西新井いきいき寄席(上・柳家喬太郎 立ち食いそばとストライキ)

東京かわら版、たまに見逃してる会があって、直前に見つけたりして。
足立区西新井で、金曜昼間から柳家喬太郎師が出るじゃないか。
当日券あるので、決行。

いきいき寄席。ストレートな名称でよろしい。
東京都弘済会主催で、500円。
今月大井町で三遊亭兼好の会、ゲスト喬太郎というものがある。
これも平日昼だからまだ空きがある。行こうかなと思うが、4,000円と高い。
結局ケチなほうがだいたいトクをするのだなと思う。

今月は、他にもタダの会に複数回行く予定。
お前みたいな奴がいるから景気が上がらない? すみません。

西新井は東京の北の外れ。
実は仕事で何度も来ていて土地鑑もある。10年近くご無沙汰だが。
あかにし道を極めようと、都営交通の1日パスを700円で購入する。
三田線西巣鴨から、誰も呼ばない東京さくらトラムと、舎人ライナー、さらに都バスと乗り継いで西新井へ。
昔、乗り物大好きのうちのチビを喜ばせてやったルート。
…2時間半掛かった。ちょっと後悔。大阪に着いてるな。

まず現地に行ってみると、ちょうど当日券の売出し開始時刻。
この会は都民が対象なのだが、当日券に関しては居住確認などなかった。
ふた駅先の埼玉県民が入れないと気の毒だから、この点書き記しておきます。

会場のギャラクシティにも数回来ている。立派な遊び場で子供を遊ばせたり、プラネタリウムを観たり。
ただ、ホールは初めて。大きなホールが埋まっていて壮観。

西新井の駅は10年前となにも変わっていない。当たり前か。
今Tポイントと三井住友カードのWキャンペーンしているドトールで時間潰す。
自由席。開場に遅れてゆっくり参上。

 

道灌 駒介
無精床 小駒
普段の袴 喬太郎
(仲入り)
和助
抜け雀 馬生

変なルートで来たのでくたびれた。眠くて仕方ない。
最初から寝せてもらう前提で前座を聴く。すまん。
金原亭駒介さんは初めて。体の大きな人。
前座の分際で、Wikipediaに記事が立てられている。
実にプロっぽい喋り。前座離れしている。
それに、みんなやっていそうで微妙に違う道灌を掛けていて、創作力もありそう。
だが、これだけではまだよくわからない。寝てるヤツにどうこう言う資格はないが。

二ツ目は最近カラーで蘇った志ん生のひ孫、金原亭小駒さん。
マクラでまた寝落ちしてしまうが、本編、無精床に入って目が覚めた。
その前に海老床を振って拍手をもらい、「拍手するほどでもないですけど」。
現代ではちょっとひどすぎる噺で、床屋のバイオレンスに客が引き気味に思えた。気のせいかもしれないが。
ただ、そこを突き抜けてからは噺に軽快さが出てきて、いいものだった。
こういう噺はバカっぽくやれれば正解ですな。

床屋の客のすり鉢頭を親方がしばきあげるので、冗談言っちゃいけねえの冗談落ち。
変なところでサゲるが、時間は15分やってて十分。グロくなる前にやめようという判断らしい。

開演から30分弱、早くも喬太郎師の出番。
前座の駒介さんが釈台と、座布団を折り畳んでこしらえたあいびきを持ってくる。
待ってましたの声に、「前座の駒介さんと、小駒さんが出ただけなんで、そんなに待ってません」。

立ち食いそばの話。
チェーン店のそば、つゆも麺もみんな旨くなってしまいました。富士そばやゆで太郎、小諸そば、それからJR系のいろり庵きらく、そばいち、あじさい茶屋。
でも、そういうのが食べたいわけじゃない。なにこのかき揚げ、焼いたのみたいなのが食べたい。
この点、北千住の駅そばは最高ですな、なくなって欲しくないものです。
それからここ西新井、駅のホームにあるのはそばでなくてラーメン。これもなくなって欲しくないです。
西新井の皆さんにとって、あれはソウルフードじゃないですか。
なくなったらなくなったで別に困りはしないでしょうけど、あって欲しいですよね。

喬太郎師のホーム、池袋という貧民窟の話。
なくなってほしくないものとして、池袋西武の話題に。
8月31日のスト決行、驚きましたね。
日本でストなんて耳にするのは子供の頃以来です。私今年還暦ですけど。
…え、なにその反応。ほんとは古希だろうって思ってません? 人を髪の毛だけで判断しちゃいけないなあ。
笑点の昇太師匠は、私より4つ上ですよ(客、エー)。
エーってなんだよ、と怒って寝そべるキョンキョン。客、拍手。

ストの話題に戻し、左卜全について。
いいな、この反応。今日のお客さんはすぐ響いていいですね。
左卜全は、落語の死神に出てくるような、いかにもお爺さんでしたよ。
その人が、老人と子供のポルカという曲を出して、流行ってました。私も、意味もわからず歌ってましたよ。
大人になって、ひとりカラオケボックスで歌ったりすると、ああそういう意味だったんだなと。
1番が「ゲバゲバ」つまりゲバルト、2番が「ストスト」つまりストライキ、3番が「ジコジコ」つまり交通事故。
老人と子供という、弱者に寄り添った歌だったんだなと。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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1件のコメント

  1. 駒介さんは三味線が上手な前座さんですね。音曲が得意な器用な方です。赤坂で春輔師匠の前座で出ていたのを見たことがあります。

    左ト全、知ってる人は60代以上でしょうね。ズビズバー。

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