市寿・銀治二人会@梶原いろは亭(上・桂銀治 古着屋の芸協新作?))

水曜は都電でハシゴ。
まず梶原いろは亭。11時から開始の「精選若手の会」。
掛け持ちの会がハネた後で書いています。

柳亭市寿、桂銀治の二人会。
いろは亭、予約メールを入れたら「Peatixでお願いします」とのことだった。
小さな小屋にしては進んでますね。キャッシュレス決済できれば言うことないが。

東京かわら版には会場は3階和室とあったが、予約が多かったからか、普通にいつもの1階のホール。

市寿さんは過去確か一度しか聴いてないと思う。
落語協会員でも、神田連雀亭に出てないとそんなもんなのだ。
もらった会のチラシによると、仕事は非常に多いみたい。
そして銀治さんは、私の期待のホープ。

トーク 市寿・銀治
演題不明(古着屋) 銀治
佃祭 市寿

 

トークから。
協会の違う二人はまったくの初対面らしい。
この歳になっても新たな出会いがあってありがたいですと市寿さん。

市寿「いっぱいですね。ほぼ満席です」
銀治「ほぼ、はなくていいんじゃないですか」

なんだか、二列目全員が団体さんらしい。20人近く入って盛況だ。

二人ともメガネで出てきました。銀治さんは高座ではメガネ掛けないそうですが、と市寿さん。
ぼくよく、顔が怖いって言われるんです。少しでも和らげようと高座以外ではメガネしてますと銀治さん。そして、メガネを外してみる。
高校時代、やんちゃな人もいる学校で。生活指導のガタイのいい先生が、最初に各クラス回って校則の説明するんです。そこで言われましたからね「何見てるんだ」。そりゃ見るでしょう。
今日は道が混んでたみたいで。
ええ、バイクでちょっと遅れてしまいましてすみませんでした。今日なんですかね。
大丈夫でしたけども。
着いたのが開演15分前です。
それにしちゃ、汗引いてますね。
練馬から板橋に向けて、あ、住んでるところバレますけど。石神井公園って言わなければいいですか。板橋に向かう道路がやたら混んでました。

トークは短かった。5分くらいか。
15分前に会ったばかりにしてはしっかりまとめたと思う。
道が混んでるのは15日だからかなと思ったけど。

高座は銀治さんから。
定番の「伸ぴん⇒中古」から。
故郷・延岡の民家に呼んでもらった話。
GoogleMapで、住所が表示されない田舎だった。
また別の、家主が亡くなった元民家のコミュニティセンターにも呼んでもらった。
立派な高座があるが、亡くなった方の介護ベッド。
「このボタンだけは押さないで」と言われる。介護ベッドだから押すと寝床が持ち上がる。

で、そのままボタンを回収しない。
こういうのって、こう↓語るもんだと思った。別に嘘で構わないので。

「『二番煎じ』やったんですよ。役人がやってくる場面で、こう扇子で床を叩くわけですね。『バン、バン』と。そしたらついボタン押してしまったみたいで。高座が突然こう持ち上がって、私斜めになりまして。ここがいちばんウケました」

語らないならボタンの件は不要でしょ? 客にミスリードされるのでは。
この布団、夜は銀治さん自身が寝ることになっている。そこで高座を務めながら想像する。
セレモニーホールでの落語を思い出した。棺の載る台が高座。みんないずれここで寝るんだな。

二ツ目さんの中には、びっくりするほどマクラのつまらない人がいる。
なにが面白くて、なにがつまらないのかそもそもわかっていないのだろう。
銀治さんはちゃんと面白いネタをもってるのに、いつも微妙に外してしまう感じがしている。
とはいえ、「面白いでしょ、このエピソード!」という感じでグイグイ来て蹴られる人とは違う。将来は、マクラもしっかり面白そうな人なのだ。
まあいい。先は長いんだから。不快感を与えないだけでも十分リードしている。

ご商売の話から、古着屋へ。
どこぞのおかみさんに呼び出された古着屋、近江屋がやってくる。
不要になったお召し物を買い取るのだ。

なんだこれは。まったく知らない噺。
古着屋といえば「古着買い」なんて珍しい噺があって可龍師から聴いたが、それではない。
どことなく、芸協新作の匂いがする。

調べても演題はわからない。
なかなかよくできた構成の噺。

  1. おかみさんのお召しもの、5,500円で買うと近江屋
  2. 9千円すると思ったのに
  3. 本当は6千円なんですが、ここに取れないシミがあります
  4. おかみさん、シミのいわれを語りだす(亭主が箱根に連れていってくれた際にできたシミ)
  5. 長い話でしたね。別の話かと思いました。できれば思い出のない品をお願いします
  6. では亭主の服をみてください
  7. こちらは2,500円で引き取ります
  8. 3千円はすると思ったのに
  9. 本当は3千円なんですが、ここに破れがあります
  10. おかみさん、破れの長いいわれを語りだす(3人目の息子が生まれたのだが、亭主が芸者由来の女の名前だけ用意していた。頭に来たのでついビリビリと)
  11. 長い話でしたね。別の話かと思いました。できれば深いいわれのない着物をお願いします
  12. では、最後になんのいわれもない羽織を(サゲへ)

4と10は、「質屋蔵」のコロコロストンのくだり、「千早ふる」の「あ、これ歌のわけですかい」を思い起こす。
小言幸兵衛っぽくもある。

通貨単位は合ってるかな? 一桁違うかもしれない。ただ、昭和初期を思わせる設定にしてはインフレ気味だなと思ったのと、おかみさんが値引きの500円について諦めきれないところが記憶のフックである。

芸協新作も大部分は地に埋もれているのだが、今でも魂を入れて復活させようとする人がいる。
銀治さんもそのひとりなのか。
実業家らしい亭主が美人の奥さんをもらいながら、よそでは芸者とよろしくやってる時代背景も含めて、磨けば光る噺だなと思いました。

続きます。

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