県民共済シネマホール寄席2 その3(桂歌近二ツ目昇進披露口上)

披露口上の司会は枝太郎師。マイクを持って語りだす。
私が司会の、元横綱稀勢の里でございます。

まずは、新二ツ目、歌近さんの顔を上げさせる。「表を上げい」。
このような顔でございます。男前でもなく、思わず笑ってしまうような顔でもなく、平凡です。
歌丸一門の二ツ目昇進は25年ぶりなんです。当時、歌春師匠のお弟子さんのうららさんが二ツ目に上がったんですが、辞めてしまいまして。
歌近は高校卒業前に弟子入りしました。
歌助師匠のところも、過去にふたりお弟子さんいたんですが辞めてしまいまして。なので悩んだようですが、本人の熱意で無事弟子入りがかないました。
修業は大変です。休みありませんし。
師匠からは理不尽な小言も言われます。私も言われておりました。
あれが何の役に立つのかなと思ったものです。しかし役に立つのです。
私9年前に結婚しまして。理不尽な小言にじっと耐える精神が培われたのです。

枝太郎師、高座のマイクを外し、文治師に渡す。
私と歌助さんとは同期で。同じ日の昼席と夜席で同時に修業を始めました。
同期というと仲良くない例も多いんですけど、一緒に仲良くやってきました。歌助さん大卒なのでトシは違いますけどね。
その人の弟子が二ツ目になったというのは感慨深いです。
歌近さんは熱心な人で。なんでも同時に5席ぐらい同時に教わってたりして。ほんとはダメなんですけどね。

隣から歌助師が「それは師匠の私がOKを出したので問題ない」と。
ともかく、文治師は落語界の掟に厳しいのだった。

歌近さんは堅実です。うちの弟子(空治)みたいに、炎上で売れようとしてません。
悔しいことがあっても、とにかく稽古です。稽古に勝る近道はありません。
稽古が結果的に、最速で売れるんです。
とにかく、100席持ってると強いです。100席覚えても、会う合わないがありますし、お客さまに喜んでもらえるかどうかもあるので、どんどん数は減っていきますけどね。
でも、100席が50になっても、大丈夫なんです。50もやがてベテランになると30になりますけど大丈夫です。
これがね、二ツ目になって10席しかないようだと、数減っちゃうと3つ4つで回さなきゃいけなくなるんですよ。

最後枝太郎師が引き取って、「YouTuberに落語はできません!」。
なぜかウケない。
そもそも、文治師は「安易に乗っかっていくな。普段の修業が大事」と言ってるのであり、「YouTuberに落語ができるかどうか」とは関係ない。
でもなんだか嬉しくなって私、思わず手を叩いたけど誰もついてこないのだった。あらら。

マイクをさらに渡して師匠・歌助師。
歌近が弟子入りに来たのは高校3年の11月でした。お母さんを連れて。いや、お母さんに連れられてきたというべきですね。
二人弟子が辞めてたんで、私も大丈夫かなと思ったんです。でもお母さんが美人だったのでOKしました。

枝太郎師が、客席を指して「いるよ」。
「知ってるけど、だから言ったんだよ」

今、歌丸師匠の孫弟子は二人だけ。
歌近と、枝ぴょんさんで歌丸の名跡を巡って戦って欲しいと(これは文治師が言ったのだったか?)。
最後の発言は、三本締め終えたあとで枝太郎師が引き取り、「歌丸はね、あたしがなるから。兄弟子たちがいなくなったあとで」。
歌助師が「歌蔵に言うぞ!」。
これはなんのことやら。
それから撮影タイム。

枝太郎師、歌丸パネルを逆さに抱えてハケ、おいおいと文治師に突っ込まれていた。

楽しい口上のあとは、この日の主役の歌近さん。一度引っ込んで再登場。
黒紋付に袴姿。

歌近という名前は、自分で考えました。意味は特にないです。「歌丸に近い」なのかと言われたりしましたが。
前座のときは「れん児」で。れんは本名で、「児」は師匠の前の名前(歌児)から来てるんです。歌丸師匠も最初今児でしたし、由来があるんですが。
よく文治一門と間違われて「れん治」って書かれました。
ただ、誰の弟子だかわからないんですね。なので「歌」は欲しかったんです。
新しい名前、まだ慣れてません。師匠もよく、「おい、れん児」と呼んでます。
二ツ目披露の最初の芝居が池袋の文治師匠の席でした。ハネたあと、毎日写真撮影があります。
文治師匠も、私をみなさんに紹介してくれるんですが、3日目ぐらいから名前が出てこなくなりました。

前座の修業は、師匠にお茶を出したり、着物を畳んだり。畳んだ着物にお茶をこぼしたり。
そんな場面何度も見ました。

噺には格があって、前座のうちはできない噺がたくさんあります。
いきなり「お前さん起きとくれ」とか、そういうわけにはいきませんね。
前座はまず、寿限無とか、枝ぴょんさんのやったたらちねとか、言い立てのある噺を口慣らしのためにします。
三道楽の噺はできません。飲む打つ買うですね。
それから色っぽい噺もできません。
それからお侍の噺もできません。前座さんは羽織着ないで着流しなので、侍はおかしいってことなんでしょう。

侍の噺を、ということで「たけのこ」をやる。
披露目の一席が小噺じゃないかと思ったら、そのあと普段の袴に入っていった。

続きます。

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