国立演芸場23(上・三遊亭兼好「蛇含草」)

やらかした。

無料落語愛好家の私でっち定吉は、16日には毎度おなじみカメイドクロック落語会を予定していた。
今回は三遊亭兼太郎さん。1部は午前11時開始。
しかし朝4時に目が覚めてしまい、仕事を一発やっつけて二度寝したら寝過ごした。11時には間に合わない。
それはいいけど、どうするかな。
この日もうひとつ行きたいのが、国立演芸場の定席。
3割引きの仲入り後から。
芸術協会の芝居だが、お盆の日替わりメンバーでクイツキが兼好師、トリが好楽師。
ぜひ行きたい一方、ネタがこうなる予感。

兼好「堀の内」または「粗忽の釘」
理由は、クイツキだから。

好楽「三年目」
理由は、お盆だから。

どちらも嫌なわけじゃないけども。予想通りだとやや欲求不満かも。
三年目は過去3回聴いて、今年も聴いた。
よし。ならカメイドクロック2部から国立仲入り後にハシゴして、師匠、弟子、孫弟子の三代を勝手に聴き比べよう。
完璧。

と思ったのだが、時間があり余っているわけでもないのについアトレ亀戸のQBハウスに入ってしまう。5人待ち。
おかげで、カメイドクロック落語会には間に合わなかった。
孫弟子、残念。
なお、食事してないのでもともと時間はキツキツ。
昼食を「いろり庵きらく」で済まし、否応なしに国立行き。
亀戸は、わざわざ電車賃払って髪を切りに、そして立ち食いそば食いに来るところじゃない。
そばの量が倍の、辛口のりつけそばは旨いけど。

ビンボーハシゴを試みて、ビンボー人御用達床屋でトラップにハマる。
まあ、実に俺らしいやな。
反省は、しない。
悔しいから錦糸町まで一駅歩こうかとも思ったが、そこまで時間の余裕もない。

錦糸町から半蔵門線で半蔵門へ。
国立ももうすぐ、長いお休みだねえ。
相変わらず、発券には時間が掛かる。そして、別日のチケット買ってる人もいるので並ばされる。

ちなみに、予想の演題は嬉しいことにどちらも外れ、まったくの想定外でした。

幕が開いて兼好師から。
夏の疲れがたまっていらっしゃるところ、お足を運んでいただきありがとうございます。
いろいろおありでしたでしょう。法事とか。お墓参りとか。
孫がやってきてクタクタとか。

今日はわりと過ごしやすいですね。
でも、みなさん夏の疲れが蓄積してますから、こんな時こそ注意です。
40度近いときは、みんな負けるもんかと(左手ガッツポーズ)歯を食いしばってますけど、危ないのは今日の寄席が終わってからですね。
町内の奥様同士の会話でも、あら、いつも一緒の佐藤さん、どうされたの。
佐藤さん、お亡くなりになりました。
え、昨日まで元気だったのに。私、一緒に国立演芸場で落語聴いたのよ。いったい誰の落語が当たったのかしら。

食べるものも大事ですよね。
魚肉ソーセージなんていいらしいですよ。
よく最近、お歳を召した方は肉がいいっていいますでしょ。肉を食べると元気になるって、あんなの嘘っぱちですからね。逆ですよ。
元気だから、お肉が食べられてるんでしょ。脂肪の入ったロースとか。
元気じゃない人はですね、お肉なんか食べられないんですよ。
米丸師匠みたいに、100歳を目前に朝からステーキなんてひともいますけど、元気だからなんですよ。
その点魚肉ソーセージなら誰でも食べやすいからいいですよ。
先輩にですね、貧乏な人がいるんです。
この人と飲みに行くと、最初に魚肉ソーセージをたっぷり頼んじゃう。まずこれでお腹いっぱいにしてやろうということなんですよ。
この先輩、仕事ないけど元気です。

大食いの人っていうのは、胃袋と脳の配線が切れているみたいですね。
普通の人は、満腹になる直前で脳に信号が伝わって、ああお腹いっぱいだとそこでやめるわけです。
大食いの人は、ここが切れてますから。
大食い大会に出るような人は、出ているうちに切れるようになるみたいですね。

仲入り休憩後のクイツキだが、場内大爆笑と共感の渦。
今日もさすがですな。そして、流れる所作にトリップしてくる。
本編は大食いの噺らしいが、蛇含草だろうなと思う。
メジャーな「そば清」と思わなかったのはなぜだろう。
兼好師がどちらの噺をやるのか私は知らないのに不思議だ。

お持ちなのも知らない(モチだけに)蛇含草だが、それはそれは見事なものでした。
鯉昇師から来ているのだろうか。
つい先日、鯉昇師から死なないバージョンを聴いて驚いたが、上方のラジオでもこのタイプを聴いたので、昔からあるのかもしれない。
円楽党でもかつて楽大師などで聴いた噺だが、出どころがそもそも兼好師なのかもしれない。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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