新作落語せめ達磨 その1(きく麿花いちオープニングトーク)

子供の終業式も終われば、多少は夜席に行く余裕も出てくる。
東京かわら版をじっくり見たら、22日土曜に新作落語の会「せめ達磨」が見つかった。なかの芸能小劇場。
きく麿、駒治、花いちと私の好きな落語協会新作派ばかり。
特に古今亭駒治師、昨年も1席だけしか聴いてないが常に検討は欠かさないのだ。

予約はTIGET(チゲット)というサイトで。初めて使った。
予約2,000円。

他には池袋の小ゑんハンダ付けも気になった。
文菊師のあくび指南と、小ゑん師の鉄指南のリレーだって。
千早に続く第2弾か。

落語協会の新作派といえば、元・三遊亭天歌さんが復活するそうで。
吉原朝馬師に入門して、吉原馬雀。立派な名前過ぎて、新作のイメージは湧かないけど。
いっそ廓噺でもやり込んでみます?

土曜の中野の街は大盛況。
前回なかの芸能小劇場に来たのは4年前。鯉八、昇々の二人会。
程よく客が入っている。ここは階段状で観やすくていい。

 

オープニングトーク きく麿・花いち
実は俺… 十八
童謡づくり きく麿
(仲入り)
蛍とママ 花いち
がっかりの乱 駒治

すべてネタおろしということだが見事な高座ばかり。
おかげさまで久々に、落語脳のあまり使わない領域に血が通いました。
知らない新作を続けて聴く機会というのは、3月下席の池袋ぐらいのものである。それだって毎年参加してるわけでもなくて。
こうしたすごい会が開かれているのに、夜席だから来ないなら、なんてもったいない人生だなと思う。
まあ、午前11時から始まる火曜の梶原いろは亭に出向くのもひとつの人生だけど。

幕が開くとオープニングトークで、私服の林家きく麿師と、着流しの柳家花いち師。
きく麿師に「なんで着替えてるんだよ」と言われてたから、本来は私服でやるらしい。
花いち師、ぼく私服がダサいもんで。きく麿師は、オレなんかぞうさんのシャツだぜ。

「第104回新作落語せめ達磨へようこそ」。そんなにやってるのか。
私は花いち師のトークは不思議と聴いているのだが、先輩と二人で、ほぼ聴き役に回っているこの人を見るのは初めて。
おさん師と違って、きく麿師はいろいろちゃんとしてるみたい。

2か月前の前回、終わった後、和泉師を含めた3人で打ち上げ行った話。
駒治はクルマで来て、カギを振り回しながらクルマなんで失礼しまーすとのことで不参加。
この日もカギを振り回してクルマですと言ってたらしい。ちなみに今、稽古してきますと言ってカラオケボックスにいますとのこと。

前回の打ち上げでは結構、新作落語の未来について語ったのだと。
日頃あまり打ち上げに参加しない和泉師だが、「文枝、志の輔を巻き込んだ」新作落語の構想を練っているんだそうな。
なんでそんな、一番上を狙うんだよとトークのふたり。

夢月亭清麿師匠の話へ。
清麿師のことはあまり知らない花いち師。一門だろと言われるが、一門ですけどあまりお会いしないです。
清麿師は落語協会の相談役(※本当は監事)で、総会では極めてまともなことを言うらしい。
「よく寄席に出られないと不平が出ますが、寄席というところは精鋭が出るところで」
お前も出てねえじゃねえかとガヤからツッコまれた。
プークの打ち上げで清麿師は、俺はずっと円丈師匠を支えていたかったんだと語る。
そんなんじゃダメなんだよ、と白鳥師にツッコまれる清麿師。

そして人間国宝に決まった五街道雲助師の話も。嬉しいねときく麿師。
協会のトップでなくてもなれるんだねとふたり。
雲助師、理事を降りた後で訊いてみたことがあるんだよときく麿師。もう理事はやらないんですかって。
モノマネ付きで、俺なんかいいんだよ、会長だったら考えるけどと。
きく麿師が言う。お弟子さんが育ったんで国宝になれたってことかな。
だって松鯉先生だって、伯山が急に出てきたんでなれたんでしょ。
弟子がいなかったら、国宝にする? 腕は別にして。
花いち師が、「腕は別にして」にやや引っ掛かる。
きく麿師の言うのは、「実力の問題ではなくて」という意味ではあるとフォローしておきますが。
きく麿師、俺が売れたら木久扇も国宝になれるのかなと。

このところ忙しいきく麿師。8月上席(夜)は鈴本の初トリ(拍手)。
花いち師いわく、ちょっと前まで鈴本には入ってませんでしたよね。
そうなんだよ。顔付け自体されてなかったんだから。
呼ばれても出ないよって言ってましたよね。
そう。だから鈴本のトイレ流さないでおいてやろうとか。次の人がビックリして、「鈴本め」って。
鈴本の主任芝居ではネタ出しで、奇数日に爆笑噺を、偶数日に人情ものをやるとのこと。
花いち師が「人情もの…」と絶句する。

11月の鈴本(主任:喬太郎)では、きく麿師の企画で三題噺をやる。
白鳥アニキによると、三題噺が一番盛り上がるし客も入る。
8月の鈴本でも9日目に三題噺があるが、それとの関係はよくわからなかった。
お前もどうだと振られた花いち師、絶対無理ですよ、3時間ぐらいで作るんでしょ。できませんよ。
なんとかなるよ。もしできなかったら土下座すればいいんだから。

最後に花いち師、「こないだ後輩に、『生きづらそうですね』って言われました」。
アニさんは生きづらくはないですか。別にぼくも生きづらくなんてないんですけど。
生きづらいという言葉の使い方がよくわからないな。毎日楽しみを見出してるよ。高座を見て、「赤いな」とかね。コリアンダーだよ。
急にスパイスが出てきてなに? と思ったら、コリアンダーではなく「ポリアンナ」。ハウス世界名作劇場のポリアンナ。「よかった探し」ということらしい。
女性にウケてました。
そこからカルピス&ハウスのアニメ談義が始まる。昔はカルピスで、赤毛のアンからハウスなんだよ(正確ではないようだが)。
おれ、アニメ大好きだからねときく麿師。

全然関係ないけど、「生きづらさ」をテーマにしたブログ記事があるのでよかったら。自分では気に入ってるもんで。

「生きづらい」を吹っ飛ばせ(ロッチのコント)

楽しいトークでした。
この日の順番は、十八、きく麿、花いち、駒治とのこと。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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