林家正蔵師匠、元こぶ平は改めて有名人だなと思った。
ヤフコメでもって、「ヒロミにいじられてた頃が懐かしい」「タッチ」「こち亀」「久しぶりに見たらずいぶん痩せた」のオンパレード。
世間においては、「かつて有名だった」⇒「その後、一般人の目の届かないところに隠棲した」⇒「再登場した」なのである。
事実とは大きく異なるが、無責任な世間なんてその程度。
師の落語の実力についても、無責任なコメントだらけ。
テレビに出まくって、その後スパッとやめるのをよしとする価値観は、ひところ落語界にしっかり存在していたものだ。
それを守ったわけだ。
さて、正蔵新会長、いろいろコメントを出していたけども。そのうちのひとつ。
「落語協会で寄席を作りたい」というコメントを広げてみようと思った。
ちなみに今ちょうど、図書館でもって借りてきた「芸談・食談・粋談」(先代柳家小さん、興津要氏の対談集)を読んでいる。
この本でも当時会長の小さんが、「協会で寄席を作りたい」と述べている。
昔からあるんだなあと。
当時と違うのは、現在大阪に天満天神繁昌亭と、神戸新開地喜楽館があること。
これは上方落語協会主導の寄席。正蔵師も今回、繁昌亭の存在に言及していた。これを見習いたいと。
もっとも大阪は、協会主導でやるしかなかったのである。
寄席四場がしっかり生き残っている東京とは背景が違う。もちろん、そうであっても見習うのはいいこと。
協会主導で寄席を作りたいというのは、既存の寄席に対する反旗ではもちろんない。
正蔵師は、寄席の最高峰、鈴本演芸場でGW・5月上席の主任を務めている。
既存の寄席に迷惑の掛からない形で開きたいということはちゃんと述べている。
協会主導の寄席は、すでに一応ある。
落語協会の2階でやってる、黒門亭。土日だけ。
ここは30~40人でいっぱいだ。比較の対象としてはちょっと違う。
寄席が増えるのはいいことだ。
芸人は過去最高の人数を誇っていて、出演者確保の問題は最初からない。
江戸時代みたいに、各町内に1軒あったなんて時代は戻らないけど。
どこに作る? 木久扇師匠がかつて「渋谷に寄席を」と言っていた。
普通には、渋谷でしょうか。
錦糸町なんかもいいが、両国と亀戸で円楽党が寄席やってて、空白地帯ではない。
今だったら大井町なんていいと思います。このあたり、落語会はあるが空白地帯なのだ。
ただ、協会主導の寄席の場合、そんなに劇的な顔付けにはならない。これもまた、確か。
すでに人気者は、寄席を掛け持ちしていることであるし。そもそも落語会で忙しい。
となると、寄席に顔付けされなかった人で番組を作ることになるのである。
こういう性質の寄席も、すでにある。
横浜にぎわい座の定席(毎月7日まで)であるとか、芸術協会の上野広小路亭定席(毎月15日まで)である。
「寄席に顔付けされなかった人=つまらない人」というわけではない。
とはいうものの、人気者と比べインパクトはだいぶ薄れる。これは間違いない。
そもそもが協会主導の寄席である。不遇な協会員を出してやるという意図も大きいのである。
こういう寄席を楽しむにあたっては、少なくとも私の場合は決まりがある。
「好きな人がたまたま集まった」際を狙うしかない。
横浜にぎわい座の定席は、落語協会と芸術協会が協力している、実に貴重な席だがまるで知られていない。
前座以外、落語が3人(うち1人二ツ目)、色物が2組という番組。
少数精鋭だが、たまに惑星直列みたいなとっておきの番組になることがあって、その際に出向いている。
まあ、めったにない。
そういう日以外は行かないほうがいいなんて言うつもりはない。楽しみは人それぞれだし。
ただ、私は行かない。
二ツ目の寄席、神田連雀亭はメンバーがランダムに割り振られる。
ただ、ワンコインで3人、昼席で4人全員が好きな人、ということはなかなかない。
知らない人は、聴いてみないとわからないので、まあいいのだけど。
協会主導の席は、こんな悪平等になることはもう、避けられない。黒門亭は、まさにこれ。
前述の繁昌亭にも、長らくこの問題があるようで。
協会員への高座提供と、魅力的な番組の両立はなかなか難しいのであった。
ただ、やり方はもうひとつある。
レギュラーメンバー方式である。
メンバーを固定して、その中で順番に回す方法。メンバー固定の際に選抜されているのだ。
渋谷らくごと、鶴めい七叶亭がそう。
もちろん選ばれた中での好き嫌いは存在するのだが、だいぶ選びやすくはなる。
折衷案ですが、こうすると両立しやすくはなると思う。
- 噺家を、ランク付けする。Sクラス、Aクラス、Bクラス、Cクラス
- Sクラスは、出ない。出ないのが名誉
- 基本、Bクラスの固定メンバーで、まわすことにする
- Aクラスはちょくちょく出てきて、トリや仲入りに入る
- Cクラスも出られる。ただし回数は少なく、浅い出番の交互出演限定
これで行くしかないんじゃないでしょうか。
ランク付けなんてかわいそうだ、と言われてしまうと、もうなにも始まりません。