笑福亭鶴光一門会(上・笑福亭茶光「饅頭こわい」)

年始早々暗く重い2024年であるが、そろそろどこかに行きたい。
平日の初席に行ってみようかと思ったのだが、結局面倒くさくなってやめる。
同じ平日に行きたい落語会があるが、電話するとキャンセル待ち。
まあいい。繰り上げて成人の日に出かける。

いろいろ考えたが、横浜にぎわい座へ。
笑福亭鶴光一門会。この一門大好きなのだ。
ただ当ブログ、上方落語を取り上げるとだいたいアクセスが落ちるのだけど。
今回は上方落語といってもおおむね芸協所属の人なので、大丈夫と思うのだが。
当日券はあったが、ほぼ満員。
旧年より、私の財布には99円しか入っていない。
にぎわい座はキャッシュレスOKなので問題なし。

ロビーでは一門の物販。
各演者がネタにしていたが、今年からの試みらしい。

たらちね ちづ光
饅頭こわい 茶光
SDGs限無 希光
俳優 羽光
九官鳥小噺 和光
木津の勘助(ネタ出し) 学光
(仲入り)
大喜利 弟子一同
軽業 里光
薮井玄意(ネタ出し) 鶴光

前座も顔付けされていて、ちづ光さん。
「明けましておめでとうございます」と言って、耳に手を当てる。
客も遅れて、おめでとうございます。
いえ、すみません、なにもないんですけど、前座は笑福亭ちづ光です。
「ちづこ」は、「ち」にアクセントを置いていた。
師匠は平板に読んでそうな気がするけど。

半年前に聴いた「たらちね」。
さらに上手くなっている。
なのに、途中でやや飽きるのはなぜか。ちょっとウトウトしながら聴く。
お嫁さんが来る前に、八っつぁんの妄想に突入。
隣のおとらばあさんを妄想の中で悪者に仕立てるので、おとら婆さんがさすがになに言ってるんだいと登場。
ここでサゲ。
自分で作ったのかしら。ならすごい。

続いて茶光さん。見台は出ない。
出囃子が「おもちゃのチャチャチャ」なんだ。
でも、ちゃこうでなくてさこう。
1月13日に赤坂で独演会がある。3,000円。このチケット、あと5枚まだ売ってますのでよろしくお願いします。
オリジナルの手ぬぐいが付いてます。なすなかにしさんにデザインしてもらった、この会限定の手ぬぐいです。
最初に断っておきますが、手ぬぐいメルカリに出してもらって全然構いませんので(客、爆笑)。
いえ、転売の問題は理解してますが、この会に関してはどうぞ。転売して、3,000円取り返してもらっていいですから。

本編はかなりユニークな、饅頭こわい。
「俺が一番好きなのは、二番目が酒」のクスグリの後、本当に一番好きなのはお前のかみさん。
ここまでは既存の噺によく出るが、その後もこのくだりを再利用するのが面白い。

骨格も作り替えている。
饅頭責めに遭う鉄っつぁん(名前は違ったかもしれません)も、好きなものを言って、続けて嫌いなものを言う。
ちなみに、好きなものは喧嘩。自分より弱い奴とは必ず戦う。

買い求めた饅頭の中には、かりんと饅頭(固い)と、お焼き(野沢菜入り。熱い)も混じっている。
固いかりんと饅頭を投げつけ、「饅頭いたい」。お焼きを投げつけ、「饅頭あつい」。
なかなか「饅頭こわい」にならないという。

鉄っつぁんのやっつけ方も実に軽い。アン殺なんて出てこない。
東京で、饅頭こわいのひとつのスタンダードになりうるいい形だ。

今度は見台が出て、希光さん。
この人は結構聴いている。
昨年、一番笑わせてもらった人でもある。

次から次へ、「光」のついた噺家が出てまいります。区別がつかないかもしれません。
光がついてる割には、ハゲてる噺家がいません。
茶光も、この後出る羽光兄(にい)も、和光兄も、学光兄もですね。
師匠なんか、ツルコウなんてツルッパゲでも不思議ない名前ですが、フサフサです。
里光兄も・・・これはなかったことに。
里光兄、楽屋で鏡見ながら言うんですよ。あーこんなに薄くなってる。俺、ハゲてるんかな。
絶対に「ハゲてますね」と言わないことにしました。

学光、羽光と希光さんの3人で、大須演芸場の昼夜3日間6席やった話。
羽光兄は仲入りだが、6席中5席で下ネタだった。
仲入り休憩後クイツキの希光さんが高座に上がると、客席がどんよりしている。
なので毎回、「ただいまは不適切な表現がありましたことをお詫びします」。

だが希光さんも、噺の流れでシモっぽいことを言う。
なのでその日はトリの学光師が、深々とお詫び。

シモっぽい噺として、ひとつ思い当たるのが新作の「マリオネット」。
希光さんは古典落語が面白いが、たまに必殺の新作を出してくるのがたまらない。
本編は新作落語(改作)でした。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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