ひろげる鯉朝(中・「平林」そしてお風呂の話)

鯉朝師のマクラは長い長い。25分近く喋ってたもの。
本編に入るかと思うと、思い出して脱線。なんだかでっち定吉ブログに似ている高座だなと。
それにしても、鶴光師匠に対する敬愛振りは、聴いててなんだかググっときました。

こないだ鶴光師匠のお顔がプリントされたTシャツいただきました。余ってるんでどやと。
嬉しかったですが、これは嬉しかったことの二番目です。
一番嬉しかったのがですね、鶴光師匠を楽屋で質問攻めにしていたときのことです。
楽屋でオールナイトニッポンの決まった曲であるとかジングルであるとか、出られていたテレビの話とか、根掘り葉掘り聞いてたんです。
師匠も面倒になったんでしょうね。

「お前、わしのファンか!」

ファンだよう! 子供の頃から鶴光ファンだよう!
これが一番嬉しかったです。

鶴光師匠の東京での一番弟子が里光さんです。
里光という名前は、日大理工学部出身なのでかなと思ったら、鶴光師が言うのです。

「里に光やけどな、いざとなったら里に魚へん付けようかと思ったんや。鯉光にして、鯉昇一門に預けてしまえばええかなと」

里光さん、仲良くしてますけど、ヘタすると兄弟弟子になってました。

鶴光師匠に噺を教えてもらえるということがわかりまして。
お願いしたら快くええよと。言葉を東京に直すのは自分でやって欲しいということでした。

ようやく平林へ。
「たいらばやしかひらりんかー」という歌がなくてびっくり。
上方のたいらばやしでも、歌は入るイメージだけども。
そして、「伏線だらけ」と事前に鯉朝師が語る意味がまるでわからなかったのだが、聴いたら一目瞭然。
「たいらばやし」と読む通りすがりの人が、タバコ屋を案内。
タバコ屋の婆さんが「ひらりん」と読んで、隠居を案内。
隠居が「いちはちじゅうのもくもく」と読んで、大工を案内。大工が「ひとつとやっつでとっきっき」と読む。
ちなみに、平林はたまに「与太郎もの」「粗忽もの」のイメージでやる人がいるが、これは完全に無筆ものである。

通りすがりの人は、「あたしはここで出番の終わる通行人Aなんだよ」。

大工は橘家文蔵のように怖い。近くへ寄れと定吉に命じ、怖がりながら近くに寄った定吉をいきなり羽交い絞めにする。私お金持ってません!
定吉、羽交い絞めにされながら、「また(謝楽祭で)生ホッピー飲まされるんだろうな。8対2のホッピーだよ。もういじめないで欲しいな」。

サゲはわりと普通で、本物の平林さんが出てきて、定吉が「そんな名前じゃなかった」。

鯉朝師の古典落語は、語り口が完全に新作のそれ。
定吉が高い声で絶叫するのがまさに。
二ツ目がよくやるシンプルな噺が、実に面白かった。
出がけに定吉が、健忘症のフリで旦那をからかう。
ところがタバコ屋の婆さんも、定吉をからかう気満々なのであった。

一席終えて鯉朝師、ただちに解説。
サゲは本来、「木が違った」なんです。ただこれからはあまりよくないだろうということで、鶴光師が作られたものです。
上方でも最近はこのサゲみたいですね。

上方落語に笑福亭笑助という人がいます。亡くなられた笑瓶師匠のお弟子さんですね。
笑福亭の名前はもらってますがタレントだったんです。でも、師匠も落語始めるということで、笑助さんも落語をちゃんとやろうとなりまして。
ただ本人東京在住なんで教わるツテがありません。私が頼まれて、わざわざ鶴光師匠に教わった上方ことばのバージョンで稽古をつけたなんてことがありました。

続いて宮戸川の「上」です。
宮戸川の「下」はめったに出ません。上は明るいのに、ムードがまるで違って因縁噺でして。
でも数回やったことがあります。
ただ、上のほうでだいぶ遊んでるもので、つながりが良くないんですね。上をやったあとで誰がひとり出てもらって、そのあと下ならいいと思います。
上の後半3分の1は私が作ったものですね。
宮戸川はもともと×××という先輩から教わったものです。今は家庭を持って身も固いですけどかつてはですね。
この人は、前座時代は仲間の付き合いとかしないんです。
夜席終わって「飲みに行くぞ!」なんてときは、「すみません私はこのあと用が」って抜けるんですね。
あの一門だから夜師匠のところ帰ることはないだろうし、勉強してるのかなと。
でも本当は、ショートコースでソープに行ってたわけですね。
でも付き合いの悪いこの人が大活躍する場面がありまして。

協会の寄り合いの際は、師匠方から前座にお小遣いが出まして。全部もらうと15万ぐらいになるんです。これでみんなで吉原に繰り出そうということになって。
13人ぐらいいたんですよ。これを取り仕切ったのが×××さんで。
電話して、「(本名)でございます。あ、店長。13人って入れます? そうですね、なるほど。何人なら? 8人? かしこまりました。ではその人数で今からお願いします。送迎します。それ以外は? 系列店のほうで。よろしくお願いします」
すごいなーと。女衒なのかなと思いました。

おかげさまで、私も▽▽▽師匠、※※※師匠と無事兄弟になりました。
当時杜仲茶が流行ってまして。私今と体系全然変わってなかったんですが、お相手の女性に、「ダメよそんな体じゃ。杜仲茶飲まなきゃって」説教されました。
このお相手の女性が、一玄亭米多朗に似てまして。
知らない方は顔写真見てください。女顔でして、クラスに一人ぐらいはいた顔の人です。
ちょっとだけしゃくれてるんですね。

私目を閉じてたら、「あらウブなのね」。
違うよ。あんたはきれいな人だと思うけども、米多朗アニさんに似てるから見てられないんだよ。
そして1時間のうち45分、杜仲茶飲みなさいって説教されてました。

いつも記憶に基づき高座の模様を詳しく書いてる私だが、今日のはいいのかな? 躊躇しないではなかった。
業界のある種の共通認識が現れてて、こんなのもいいのかなと思ったので。
当日来てた別のお客さんに、「なんで書くんだよ」とか言われそうだけど。
多少伏字にしました。知らないうちに兄弟になった噺家さんは大物です。巻き込まれ事故は申しわけないので。
女性客も多いのに、風俗の話。
でも鯉朝師の場合、そんなに違和感ないですね。
本編、宮戸川に続きます。

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