三遊亭遊雀「四段目」(日本の話芸)

昨日はいろいろ検索訪問が多かった。
木久扇師の笑点最終出演は、あいにく外で仕事してたので観てない。特大号で観ます。
次の出演者予想は、もう下の順位になったのでヒットはちょぼちょぼ。
ちなみに桃花師は違うそうですな。改めて「きく麿」穴予想で。

朝は演芸図鑑でもって立川吉笑さんの「犬旦那」の訪問。再放送なんで、二度目のアクセス増。
それにしても、朝リアルタイムで観てる人の多いこと。
それから、五街道雲助師のトークもヒット。

さよならマエストロの柳亭小痴楽検索も相変わらず多い。なんでしょうな。

そして日本の話芸である。
三遊亭遊雀師の初登場。
先日のトリの芝居で、徳島で真打ち共演の公開録音に出て、翌日この東京落語会で群馬の甘楽町に出向いたと聴いた。
ラジオのほうは先日記事にしたばかり。

NHKでやってるラジオ落語も案外多い(春風亭かけ橋等)

日本の話芸、冒頭のひとり語りで遊雀師、「三遊亭遊雀です」。
普段「ゆうじゃく」は平たく読むものだと後天的学習で認識しているが、亭号と一緒に名乗ると師匠自身も「ゆうじゃく」が冒頭高になることがわかって面白い。
これ、立川吉笑さんと同じ。吉笑さんもフラットですとラジオで言っていたが、でも自分で亭号セットで名乗ると冒頭高になる。

そしてマクラでは客席を睨みまわしつつ、「皆さんが思ってるよりはちょっと売れてるのよ」。
トリの芝居でも聴いたので、なんだか嬉しくなってしまった。

遊雀関連のブログ訪問も多数あった。
一番多かったのは「三遊亭遊雀 破門」検索で、「師匠と惣領弟子の緊張関係」という記事の「下」。
日本の話芸で、破門に触れたのかと思ったら、そんなことなかったけど。
なんで? Googleの類推ワードにもこんなのは出ないのにな。

「高座でひたすら酔っ払い続ける三遊亭遊雀『替り目』」とか「落語における香盤とは」とか、遊雀師の名前が引っ掛かる記事にも訪問がそこそこ。
なのに、「三遊亭遊雀 四段目」の訪問はまったくなかった。なんで?
これは国立で聴いた。玉三郎の稽古マクラも入っていた。

そして、佐渡の話。
これ、2018年に新宿ヒルトピアの落語会で聴いたマクラ。とても嬉しくなってしまった。
佐渡におかみさんと出かけて、天気がいいから外でサンドウィッチ食べてたらトンビに盗られたという。
久々にトンビの滑空の描写を見た。

このマクラの際、遊雀師いきなり話を止め、「だから先に言わねえように」。
客席にいた女性がオチを割ってしまったのだと。
「わかってても黙って聴くの!」
もちろん失礼ではあるのだが、思わず口からぽろっと出てしまったおばさんを、遊雀師は責めたりしない。
一瞬怒って、ちゃんと笑いにして全部救済する。
先日、伯山先生が携帯鳴らした客を非難した件は取り上げたが、やはり救済しないというのはよくないな。

どうしてトンビはかみさんを持っていかなかったんだろうと遊雀師。
男性客が笑っていると、「旦那がた、手叩いてる場合じゃないよ」。これは芸協で学んだ寿輔イズム。
ちなみに千葉テレビの新春特番で語っていたところによると、おかみさんとは別居してるそうで。
師匠は船橋の実家から寄席に通っているらしい。
でも収録では、「おかげさまで仲良くやってます」とのこと。仲良くは本当みたいだけど。

楽しいマクラのあとは本編。
どんな噺もそうだが、「小僧や女は高い声で描く」なんて陳腐な方法論は使わない遊雀師。
それどころか、成人男子よりも低い声を出させたりする。それで違和感ないのだからすごい。
四段目の小僧定吉も、ときとして可愛い声のときもあるが、思いっきり低い声も普通に使う。
声のレンジが極めて広いというのが、独特の発声。
定吉の一人芝居でも、声が上下に行き来する。このあたりが高揚する秘訣みたい。

芝居に夢中だが、やっぱり腹が減る蔵の中の定吉。
お店の悪態をつきまくり、「働き方を改革しろ!」
パラパラと拍手が鳴ると、「手叩くんならまとめて叩いてくれ!」
亭主への苦情が、客への苦情にすんなり変わって実にスムーズ。
純朴な客、叱られないようにその後なんでもないところで手を叩いてたのが面白い。

日本の話芸の歴史の中でも、かなりインパクト強かったんじゃないかと思う。
三遊亭遊雀師は、今本当に面白い人です。

作成者: でっち定吉

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