2025年落語協会新真打(まとめて10人)&落語芸術協会新真打(3人)

昨日Googleポータルに、落語協会の来年の真打昇進情報が出ていた。
まだニュースになってないな。
そう思って調べたら、同じ日のリリース、芸術協会の新真打のニュースが引っ掛かった。こちらは先ほど知った。

芸術協会は2025年春の昇進。
瀧川鯉津、瀧川鯉丸、立川幸之進の3人。
香盤では3人の上に「笑福亭竹三」さんがいるが、休養していたため抜かされることに不思議はない。
今年昇進の雲龍亭雨花師の件とはまるで違う。
竹三さんは、正月のにぎわい座の一門会に「リハビリです」と言って大喜利にだけ出ていた。
どのぐらい休養していたのか知らないが、休養期間によっては、来年も飛ばされても別段不思議はない。

昇進組については、特に書きたいことがない。全員、複数回聴いているが。
幸之進さんは師匠・談幸と一緒に芸協入りして、前座を2年やり直させられた苦労人。
二ツ目再昇進後8年で昇進。立川流での二ツ目3年を加えられているようだ。
兄弟子の吉幸師は、前座を1年やり直した後、わずか3年で真打になった。
今思えば、これも立川流の二ツ目7年を加えてもらっていたのだな。

今日はもっぱら落語協会の春と秋、10人の昇進について。
抜擢が過ぎ、その後今秋にも4人を昇進させた後の年功序列順送り真打である。
その割には、中身が濃い。近年にない豊作といっても過言ではない。

2025年春(3月下席)

  • 柳家緑太(柳家花緑門下)
  • 柳家花飛(柳家花緑門下)
  • 林家けい木(林家木久扇門下)
  • 柳亭市童(柳亭市馬門下)
  • 柳家吉緑(柳家花緑門下)

2025年秋(9月下席)

  • 柳家やなぎ(柳家さん喬門下)
  • 林家なな子(林家正蔵門下)
  • 吉原馬雀(吉原朝馬門下)
  • 入船亭遊京(入船亭扇遊門下)
  • 金原亭馬久(金原亭馬生門下)

私は芸協を貶め、落語協会を必要以上に持ち上げるファンが大嫌いだ。
なのだが、来年の昇進に関しては落語協会が圧倒的。いやほんと。

つる子、わん丈の抜かされ組なのにもかかわらず。
香盤落とされた吉原馬雀さんも、ついに昇進。
もともと花飛さんの下にいたので、結果的には半年の昇進遅れで済んだわけだ。落語協会のバランス感覚なんでしょうか。
復活後聴きにいった一席の内容は非常によかった。
今後、落語協会の新作派として、3月の新作台本まつり等で活躍するものと思われる。

けい木さんだけ、一度も聴いてない。
モノマネ得意で、あかね噺監修で、笑点若手大喜利にも出て、なんだかよく知っている気がするけども。

10人のうち唯一の女性、林家なな子さんも随分以前に聴いたきり。今はなき早朝寄席で。
生島企画室に入っているため、たまにYahoo!ニュースにこの人の記事(ラジオ出演とか)が出る。
ただ、その記事のヤフコメがいつも閑散としているのが悲しいところ。

市童さんは世間では評判いいが、私は一度だけ。
その一度は、「スタンプカード芸」のきらいがあってあまり感心しなかった。
昇進までに取り返したいものだ。

それ以外の人は、二ツ目の中でも聴いているほうである。
神田連雀亭に出ている人が多いのもある。

キラキラネームの柳家花飛(かっとび)さんは、私は17席聴いているらしい。
地味は地味だがジミハデなところがなんだか好き。そして隠れ新作派でもある。

花緑一門からは、春だけで3人まとめて昇進だが、吉緑さんは抜擢されてもよかったのだ。
なにしろ、さがみはらと北とぴあの2冠なんだから。つる子、わん丈のいずれも2冠は獲ってない。
そして昨秋は、NHK新人落語大賞にも出た。あそこで優勝してれば、あらためて抜擢されたんじゃないかと思う。
でもまあ、勝負はこれから。

やなぎさんも面白い。この人は連雀亭組とは違い、寄席だけで聴いている。
喬太郎師の芝居に行ったとき、弟弟子だから顔付けされてるわけだ。
かなりユニークな人だが、落語協会でありがちなユニークさなのが難点。突き抜けてユニークであるよう望みます。

入船亭遊京、金原亭馬久は一緒に会もやっている。それは行ったことがないが。
つる子師の同期で後輩。
ちなみにもうひとり、林家扇兵衛という人がいました。ま、いいや。

遊京さんは学歴ばかりが話題になるのだが、入船亭の正統派。将来性は随一ではないかな。
10人の中で、最初にトリを取るのはこの人ではないかと思う。
当代扇橋があれだけ売れてるが、遊京さんも負けてない。
馬久さんは、春風亭一花さんのご主人として知られている。
新横浜で先日夫婦共演があったので聴きにいった。上中下3日間の記事のうち、「中」が一花さんをタイトルにした記事。
馬久さんを扱った上下の記事も普段よりはアクセス多かったのだが、中だけさらに100多かった。
でもまあ、ご本人もあせらずやっているようなのはいい。落語界、60過ぎてからでも売れるから。
馬久さんも本格派で、しかも珍品も多く手掛けている。

名前はどうなるだろう。
遊京さんは「扇○」になると思われる。でも、「扇京」は付けられない。
出身地(松山)から獲って「扇松」でどうでしょう。せんしょう。

馬久さんは、いい名が空いてないので新しい名を考えないといけない。
「馬賊」なんてどうでしょう。
あと、アセビまたはアシビと読む「馬酔木」なんて植物があるが。一文字抜いて「馬酔」なんてどうですか。

花緑門下はまるで違う名になると思われる。考えても仕方ない。
改名が絶対に必要なのはやなぎさん。
実家が酪農家だから、牛太郎でいいのでは。ダメですか。

というわけで、楽しみな新真打。
抜かされ組ですが、胸を張ってまいりましょう。

抜擢で香盤抜かれても腐っちゃいけない(上)

 
 

作成者: でっち定吉

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