新作落語せめ達磨 その2(林家十八「実は俺…」)

前座はきく麿師の弟子の十八さん。
私の一推しの前座である。今年早くも三度目の遭遇。
楽屋でトークを聴いてて緊張してきました。私が売れたらうちの師匠がワンチャン人間国宝あるってことですよね。頑張ります。
今日は新作をさせていただきたく、用意してきました。

きく麿師の弟子ということは当然新作志向なんだろうと思うが、前座であるから新作を聴くのは初めて。
2席聴いた古典でもって、すでに私は十分高く評価しているのです。
こんな会や、池袋の新作まつりでもないと新作は掛けられないが、素晴らしい内容でした。
前座の新作を聴く機会は少ないが、きよ彦、ごはんつぶに匹敵するレベル。つまりスゴイ。

師匠に新作の稽古も付けてもらいます。
他の一門は知りませんが、私の場合はワープロ打ちした原稿を読んでもらって、指摘をもらいます。
と振って、男と女の会話。
あなた、私に隠し事してるでしょ。しょっちゅう電話が掛かってくるし、すぐ電話で呼ばれていなくなっちゃうし。せっかく約束してもドタキャンだし。
女がいるでしょ。

日常を描く新作落語かと思ったら、ここから2段階で飛躍をしていく。
いや、最後マクラを回収するメタ構造に入り、計3段階。東京の新作落語はやはり「飛躍」が重要なのだ。
アイディアもいいし、その前に落語としての演技もいい。やっぱり、古典落語をちゃんとやってる人だからこそ。
新作台本も、十八さんが素人として落語協会台本募集に応募したら通りそうな。

演題は、すべてせめ達磨の公式サイトにアップされていた。
この噺は、「実は俺…」とのこと。

どこまでネタバレしていいか、悩むなあ。
なにも書かないと、新作落語家林家十八の魅力が伝わらないではないですか。だからまあ、新作落語の設定でもって、比較的ありがちに見える部分だけ書く。
ありがちに見えつつ、アイディア一発の落語でないということはお断りしておく。

男も女も、秘密を抱えている。それも互いに言うわけにいかない秘密を。
やむなく秘密を明かす男に女は安心するが、男のほうも女に不信感を持っている。
男の本名は、たけし。女の名は、うさぎ。
名字は御茶ノ水(本当は本郷)、それと月野。
終盤出てくる敵は、林家正楽師匠そっくり。
見事力を合わせてピンチに対処するが、最後になんだこんな噺は、と師匠に叱られるシーンになる。
マクラを回収し、本編も回収していながらのメタ構造。見事。
師匠同様、女性に非常にウケてました。

前回、十八さんを聴いたのは、黒門亭。
そのとき激賞したら、こんなツイートで因縁つける奴がいた。

人間の使う言葉に翻訳すると、次のとおりと思われる。
「でっち定吉は古今亭佑輔の高座を聴いて実は非常に感心したのだが、以前から評価していないため今さら褒めるわけにいかず、やむなくマクラをけなしてかろうじて留飲を下げた。賢い俺はそれをすべて見抜いたのだ。でっち定吉は師匠の古今亭志ん輔が大嫌いなので、弟子の佑輔は当然に嫌いである。佑輔嫌いを正当化するため、なんでもない前座を当てつけに褒めたのである」

未来の新作落語の大家、林家十八に謝れ。ユーカリしか食わない有袋類の脳ミソめ。
そもそも当ブログの読者なら、次の両方とも成立していない決めつけであることがおわかりのはず。

  • 一度決めた評価は一生変えない
  • 師匠が嫌いなら弟子も嫌い

勝手に自分の納得する世界観を作り上げて、人をそこに押し込めるな。
だいたい当ブログが師弟問題(つまり、師匠と弟子への評価が最初から一致し得ない)でもってどれだけ世に露出していると思っているのだ。
宴児家喧坊とかuguisu_hetakusoは、私がツイートを晒した後ブロックして逃げた。今回はスクショを取ってある。
この一撃筆殺とか言うヤカラは、Zabu-1グランプリにおける「らむ音」さんへの私の論評にもケチを付けている。女流のストーカーかよ。

年末の「落語界の困った人たち2023」のネタがどんどんできつつあるな。
脱線復旧。

続いて師匠の林家きく麿師。前回きく麿師を聴いたのも、その黒門亭(トリ)だった。
「弟子の十八に言いたいことは、もう少し正楽師匠のクオリティは上げないとダメですね」。

きく麿師、以前はもうちょっとブクブクの体形だったが、オープニングトークによると「人間ドックで引っ掛かってからちょっと痩せた」とのことだった。
同じくトークでは、「ライフの段ボール餃子が大好き」なんて話もしてた。ライフの安い餃子は段ボールの味がして好物なんだって。
雲助師匠の話はトークに続いて出す。
謝楽祭で雲助師のモノマネをしたいきく麿師、直接許可をもらいに行った。「まあ、おやんなさいよ」と言われた。
正雀師のモノマネもしてたけども、トークのほうだったか?

続きます。

作成者: でっち定吉

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