宮田陽・昇の漫才は、実に25分。寄席ではこんなに長いものは聴けない。
ダレる部分がまったくないので、いつまでも聴ける。永遠に続けて欲しくなる。
そしてネタのつなぎ目が実に自然で、スッと話題が変わっていく。これはロケット団より上手い。
大阪のお笑い好きにも、ぜひザ・東京漫才を観て欲しいものだなんて思った。
大谷の年俸はすごいですね、10年で1千万円。10年で1千万円なら、1年100万円じゃないかよ。
俺らぐらいだな。俺らはもうちょっともらってるよ。
1年100万円ぐらいの先輩知ってますけどね。言うな!
あと、相撲とテニス。白鵬の本名から、マイケルちゃんにアグネスラム。
秋田県知事は不謹慎なコメントしても(四国disり)静岡と違って辞めないなんて話も。
それから後半は昇さんの次男・まもる君の家庭教師を陽さんが買って出るネタ。
これも知ってはいるが、比較的珍しめだと思う。
「外交員」を外交官と間違ってしまい、ツッコまれていた。
算数も国語も、最終的には陽さん夫人の保険のセールスになってしまう。
仲入り休憩明けのこみち師は袴姿。
家族の漫才を久々に聴きました。ああ仕事してるんだなと。
ふだん一緒の仕事というものはないので、なにしてるか知らないんですよ。
なんだか毎日出かけていきますけども。
浅草演芸ホール下席夜の、女芸人だけの席の話。
私こみちは26日のトリですので。
これは女だけですので、陽・昇さんは出ません。
今日やる噺は、その日には出しませんからご安心を。
昨年好評を博した桃組が姿を変えてまたやるようで。
上方の女流もかなり呼ぶみたい。
前回の拝鈍亭のネタ帳見ますと、桂藤兵衛師匠が崇徳院を掛けていらっしゃいました。
崇徳院というのは恋わずらいの噺です。
若旦那の恋わずらいですが、相手のお嬢さんという人は、最後まで出てきません。存在は確かなんですが。
なので、このお嬢さんを主人公に据えてみました。崇徳院という噺を知らなくても、大丈夫です。
上野の清水さまで出会った若い男女の物語を、女目線で描いてみせる。
といっても、既存の噺を逐一上書きしていくやり方ではなくて、まったく別のはなし。
お嬢さんは部屋にこもり、食事ものどを通らない(なのでういろうを二三切れ)。毎日花をむしって「好き」「嫌い」とやっている。
狂言回しはお付きのバアさん。バアさん、1席目にも出てきたが、こみち師得意の登場人物。
本人の地、というより恐らく白鳥師あたりにインスパイアされたものではなかろうか。
こみち師がセリフに混ぜて語っていたところによると、こういう婆さんを出すと、年配の客が喜ぶのだと。
崇徳院というのは実によくできた噺であるが、裏側から同じ噺を描こうとすると大変。
登場人物を増やす策に出る。
お嬢さんの恋わずらい、バアさんだけでなんとかしたいのだが、いかんせん体力がないので「瀬をはやみ」を飯炊きの権助に頼んだり、小僧の定吉に頼んだり。
そうこうするうち、お嬢さんのお相手探しを多くの人が知るようになる。
面白かったのだが、後半占い師が出てきて謎の踊りを披露するあたりから、ちょっと収拾がつかなくなりかける。
ラストは当然、既存の崇徳院を吸収するわけだが、若旦那側の熊さんと、お嬢さん側のカシラが遭遇するくだりが唐突に思う。
お嬢さんの秘密をカシラが知り、若旦那捜索に乗り出したのはいつだろう。
噺をつくるというのは、実に難しいものである。
客がちょっとポカンとする場面があり、「お客さまもポカンとしたようですが」。
まあ、既存の古典落語を企画ものでいじったって、おかしなものになったりしますのでね。
こみち師は古典メインで、さらに女目線での古典改作、さらに教わった新作なども手掛ける。
正直、1席目みたいな古典が一番いいなと。
もっとも古典がいい理由は、いろいろ創作力の修練を積んでいるからであることは間違いない。だから、古典に絞ってくださいなんて言う気はない。
ともかく今年も落語と漫才、楽しいものでした。
また来年あるいは再来年に寄せていただこう。