めて、あいつは敵だから攻撃するという手順。
そもそもなんで敵なの? 敵だから敵だ。まともな我々が敵だと判断したのだから敵だ。どこまで遡っても敵の根拠は定まらない。
俺も敵認定されること必至。

ちなみに、Similar Web情報によるとでっち定吉ブログは40~50代の読者が多いそうだ。
Yahoo!ブログのときもそうだったから、この情報は信用している。
今日の記事が、当ブログの読者に不評を買うことはないと確信している。

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。

6件のコメント

  1. はじめまして。まさかこのブログが記事になるとは、思わず驚きのあまりコメントしてしまいました。
    この方、あまりにもヤバいおじさんすぎて途中から面白半分で読んでいるのですが、どうもアンチ正蔵師をこじらせての今回の批判も多分にありそうですね。。
    寄席で見かけると難癖付けまくってます。

    1. いらっしゃいませ。
      アンチ正蔵は背景にあるのかなと想像はしましたが、その根拠までは見つからなかったので触れませんでした。

      やはりヤバいおじさんなんですかね。
      ヤバすぎるとなると、スルーが正解だった気もしてきました。

  2. 個人の意見を表明することや、その発表の仕方は
    個人の責任であって自由です。
    ただ、あからさまな否定の仕方は
    意見を異とする全ての人を敵に回すことになります。
    当該ブログを直接見ていないので論評する立場にはありませんが、
    定吉様の記事で見る限りでは、意見表明の表現としては
    「嫌いだ」ではなく「好みではない」程度の言い方のほうが
    適切だと感じますし、
    意見表明として適切さを欠く発言だったのでしょう。

    1. いらっしゃいませ。
      私が書いたことのみで原典を論評するのは、さすがにどんなものかと。。
      「嫌い」かどうかが問題なのではなく、「嫌い」を勝手にルール化して、落語協会にまで当てはめようとしているので批判したわけです。

  3.  ここを見てから、つる子抜擢を腐しているブログも読んで来ました。
     結論から言えば同感です。確かに酷い、嫌いから悪と断じる姿勢は主観のオンパレードですね。さらに、志ん陽師抜擢が納得でわん丈抜擢は今じゃ無いだろ、にはもう笑うしかない、本当に落語聴いているのか。NHKも吉笑の頭脳プレイと某師匠欠席が不運になったけど、抜擢につながる評価は当然でしょう。
     ぜひでっち定吉さんには、今後も真っ当な(普通な)ブログを続けてください。応援しています。

    1. いらっしゃいませ。
      「普通」と言っていただけたのは初めてかもしれません。実にいい褒め言葉ですね。
      左翼老人ブログを批判したからって、別にわたし右翼じゃないですし。

      ちなみに今になって、「林家つる子 抜擢」で検索すると、あちらの順位が上になってしまいました。あれれ。

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