馬遊・喬太郎落語会(上・金原亭馬遊「たらちね」)布団を剥いだらキノコ

昨日の神田連雀亭のあと、ひと駅歩いた神保町のドトールでもって、鷹治さんの記事を40分で書き上げた。
ごくらくらくごは、私がこっそり高座を録音して聴き返してると思ってるわけだが、そんな時間などないのです。
キリのいい14時に投稿予約してから、らくごカフェへ。
春雨や風子さんのエロい紙入れのことも書くが、先にハシゴした会のほうを。
馬遊・喬太郎の会。
以前から気になっていた毎月開催の会だが、狭いらくごカフェではそうそう参加できるものではない。
だが、12月中に予約したら獲れたのだ。
らくごカフェ、50人詰め込んでいる。
すげえ。こんなの初めて見たぜ。しかも、開演まで時間があるのに、前のほうはすべて埋まっている。
私が普段来る会なんて、つ離れしたりしなかったりだが。

メクリはすでに「金原亭馬遊」になっている。
私の目当てはもちろん喬太郎師。
でも最近、寄席の喬太郎師の芝居に顔付けされる馬遊師にもだんだんなじんできた。上手いなんて言わないが、不思議な魅力をちょっと感じる。

キャリーバッグを引いた喬太郎師が入店して、袖に入らず座席の後ろにやってくる。後ろにも楽屋、というほどでもないがカーテンの仕切りがあるのだ。
喬太郎師は、この日は池袋の真打トップという早い出番を務めてきた。
このらくごカフェのあと、新宿に出て、最後は鈴本の夜トリ。
忙しい。

たらちね 馬遊
サニーサイド 喬太郎
ファインディング馬遊 白鳥
(仲入り)
富久(というより耐久) 馬遊

※白鳥師は漫談であり、タイトルはでっち定吉がつけたものです。

時間をちょっと過ぎて馬遊師登場。ヨボヨボと。
とても57歳には思えない。70代だと聞いてもまったく疑問に思わない。
「上がっちまえばこっちのもんです」
袖から、背中を押されてなんとか出てきました。

今日は私がまず一席やりまして。
その後喬太郎さん。
ゲストは白鳥さんです。仲入りの後、再度私です。

サラッとこの日の大物ゲストの名を語る。
客の誰も驚かないので驚いた。ゲストを知る機会なんてあったの?
それとも、喬太郎師を聴きにくるような人は、白鳥師ぐらいでは驚かないの?

今日やる噺は、二ツ目の最後か真打になってから、人間国宝に教わったんです。
しばらくやってない噺です。蔵出しです。
わたし的には、雲助師匠の人間国宝就任を記念しているのです。

床屋に行った話をしてた。こんな髪型ですがと。
ちゃんとオチてなかった気がする。

1席目は、雲助師に教わったわけではないであろう、たらちね。
たっぷり30分。なのに、「焼け死んじゃうよ」まで。
なんでかというと、やたらと噺の進行が遅いから。テンポも遅く、展開も迂遠で、喋りもゆっくりなので時間を使う。
この特性は、トリの「富久」で如実に表れることになる。

八っつぁんが大家に呼ばれてかみさんもらわないかという場面から始まる。
「セメント」とかないし、すたんぶびょうに対する八っつぁんの返答も親父の戒名だけ。
今晩輿入れしようというのは大家のほうだし、「ぽーりぽりーのざーくざく」だってない。
細かい要素だけ見ると手短かなのに、でも、ゆっくりなんだ。

世間のたらちねにある部分がない代わりに、オリジナルギャグ入り。オリジナルじゃないかもしれないけど、私は初めて聴いた。
まず隣の婆さんに、婚礼の準備を頼み、費用を訊かれて「大家につけといて」。
掃除しとけよと大家に言われた八っつぁん、敷きっぱなしの布団を10年ぶりに持ち上げてみる。
重くて持ち上がらないのだが懸命に引っぺがすと、キノコが生えていた。これ、食えるかなと八っつぁん。サルマタケかよ。
このシーン、次の喬太郎師に、「あの場面、本当にあったんでしょうね」と言われてた。

掃除はあっという間に終わり、客が笑うと馬遊師、「落語は省略の芸です」。
不思議な一席。まあ、30分の高座なら別にいいのです。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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