ドラマ「昭和元禄落語心中」第2話

先週の土曜日は、アクセス173、PV946と、当ブログの最長不倒記録が出ました。
いつもお読みくださっている方も、ドラマからお越しの方も、みな様ありがとうございます。
まあ、ドラマ以外にも、新作落語台本の件や、NHKラジオで落語を披露した柳家蝠丸師の情報をお求めの方もいらっしゃいましたが。
蝠丸師、クセになりますよね。

ドラマ第1回の記事については、本来落語初心者向けに、「たちきり」や「鰍沢」についてもっと詳しく触れないといけない気がするのだが、アニメ版で一度書いているので面倒くさくなってしまった。
まあ、昔の記事もよかったらご覧ください。「昭和元禄落語心中」の書庫に入ってますので。

さて、ドラマ版昭和元禄落語心中の第2回。
ドラマのほうは、監修より先に画が仕上がっちゃう(林家しん平師の発言を、柳家小ゑん師がマクラで語っていた)なんていうことがないので、アニメ版よりアラが本来的に少なそうな気がするが、どうだろう。

冒頭、落語のフレーズがたくさん出現しては消えていく。
芝浜、たちきり、芝浜、品川心中、寿限無、夢金。
「お好きな黒髪弾いてますね」だけ、私にもわからない。これなんだ?

坊や時代の初太郎の声、アニメの同じシーンで声を当てている立川こはるさんにそっくりだ。吹き替えてるのかと思った。
一席語ってみる野ざらしも、こはるさんみたい。
子役もアニメで勉強したんだろう。

助六の扇子を持っている初太郎。これは原作やアニメにはないシーンで、伏線を早めに出しているのだ。
菊比古のほうは、石段から落ちてケガしたのだ。これも原作にはない。

師匠に名前をもらって、たらちねの、なぜかいきなり名前の言い立てから喋り出す初太郎。
腹から声出せ、愛嬌を振りまけといわれる菊比古。まあ、当然だ。声の出ない前座なんて、どんな時代でもいけない。
初高座でおどおど喋る菊比古。寿限無。
対照的に初高座からいきなりマクラを振る初太郎。そりゃ、叱られて当たり前だ。
演目は、先にさらっていた「たらちね」。思いっきりクサい高座である。
声を張らないでできる噺をやれと初太郎に勧められる菊比古。廓噺をやるにしても、声は張れたほうがいいと思うが。
ちなみに戦前らしく桟敷席だけの、この寄席、「酔心」の掛け軸があるところをみるとのちの浅草(劇中では雨竹亭)らしい。

ちょいと映る高座の噺家「さん雀」は、柳家喬之助師匠。ネタは初天神。
このたび小平太で真打になった弟弟子が、この間まで「さん若」だった。そのあたりから拾った名前だと思う。
その後、橘家圓太郎師匠が楽屋でちょっと映っている。
菊比古と下座見習の千代とのやり取りの間、高座ではその圓太郎師が、あーら我が君と「たらちね」をやっている。
下座見習の千代に代わって出囃子を弾く菊比古に併せ、高座に上がる「彦兵衛」は、ご存じ柳家喬太郎師。
圓太郎、喬太郎の両師匠のときに流れる出囃子はわからない。
私は出囃子そらんじているわけじゃないので、すみません。

臨観席のエピソードが挟まる。原作にはないが、これは重要だと思う。戦時中は、落語も漫才も厳しい思いをしたのだ。
楽屋の会話に「上野で」というセリフがあった。物語の世界、浅草以外にも寄席はあるらしい。
扇子手拭いだけ普段持ってる噺家が鉄砲持ってドンパチ、と喋って臨観の警官に高座を中止させられる彦兵衛こと喬太郎師。
退場時、メクリをめくって出ていくのは喬太郎師のアイディアだと思う。
その次の「岳来」師匠は柳家はん治師。手拭いに「人」を書いて飲み込んでから高座に上がっていた。
粗忽の噺に進む。自分の親を忘れるマクラ。現実世界で得意にしている粗忽長屋を掛けるところであろう。
一連のシーンで、お囃子に鳴りものを入れている前座さんは誰だったか?

品川心中を稽古する菊比古。でも、本で勝手に覚えるのはいけません。研究するのは勝手だが。
師匠たちは、禁演落語の相談をしている。立ち聞きして、自分の掛けたい、色っぽい噺はできなくなると落胆する菊比古。
撮影に使った「はなし塚」は本物でしょう。私も一度お参りしなくちゃ。

楽屋で師匠・七代目の「黄金餅」の言い立てを聴く初太郎と菊比古。
満州慰問に、初太郎だけ連れていく師匠。棄てられるのかと泣く菊比古だが、いずれ兵隊に行く身の初太郎に落語をやらせてやりたいと思う師匠の配慮だった。
このあたり、ドラマの脚本は丁寧でしっかりしていていいですね。
別れる菊比古のために「あくび指南」をマクラから掛けてやる初太郎。
「春のあくび」。あくび指南は今でも寄席でやるけども、このマクラは実際には聴いたことがない。

疎開先で寝転んで「品川心中」の稽古をする菊比古。
廓噺といっても爆笑巨編だから、こんなボソボソやられても困ります。
玉音放送で終戦を知り、歓喜のあまり橋の上で大声を上げて初太郎を呼ぶ菊比古。急に大きな声が出せるようになる。
ボソボソやっていた品川心中も腹から出てくる。
今回、クレジットによると落語監修は柳亭左龍師。
さん喬門下で、喬太郎に次ぐ二番弟子。三番弟子が、先の喬之助。

お座敷で品川心中を掛ける菊比古。メリハリが聴いて、急に上手くなっている。お染が上手い。
席を立つ外人さんは「おらわけわからねえだよ、あんがとな」とか言っているようだ。

復活した寄席で、ドンドンドントコイと一番太鼓を入れる菊比古。
高座に上がるのは初太郎。野ざらし。満州で地獄を見て腕を上げたと語る師匠。「針捨てちゃったよ」まで。
前座がやる噺でないことは確かだけど、でももう叱られない。
初太郎と一緒に、明るい戦後がやってくる。いいよなあ。

二ツ目に昇進した菊比古は、稽古についてのマクラから。
とすると、あくび指南なんだろう。色っぽくない噺もできるようになったらしい。

菊比古が残って品川心中の稽古をしている雨竹亭。栃木のほうで撮影したのでしょうか。
噺家さんの幟が出ていて、「万花亭亀杵」なんて名前が出ている。あんまりセンスのいい名前じゃない。
裏返っててわかりにくいのが「春亭扇福」? 扇福師匠なんて、入船亭にいそうですね。

では、昭和元禄落語心中はまた来週
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作成者: でっち定吉

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