県民共済シネマホール寄席2 その1(桂枝ぴょんデビュー)

今年初めて赴いた、横浜・馬車道の県民共済シネマホール寄席。
共済加入者は1,200円と格安だが、部外者も1,500円とそこそこ安い。
今日は新二ツ目・桂歌近さんの披露目があるというのでやってきた。

歌近さん、かなり地味な芸風だが、結構期待している。
そして「落語界は才能ないやつらばっかりだから今に滅びる。ヒカルみたいな活きのいい若者を連れてきたほうがいい」と吠えている志らく師へのカウンターになる素材と思っている。
歌近さんが今後成功したとして、まさにこれこそ、既存の落語界の機能の発露なのだ。
志らくという異端児のまま来てしまった人が、若いころ決して内面化できなかった落語界の財産を、地味な歌近さんがすべて引き継いでいる。
かもしれない。
ちょっと大風呂敷を広げすぎな意見の気もするし、彼ひとりにそこまで背負わせるのもやりすぎかも。
でも、そういう可能性のある人だとは思うのだ。
志らく師は「有望な若者はお笑い界にみな獲られている」と言う。
だからさ、そんな時代がいつ存在したのさと。存在しなかった時代が、失われるはずもない。
キラキラしたお笑い界などに縁のなかった人の中に才人がいる。かつてからそうだったし、今でもそうだと思う。

前説 枝太郎
たらちね 枝ぴょん
おすわどん 枝太郎
替り目 歌助
(仲入り)
桂歌近二ツ目昇進披露口上 歌近・歌助・文治・枝太郎
たけのこ/普段の袴 歌近
唄入りお血脈 文治

 

開演前寝ていたら、スクリーンで枝太郎師出演のCMを流している。
だんだん目が覚めた。
それから枝太郎師ご本人の前説。
南区在住の枝太郎です。
神奈川以外から来た人、と聞いて、それから機内モードの紹介。
私はいつも機内モードです。銭湯行ったときも着ないモードです。
うしろのおばさまが「いつも一緒ね」と。
まあ、こういうものは同じでいいので。

今日は特別に、時間長いですよ。
メクリを返しながら出番の説明。
まず枝ぴょん。弟子です。今日ウケなかったらクビです。
それから私。
そして今日の主役歌近さんの師匠、歌助。
最後が文治さんです。

メクリを弟子の枝ぴょんさんに替えていく。
前座の上がりで弟子登場。
あ、女性だ。名前は知ってたが、男と思い込んでた。
一言も女性と言わない枝太郎師に感服。
お笑い芸人にままいるタイプのメガネの女性だ。

師匠の前説を袖で聴いておりました。
今日ウケなかったらクビだそうで。
頑張りますのでご協力ください。

夫婦の縁を振って、たらちねである。
これが空治さんもかつてやってた、入船亭の「たらちめ」のタイプの言い立て。
言い立ての中では「たらちめの胎内をいでしときは」と言ってたが、最後ご本人は「たらちねというお笑いでございました」と締めていた。

この長い言い立ても一応覚えたのだけど、ややうろ覚えのところがある。
前座さんと一緒に唱えて思い出す。もちろん声に出したりするわけじゃない。

冒頭、セメントがないのは好感。あっしの身をがちがちに固めるんですかいとは言ってたが。
ただしサイを持たないかはやや長い。
最近あまり流行らない、ざーくざくーのぽーりぽりが入る。その稽古の最中に大家とお嫁さんがやってくる。

オチケンっぽい陽気な感じで進むのだが、言い立てのあたりは客席静かになっていた。
これはよくわかるなあ。高いテンションのまま噺なんか維持できないから。
枝ぴょんさんの思う、噺のトーンが、ちょいと標準より高めなんだろうな。
あまり学生落語とか、天狗連とか聴く機会はない。ただ学生女子はこんなふうに、笑いどころを見つけて押していくというイメージがなぜかある。
落語はそういうものでもないと思うけど。まあ、もちろん先は長い。

翌朝のネギ売りとのやり取り、芝居廻しのセリフはなかなか上手かった。
これは、オチケンでなく芝居の人?

枝ぴょんさんが高座を返して、師匠の枝太郎師登場。
前座のクビが決まりました。
まあ、将来どうなるかわかりませんが、ご贔屓を願います。
今、弟子志願者が減ってます。若い人には、修業は似合わないかもしれません。
彼女が弟子に来たのは2月のことです。
一応、断りました。真打になったって、バイトしてる人だっているんだよ、大変だよと。
そうしたら、「おっしゃったこと持ち帰りまして検討させていただきます」なので私も、「どうぞご検討よろしくお願いします」。

前座になったって、もらえるのは千円です。交通費込みです。
私の前座時代、横浜から浅草まで通うと片道580円です。行くたびに赤字になってました。
朝師匠の家に行ってから寄席です。休みもありません。

横浜の街で、最近は声を掛けられることも増えました。
先日、特になにもないんですが着物で歩いてましたら、子供が驚いて見ています。
どうしたのかなと思って声を掛けたら、「細川たかしさん?」。

本編はおすわどん。師匠譲りですな。
師匠もやってない、地噺タイプのおすわどん。こんなものは、落語協会では聴いたことがない。
地噺タイプということは、つまり脱線が多いのである。
脱線しまくるのを聴きながら、トリの文治師匠は「お血脈」はやらないだろうなとふと思った。やってるじゃないか。

続きます。

今日は3時30分に会がハネて、ワールドポーターズのジョナサンで4時を回った時点で書きあがりました。
まあ、先にいろいろ書いてるけどね。

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