思い出したが好の助師、マクラで新真打を「稀代の人たらし」と評していた。
両国の披露目で鶴瓶師が登場した。とむは本当にむかつくヤツだが、でも許してしまうんやと鶴瓶師。
師匠好楽や鶴瓶師など、売れてて余裕のある人には可愛がられるんですね。
あたしみたいな売れてもいない人間からすると、むかつくほうが先に来ますって。
そして意外と後輩からも慕われてます。
らっ好、好二郎の二人の番頭が偉いと。彼ら無給で一生懸命働いてるんですよ。いつギャラが出るんでしょう。
さて主役の高座を取り上げる前に、いったん冒頭に戻ります。
ずっと聴いてきている好楽一門、前座から真打まで今本当にスゴい。
だが新真打満堂師の高座だけ、モードがかなり違う。いい悪いではなくて。
今回は、期待の新真打のワキを固める人たちに圧倒されたので、そちらを先に出します。
前座は三遊亭けろよんさん。
2021年末のデビュー時から私に衝撃を与え続けるこの人が、さらに上手くなっていて心底驚いた。
いったいどこまで行くのでしょうか。
師匠・兼好の古典落語の創作力について「ラジオ焼き」という名称を与えたのは1週間前のことだ。
ガワはたこ焼きだが、スジコンを入れるという決め事以外中身は自由。
弟子もラジオ焼きを実践しているなと。もちろん前座なので、地味に。
雑俳において、既存のくだりが少ないので驚く。それこそ「通じを付ける」「初雪やおしっこすると黄色くポチポチ穴が開く」ぐらいか。
先日「嫌いなクスグリ」として雑俳の「吐いたことがあるのか」を挙げたのだが、そんなのも入っていない。
落語というもの、繰り返し掛けられるうちに洗練されてくると同時に、陳腐になるネタもあるのである。陳腐なネタは創作力の高い演者が排除すればいい。
そして、劇中の俳句や川柳、私の知らないものが入っていた。噺の中の教養までかさ上げされている。
「雪ということばを使わないで雪を表現するんだ」という例で。
昔の雑俳に入っているのだろうか。ただ、けろよんさんが自分で作っていたとして、私は驚かないけれど。
一昨日の記事で、いい前座の例を挙げた。
あれはけろよんさんだけを思い浮かべて書いたわけではないのだが、書いた内容はこの人に全部当てはまる。
そして、セリフとセリフの空白が絶妙。一般的には「間」というが。
終盤も、「山王の桜に三猿三下がり」へ向かわない。
普段ほど長い噺はできず、10分の高座であったが実に見事なものでした。
フリー演技雑俳で、中身がよく思い出せないのだが、圧倒された。
けろよんさんは兼好師の四番弟子で、続いては二番弟子の好二郎さん。
先日3年振りにカメイドクロックで聴いて、急になじみになった気がする。
満堂師の番頭を務めている好二郎さん、その話をいろいろと。グッズも売ってますのでと宣伝。
しかし、関係者が集まっている袖がガヤガヤし出す。
そして電気シェーバーの音も聞こえてくる。また好楽師だろうか。
以前も高座の前にそんなことをしてたから。
髭は洗面所で剃ったほうがいいと思います。
新真打のお母さんは変わった人ですと好二郎さん。天然なんですね。
武道館のチケットを50枚送ってと言われたので送りましたが、ご自宅の住所を間違って伝えられました。
今日は賑わっていますが、客の少ない寄席もあるという話。亀戸で3人だったが、2人が仲入り休憩で帰った。
前日の代演以来でクイツキに入った好二郎さん、残った1人のお客さんも逃げ出そうとしたのをトリの師匠に命じられ、外まで追いかけて止めるという。ウソだろうけど。
好二郎さんは宗論。
宗論というと、三遊亭遊雀師の型をよく聴くのだが、好二郎さんのは違う。
これは、五明楼玉の輔師から聴いた気がする。
先日「扇の的」なんて噺をやっていて、小朝師のところから来たのかなと思ったのだが、宗論もそうなのかも。
好楽一門の不俱戴天の敵とされる(実際はそんなこともない)林家からも教わっているようだし。
讃美歌の続きは、里の秋ではなく軍歌だった。「若鷲の歌」らしい。
宗論も、好二郎さんの固めの魅力に溢れる一席。
真面目にやることで、古典落語の持っているズレを浮かび上がらせる方法論らしい。
ただ、白百合女子学園のくだりを膨らます。お父様、もはや白百合女子学園に処女はおりません。この間関係者から聞きましたので確かです。
ちょっと語尾が明瞭でなくなる瞬間があるのだけ欠点だが、上手い人である。