先日書いた記事に続編ができました。
「上方落語・噺家成人式」公演、入門から15年となる落語家を対象 真打制度導入は継続審議(日刊スポーツ)
笑福亭仁智「入門した人の1つの目標に」噺家15周年お披露目“成人式”開催へ(スポニチアネックス)
上方落語界にも真打制度を検討、というのが先日の話であったが、短期間でもって中身が変わって再登場。
一応続いている話らしい。
15年継続した噺家を、成人式として祝ってあげましょうという企画だそうで。
よくひねり出しましたな。
結局、これは東京の真打制度を一言で言い表してもいるのだった。
どんなヘタクソでも、15年やってれば「真打」という格になる。その後活躍しようが、香盤に名前があるだけの噺家になろうが、15年やって披露目をした事実は消えない。
言ってしまったらたかだかこんなもののために、東京落語界は分裂を繰り返してきたのである。
分裂があったので、本来の実力の証がこんなものになってしまったのか。
いや、私は現行の年功序列真打、否定してないですけどね。上方落語界が羨望のまなざしを送るのもよくわかる。
この点、成人式というのはいい。年数を経た事実は誰も否定できない。
最初から、真打制度と違って実力込みの評価になっていない。
要は披露目をやりたいのだ。このわかりやすく露骨な目的に賛同します。
披露目をやれば、マスコミにも取り上げてもらえる。
そしてどんな噺家にも、一生に一度は日が当たる。無理に名前を見つけてきて襲名披露をしなくてもよくなる。
東京と同様、「15年を区切りに襲名」は今後ありそうだけど。
当初は、関西の一部ファンから拒絶を受けそうな気がしないでもない。
なんでも東京のマネかい。関西は実力評価の世界やろと。
でも、これは後先が逆だと思う。もともとあった真打制度が消滅したために、結果的にそうなっているに過ぎない。
関係者の誰も、現在の状況を望ましく思っていたわけでもないだろう。
いいと思います。
そして早速、成人式の噺家が用意されている。手回しいいことで。
先日の真打制度云々は観測気球だったのだろうか?
スポニチによると、慎重派の米團治師が賛成に鞍替えしたのだというが。
さて、この人たち。
- 桂團治郎(35)
- 桂和歌ぽん(32)
- 林家愛染(36)
- 桂福点(55)
- 桂三語(38)
日常的に上方落語の2番組をradikoで聴いてる私だが、ひとりも印象がない。
團治郎さんは真打制度に慎重派だった米團治師の惣領弟子である。その下の米輝と慶治朗は売れてきたけど。
ちょっと年が上の福点さんだけ、なんとなく知っている気がした。調べたらそのとおりで、全盲の噺家である。
協会に入っているプロで全盲というのは、恐らく唯一と思う。
笑福亭伯鶴という人がホームから転落で大事故に巻き込まれ話題になったが、協会員ではない。
そして今回の5人中、Wikipediaに記事があるのはこのふたりだけだった。
(※ 伯鶴師も会員だと情報いただきました。また、桂文太師も全盲とのこと。お詫びして訂正します)
愛染、三語のふたりは吉本所属。
いつも書いてるのだが、吉本所属の噺家は聴く機会が少なくていけない。知らないのはそのせいということで。
とにかく、この5人が繁昌亭などでトリを取るそうで。
神戸新開地喜楽館でもやるなら、ラジ関寄席に乗るだろうから私も聴ける。楽しみにしています。
上方は、入門年次による香盤がないので年数を調べづらくていけない。
実力と関係ない序列なんだから、公にして欲しいものである。
スポーツ報知には、「あくまでも落語家として15年なので、桂三度はまだ」と書いてあった。
そういえば、月亭方正は、2009年12月協会入り。これを噺家のスタートと考えるならば、今年披露目をしてもいいことになる。
すでに弟子採ってるけど。
ところで、「成人式」は18年または20年との誤解を招くということで、名称は公募とのこと。
元服、というアイディアもあったと。
公募したら結構、「真打」という名称が寄せられそうな気がする。
実際のところ、成人式を踏まえたことで東京にも呼ばれやすくなり、真打扱いされるという機会も増えるだろうし。
でもまあ真打ではないのだというからして、別のものを。
「と金」「成金」。
これはダメだろうな。二番煎じだ。
出世ということで、「ブリ」でどうでしょう。出世魚。
ハマチがブリになったよという披露目である。もとより、実力の問題は含まれていない。
ヘタすると、ブリのアラになります。
ブリのアラ、そらなんでんねん。
骨太うて血生臭いわ。
こんにちは。
伯鶴師ですが、協会員だと思います。事故に遭われる前には繁昌亭の昼席にも出ておられまして、二度ほど高座を拝見しています。
https://kamigatarakugo.jp/directory/ichimon/shofukutei_hakkaku/
なお上方には後天的な全盲の噺家として桂文太師がおられます。全盲になられてからの高座も拝見しましたが、こちらはハンデを全く感じない相変わらずの名人です。
平成29年までの上方の香盤表なら持っています。ご入用でしたら添付のメールアドレスにご一報ください。
ありがとうございます。
本文訂正しておきます。