昇天大喜利　あの世から特大号

「こんにちは。昇天司会の歌丸です。えー今回は特番ということで、我々、生前は笑点メンバーだった噺家が、お盆でもないのに一夜限り登場いたします。題して昇天大喜利です。私も生きてる頃から、すぐ死にそうなわりにいつまでも死なないなんて言われてました。そして死んでからも司会をしています。それではメンバーの紹介です」

「五代目三遊亭圓楽です。なんであたしが司会じゃないのかね。このたびは最後の弟子の王楽が七代目円楽になりまして、草葉の陰で喜んでおります」

「弟子が師匠の名を襲名し、おめでとうございます。ちなみに今回の司会は厳選の結果、敵の少ないあたくしになりまして。次の方」

「六代目三遊亭円楽です。今日は圓楽が二人になっちゃいましたので、元の名前の楽太郎で皆様のご機嫌を伺います。巷では学歴詐称が話題になってますが、私も昔学位を金で買ってました。すみません」

「あたしのことさんざん死にそうだとかミイラだとか言ってたあんたもこっちの仲間入りか。次の円楽もできてよかったね。次の方」

「今日は懐かしい諸先輩がたに久々にお会いできまして感謝感激です。皆さん次々化けて出てこられて、幽霊というより妖怪みたい。なんかようかいなんつって。木久扇です」

「じじいになっても相変わらずバカだねえ。つかあんた、もうこっちに来たんだっけ」

「ときどきね、自分でもどっちにいるのかわからなくなっちゃうの」

「居場所もわかんねえんだ。まあ、せっかくだから遊んでって。次の方」

「冥土の皆さま、そして越後の皆さまお久しぶりでございます。チャーザー村も合併でなくなっちゃいましたが、越後生まれのこん平です。さあご一緒に、チャラーン」

「相変わらず声でかいね。死ぬ前は出なかったのに。次」

「ぼくちゃん、久しぶりの登場で、もう忘れられてるんじゃないか心配な小圓遊です。あの世に来てからもモテてます」

「誰だっけ」

「あんたにまで忘れられたかい。キザのあたしとハゲのあんた、宿敵どうしだったじゃないか」

「もちろん覚えてますよ。現役時代はね、二人で仲良くしてると視聴者に色々言われたから、本当に接触を避けてたっけね。懐かしい話だ。次の方」

「小圓遊さんが亡くなって空いた席に入りました。好楽さんの前のピンク、桂才賀です」

「キザが二人並んだね。座布団運びは桂文字助さんです。宙を飛んで座布団を運びます。裏で酒は飲まないでね。なに楽太郎さん？」

「あの、談志さんは？あの人もこちらの人でしょ。番組創始者なのに」

「あの人は地獄に堕ちたんで、こちらにはいないんだよ。では1問目。極楽浄土にやってきた皆さまですが、現世に思い残したことも多少あるかもしれません。まず皆さん、思い残したことがあると言ってください。あたくしが『どうしたの？』と返しますので、何か続けて答えてください。はい楽太郎さん」

「映画『国宝』が流行ってるのに、あー心残りが！」

「どうしたの」

「歌丸師匠を人間国宝にしたかった」

「極楽に来ていきなりヨイショしやがって！　むしろあんたが『歌丸を人間国宝に』なんて活動したから小三治さんに取られちゃったんだよ！　1枚取れ！　はい小圓遊さん」

「ああ、死んじゃったのはいいけど、あと1日生きたかった」

「どうしたの」

「百恵ちゃんの引退コンサートの日に死んじゃったのが心残り」

「まあ、そりゃ世間は百恵ちゃん取るわね。圓生よりもパンダ死亡のほうが話題だったし。はい、生きてる人代表の木久扇さん。あんた正座はできるようになったのかい」

「今日は宙に浮いてるから楽でいいね」

「そうだね、我々みんなちょっと床から浮いてるね。どうぞ」

「あー木久蔵ラーメンが心残りだ」

「どうしたの」

「死ぬ前の最後の食事に木久蔵ラーメン食べたんだけど、まずすぎて死んじゃったの。でもまだ死んでないから、あのね」

「できてから手上げろ！1枚取れ。はいこん平さん」

「あ〜たい平に毒を盛られたときの心残りが」

「どうしたの」

「どうせならあのときの酒と飯、全部平らげとけばよかった」

「地獄八景だね。1枚あげて。はい才賀さん」

「ああ、心残りだ」

「どうしたの」

「笑点に8年出てたのに、もう誰も覚えてない」

「そんなことないだろ。でも、懐かし版でも出ないからね。あんた確かに何やってたっけ。はい馬の圓楽さん」

「ああ、若竹の心残りが」

「どうしたの」

「借金なんかして潰すぐらいなら、最初から自宅で寄席をやるんだった」

「それじゃ好楽さんだよ。はい楽太郎さん」

「ああ、不倫騒動が心残りだ」

「どうしたの」

「どうせならフライデーじゃなくて、文春砲喰らいたかった！　志らくが羨ましい」

「羨ましがってどうすんだよ。皆さんなかなか調子いいみたいだね。好評だったらまた続きます。ただし小圓遊さんと才賀さんのネタが作れるかどうかにかかってます」