おかげさまで、更新サボった昨日も通常以上のご訪問。
笑点をきっかけに、当ブログで扱っている話題すべてに検索需要が発生するのである。
4団体が勢揃いしたことで、落語協会と芸術協会の違いが気になったりして。うちのブログにあるのはネタ記事だけどね。
当代三平師匠についても、新メンバー加入のたびに検索訪問がある。
今日も訪問多いけど、ちゃんと書こう。
今日明日あたり、出かけようかと思っていたのだが、最近濃い席が続いたのでやめておく。
でもネタがない。ないときはテレビに頼る。
浅草お茶の間寄席はこういうときに役立ったのだが。
スカパーの無料放送で、「WAGEIのじかん」というのが録れた。15分番組で、4本で1時間にしてある。
MCは玉川太福師。
番組と関係ないのだが、撮れた録画の冒頭は、別の番組のおしまい部分。
DJ KOOが、「やはりですね、人情の街、談志師匠が愛した街ですね。おあとがよろしいようで」だって。
落語に詳しい人のはずなのに、「おあとがよろしいようで」ってね。台本にしても、断ったらどうだ。
しかも、誤用としてのおあとがよろしいようで考えても、なんにも面白いこと言ってない。
なんの番組なんだか、どの街なんだか一切不明。知ってても、教えてくださらなくて結構ですが。
この4本。
旅行日記 | 昇吉 |
地べたの二人〜10年 | 太福 |
やかんなめ | 昇 |
強情灸 | かけ橋 |
「旅行日記」は初代林家正楽(噺家)作の新作落語。実質的には芸協新作のひとつ。
現場で二ツ目から三度聴いたのだが、すべて「私は誰でしょう」にしてしまった。
残っているだけあり、本来面白いはずなのだが、いかにも二ツ目がやってドツボにハマりそうな噺。設定がグロいので。
三笑亭夢丸師の録画は持っていますがね。
江戸時代の薬食いの噺に改造したら、劇的に蘇る気はしている。
今回の昇吉師のもの、ちゃんと聴いてない。
太福師の「地べたの二人」シリーズはご本人の言うとおり、なんの事件もないのに実に面白い。
昇さんのやかんなめは現場で聴いた。
本日は、春風亭かけ橋さんの「強情灸」を取り上げますよ。
検索で引っかかるかどうかは微妙だが。もっと上の順位でヒットする記事が当ブログにはあるからである。
落語界きってのマッチョという触れ込み。
実際、強情灸のまくり上げた左腕で、力こぶを作ってみせる。
このとっておきのギャグ以外は、端正な、本寸法といってもいい一席。
私の嫌いなバーベ灸はない。最初に入れた人はウケたんでしょうがな。
「石川や浜の真砂は尽きるとも」のあとは、「あなたと超えたい天城超え」。
かけ橋さんは、ご存知の通り落語協会から芸術協会に移り、前座をやり直した苦労人。
現在、二度目の二ツ目修業中。
そういう経歴なので、いろいろ混ざっている人。
元の師匠、三三そのままの口調もあり、移ってからの芸協スタイルもありという。
これは、噺によって異なるようだが、早めに覚えた前座噺についてはとりわけ三三スタイルが多いようだ。
強情灸は前座噺じゃないが、基本の噺のひとつで、前座時代に覚えることも多そう。きっとそうだと思う。
マクラは、定番の「横浜のかけ橋、ベイブリッジと呼んでください」。
これは本編と別に関係ないのだが、でも序盤から三三バリバリ。鼻に抜けるあの口調。
というか、師弟関係が続いていても、ここまで似ていない。
その口調で、修業時代を語る。
昨年二ツ目に昇進したばかりだと語りつつ(ということは、収録は2023年だ)、初めて楽屋に入った頃の話。
「あまりにも疲れてるので、今日のご飯の支度は要りません」のメールを、師匠に送った。
この師匠って、元の師匠だよなと思う。
三三師の語りというもの、ある種の完成形なのだなと。
一度この口調を確立してしまうと、なかなか抜けられないのだろうか。
現在、噺家が語り口を見つけるまでの奮闘を記事にしようと考えているが、ひとつのスタイルを作り上げた三三師はすごい。
かけ橋さんもあるとき、大して変えていないのにいきなり「元の師匠から離れたね」と言われる日が来そうでもあるが。
似すぎているのはともかく、実に耳に心地いいものではある。音楽として、繰り返し聴ける。
次のセリフを、ちょびっとずつ前倒しすることで、なんともいえないリズムを刻み込むのだった。
山盛りにこさえた灸の我慢はあまり長くない。これでウケようてんじゃないのだ。
収録で一般客がいないのだが、不自然さなし。
先日のNHKラジオ深夜便での語りを思い起こす。
そろそろ聴きにいきたい人であります。