しばらく休むつもりだったのだが、夜ひとりなのに気づき、急遽出かける支度をする。
東京かわら版を見たら、夜に柳家喬太郎独演会がある。
街中だったら当然完売している会だが、残りあり。
ただ実に遠い。秋川である。JR五日市線。
久々の「遠くへ行きたい」シリーズ。
瑞穂町以来の遠隔地である。
電話したら取れた。当日券ではなく、通常販売のチケット。
電話予約で、発券手数料なくクレジットカード払いできるという、最高の環境。
立川の駅ナカで仕事してから秋川駅へ。
北口にあるキララホール。
窓口で発券してもらう。
端末にピッとタッチ決済で払ったら、窓口のおばさん、「まあ、早い!」だって。
別にアタシが偉いわけじゃない。面白い人だ。
ここのホールの人は、電話口からみな丁寧である。
喬太郎師、20分オーバーして大熱演。終演後、駅そばのマックで書いてます。
今日中に家帰れるかしら。
| 元犬 | しろ八 |
| 花筏 | 喬太郎 |
| (仲入り) | |
| そば清 | 辰乃助 |
| すみれ荘201号 | 喬太郎 |
前座の上がりが鳴って、前座登場。柳家しろ八さん。
この人まだ前座だったっけと思った。二ツ目になっていたような気がした。
現在前座香盤の一番上だ。
開口一番、前座にお付き合いいただきます。
しろ八と申します。しろ八って読むんですよ(客、ほう)。
なんかにょろにょろした字ですけど「し」です。
ただいまアナウンスもありましたけど、スマホは音が鳴らないようお願いします。
今私の出番だったら全然いいです。鳴らし放題です。
ただこの後喬太郎師匠のときに鳴りますとね。
喬太郎師匠、鳴らしたお客さんに「なんだこの野郎」みたいなことはないと思います。ちゃんと務めるでしょう。
ただ、なんらかの不快感は残ると思うんです。そうするとどうするかというと、楽屋で一番立場の弱いものに当たることになります。
私怒られたくないのでどうぞお願いします。
しろ八さんは、二度目の遭遇。
諸注意から口調がこなれている。そして強い鼻濁音。
マクラは続く。
いつもご注意申し上げますが、それでもスマホは鳴ります。なので小噺を作りました。
「携帯鳴ってた?」「ううん、どこも」
「携帯鳴らしたのはぼくです」「えー、YOU?」
ソフトバンクも作りたいんですが、上手いのができません。思いついた方は、上野の落語協会気付でしろ八までお知らせください。
孫はさせません。
こんなこと言われたんで、私も考えたぞ。
あいにくソフトバンクはできなかったが。
「寄席で携帯を鳴らさない会を作ろう」
「俺も入る」
「あたしも入る」
「おいらも入る」
「わいも入る」
「会社サボって寄席に行って、そして携帯鳴らしたのか。情けないと思わないか」
「サボってません。UQです」
さて、本編は元犬。
口調がもろ三三師。教わったのはだいたい間違いない。いや、師匠の小八師経由かもしれないけど。
なかなかユニーク。
三三師のものほどすごいサゲではないが、自分で作ったのだろう。
ほいろと言われてシロ、「ワオーン」。
「犬みたいだね」
「今朝がた人間になりました」
実にシンプルだが、小気味いい。
すごいサゲだったら、最初からネタバレ防止で書かないけど。
この新たなサゲ、実に味わい深い。
こんなメリットがあるということだろう。
- サゲのためだけに登場するおもとさんを出さなくていい
- 最後まで、隠居はシロを気に入っている。隠居とシロの余計な緊張感がない
- 余計な緊張感がないので、物語の先までハッピー
元犬のサゲ改変なんていうのは、結局すべてこの3要素を実現したくてするものだと思うのだ。
ちゃんと目的を達成して、しかもシンプル。すばらしいね。
15分ぐらいやっていたが、刈り込んだ部分も。
隠居の家作の、隅のごみ溜めで生まれた設定はない。
兄弟の悲劇もカット。猫と喧嘩もカット。
とことん幸せな世界を描く。
さらに言うなら、犬時代のシロが女中に水引っ掛けられたエピソードも、「なにかの間違いだと思うけどね」とフォローして、誰も悪役を作らない。
シロキチとかシロタロウとか、ではなくて、「下になんかつかないのかい。シロハチとか立派な名前が」。
すぐに「立派な名前じゃないけどね。前座だから」。
そういえば、羽織を着たことないシロに対し、「前座みたいだね」というのもあった。
楽しみな人。
ちなみに柳家しろ八、柳亭市遼、三遊亭東村山が同じ時期に楽屋入りしている。
もうすぐ一緒に二ツ目に昇進するのだろう。
みな上手い。
喬太郎師匠に続きます。
トリの演目間違えたので修整しました。
あと、表を使い回したせいで「牛ほめ花筏」になってました。なんだそりゃ。