苦労人である春風亭かけ橋さんについての検索訪問は、もともと当ブログは多い。
訪問の多さが、次のブログのネタになる繰り返し。
今回もまた、個別記事のアクセスが妙に多かった。
なんだろうと思って調べたら、思い当たるのはNHKラジオの深夜便だけ。
聴いてる人は結構いるのだな。
鈴々舎馬風師も、夜眠れないのでずっと聴いてるって高座で言ってた。
早朝やってるNHKテレビの演芸図鑑でも、リアルタイム視聴者の検索が多いことがあるから侮れない。
私も聴いてみた。
NHKラジオは、らじるらじるで聴き返せる。
私の入ってるサブスク、radikoプレミアムでは聴けない。
「真打ち競演」ぐらいはたまに聴いてるが、深夜便は盲点。せいぜい、You Tubeに上がってるものを聴く程度だ。
二人の二ツ目さんが取り上げられていた。春風亭与いちさんと、もうひとりがかけ橋さん。
落語はスタジオ録音だ。ブースでもって、私服のままボソボソ喋ったのを収録しているようだが、案外悪くない。
私は昼間聴いているが、悪くない。
深夜に聴く際には、ますます笑い声なんて不要なのだろう。
与いちさんは権助魚。東北出身なのに、田舎者の権助を葛藤もなく堂々と演じている(当たり前か)。
前座の頃は当ブログの「私は誰でしょう」にいた人で、しばらく聴いていないが、ずいぶんと上手くて驚いた。
それからかけ橋さんで、出来心。
一席やる前の紹介でもって、落語協会の二ツ目だったのに芸協で修業をやり直す数奇な運命を知ったリスナーが、当ブログにお越しになったものと思われる。
ラジオでは、「ある事情で辞めざるを得なくなったが、師匠が本人の希望に基づき柳橋師に口を利いてくれた」になっていた。
「辞めざるを得なくなった人について、他の協会に口を利く」なんて文化は落語界には存在しないわけで、不可解にもほどのある説明ではある。
この事件のあと、前座だった柳家小ごとさんが辞めた。
その際橘家文蔵師が「大師匠が孫弟子を破門するのが流行っている」とツイートしたのを、誰も否定していないことで、ある程度の真相が明らかにはなっている。
かけ橋さんが達者なのは知っている。あいにく昨年一度も聴いていないのだが、そろそろ聴きたい。
二つの協会の異なる文化で育ち、両方から噺を仕入れているハイブリッドの強み。
出来心も見事なデキ。これは落語協会時代に燕路師から教わったそうだが。
最近の若手は、本当に「ボケっぱなし」が上手いなと思う。
出来心だったら、「真心に立ち返って悪事に励みます」を、親分もツッコまずにさらっと流してしまうのが面白い。
ベテラン師匠のほうがかえって、こういう会話がしつこい。
もっとも、別に落語が変質してきたわけでもなく、さらに時代をさかのぼったときにはツッコまないやり方が普通だったと思っている。
お笑いの影響で、ツッコミが激しくなり、お笑いの影響でまた現在ツッコミが減っているのだと認識している。
ちなみにしつこいツッコミの代表が古今亭志ん輔師である。いつも偉そうで、若手を導きたがっているものの、ご本人が若手から学ぶことはない。
話がそれた。それ過ぎだ。
NHKラジオといえば、先日三遊亭遊雀師の雄姿を確認したく、真打ち競演を聴いた。
ラジオで雄姿が確認できるかはさておき。
国立演芸場寄席でもって、徳島でラジオを録り、翌日群馬で日本の話芸を撮った話を聴いていたためだ。
ラジオではいつもの爆笑「替り目」だったが、酔っ払いのマクラを替えていて衝撃。
私も大好きな、そして師匠も大好きだと語る、太陽と月がわからないマクラ。
これを、実在の三遊亭遊雀と古今亭菊之丞の話にしていたのだった。朝まで飲んでぐでんぐでんの遊雀と菊之丞が、通りすがりの人に訊く話になっていた。
同じ収録に入っていた、春風亭昇々師も実によかった(鈴ヶ森)。
もともと古典も上手い人だが、軽さがさらに増していた。
それから最新の真打ち競演も聴いてみた。実はセンバツが中止になったための雨プロで、過去の放送だったようだが。
桂宮治師の高座も久々に聴いた。またしても権助魚。
この人の高座の面白さは、噺の中の展開に自己ツッコミを入れていく部分にあるらしい。
自分で感じた噺の穴を、口に出してみることで展開が膨らむのだ。
NHKラジオももう少し、ちゃんと聴くローテにしようと思った。
他にもNEXT名人寄席とか、柳亭小痴楽師の「楽屋ぞめき」なんてのもある。
28日には特番もある。「一花二葉はなしをしよう」。これは聴かなくては。
タダなのもいい。
今日は亀戸梅屋敷寄席(主任:兼好)に行こうかと思ったが、まだ調子が悪いのでおとなしくしています。