柳家わさび「五目講釈」と、デキ批判に関する釈明について(浅草お茶の間寄席)

日曜日の浅草お茶の間寄席を、リアルタイムで観ることは少ない。
今日は昼ごはんのそばめし(オリバーどろソースで作ります)を食べる段になって、何の気なしにテレビを付けたら柳家わさび師が映っている。
途中からだが、演目が「五目講釈」とのことで、珍しいなと聴いてみることにした。
ちなみにそばめしは絶品だった。
豚肉とほうれん草と、ご飯と切り刻んだ焼きそばを炒めてどろソースで味付けする。隠し味として、醬油とみりんを煮詰め冷蔵庫で寝かせて作ったかえしも入れてある。
私、Yahoo!ブログの頃、男の料理ブログもやってたんです。もうやる暇はない。

浅草お茶の間寄席は出演頻度が偏っている。柳家わさび師はやたら出る。嫌いじゃないから、いいけれど。
あとよく出るのは、柳亭こみち師。この人は視聴者の期待も大きいのだろう。
昔昔亭A太郎もやたら出ていたが、最近見ない気がするが気のせいか。撮影会のやりすぎの苦情でもあった?

この放送、珍しいことに田代沙織さんのインタビューが、一席やった後についていた。
本当は「死神」がやりたかったとのこと。
ただ、ヒザ前(たぶん一朝師)が「短命」を出してしまったのでツくと思ってやめたそうで。

日大の不祥事を詫びて、ビッグモーターから「二世」に話を振って本編へ。
二階の居候である若旦那(つまり二世)を巡る夫婦喧嘩から、若旦那が亭主に叱られている。
浅草演芸ホールにいたお客は、十中八九「湯屋番」だと思ったのでは。
二階の若旦那を下からつつくなんて場面もあったし。
ただ、トリネタにしては湯屋番は小さいネタだから、オヤと思った客もいたろう。

だが、湯屋番でも、冒頭部の同じ紙屑屋でもない、五目講釈。
働く気はないのかと追及された若旦那、実は講釈師になりたいんだと。
湯屋番と違うのは、薬問屋の若旦那だという出自が明らかにされること。
五目講釈だって、トリネタではないだろうがな。

五目講釈という噺、寄席で聴いたのはたった一度。柳家さん福師から。
ブログを始めてからは、一度も聴いたことがない。三三師がやるらしいとは知っている。
いずれにしても柳家の噺なんだろう。それも珍品。

「鮫講釈」のことも「五目講釈」と呼ぶことがあるようなのでややこしい。
鮫講釈の最後に、講談師のでたらめ講釈が出てくるのだ。

若旦那が客を集めて趣味の講釈をさせてもらうが、赤穂義士伝だと思っていたらいろいろぶち込んでしまう。
桜田門外の変から那須与一、月光仮面から寅さん、たらちねから寿限無までなんでも入っている。
なんでも入ってるから五目。
そしてマクラと本編で、桂宮治と神田伯山をいじる。
落語と講談の違い。やたらと愛想がいいのが宮治で、挨拶してもぶっきらぼうなのが松之丞(モノマネ上手い)。
そして、講談はなに喋っているのだかわからないほうが上手いとされる。

でたらめな講釈を演じる若旦那だが、実は意外と口調がいいのだった。
講釈の客と落語の客が二重写しになる、元祖メタ落語。実際に、わさび師の五目講釈への拍手も飛んでいる。
わさび師のこの一席からは、若旦那実はウケ狙いが功を奏したんじゃないかなんて気もしたりする。

この日は一之輔師が湧かせた(一朝師の前)ようで、客はちょっと疲れ気味だったみたい。
だが、軽い五目講釈、いいものでした。
私は大変好物です。

さらに面白かったのがインタビュー。
なぜ浅草お茶の間寄席の出番が多いかと言うと、お母さんがかつて千葉テレビでカラオケ番組の審査員をやっていたから。
真打になる前から青田買いされていたのだという。
そして、そのいきさつを喋る際につっかえてしまい、一か所ピュンとカットが入って爆笑。
高座ではやたら口が回るのに、なんでインタビューで緊張するんだろう。
お母さんのおかげで出演が多いというのはシャレだろうけども、でもお母さんのときの同じスタッフがお茶の間寄席をやっていて、感慨深いんだと。

そしてエゴサーチの話。
前回の「ぞろぞろ」だったが、「この回(放送)でわさびが一番つまらなかった」という書き込みがあったと。
違うんですよ。実際の寄席で、二ツ目さんが新作で沸かせた後で、落ち着かせようと思ったんですよと釈明するわさび師。
ウケた人の次は、落とすべきなんですよ。それに、後の師匠が漫談系でしたから、地味なほうがいいと思ったんです。
我々はM-1みたいに毎回対決してるわけじゃないんです。お客さんに最適なように作っているんです。
きっと書きこんだようなヤツは、「言い訳しやがって情けない」とまた思うのだろう。
でも、これはわさび師の言った通りなのだ。本当に。

わさび師、ご通家の人はそんなことないと思いますと言ってたが、これはどうかな。

寄席の出番とその役割(上)

こちらの記事の冒頭に書いた、新作まつりの最初の真打を酷評した人は、当時の落語ブロガーNo.1だったからな。
そして、落語ブログ界にデビューして間もないでっち定吉に、上からコメントしてくるという。

私はこの番組を扱う際はたびたび、「テレビの先の視聴者より、寄席の現場における役割を重視する演者たち」について触れています。
寄席の出番の役割については、長く落語を聴いていても、都市伝説だとみなす人もいると思っている。
でも一度、「そういうものだ」と思って聴いてみてください。演者の考えが、少しはわかるようになると思いますよ。

作成者: でっち定吉

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