落語芸術協会に浪曲会員加入と落語協会二ツ目昇進

昨日は両協会の真打昇進について。
今日も同じ日のリリース2本のネタです。

落語芸術協会は、色物新加入。
色物といっても、全員浪曲だ。
以下の3人。

  • 玉川奈々福
  • 広沢菊春
  • 国本はる乃

色物さんは通常、準会員、つまり代演を1年から2年務めてから正会員になるのが通常だと思っていた。
この先生がた、いや浪曲は師匠がたか。代演ってやってないですよね。
別にやらなきゃダメだなんていうのではありません。
奈々福師匠は、もはや演芸界では有名人。NHK演芸図鑑等テレビ出演も多い。
ブログ覗いてみたら、すでに5月8日の記事で入会報告をしてましたね。

芸術協会にはすでに玉川太福師匠が入っていた。
新作浪曲と寅さんでもって、寄席の戦力となっている。
これはまあ、芸人のほうから入りたいと言ったものだと思う。
今回は、「話をいただいた」とブログにあるので、芸術協会としての明確な戦略が背景にある。
芸術協会は、講談に加えて浪曲を抱き込み、寄席を総合演芸組織としてパワーアップしようと試みている。らしい。
いいことじゃないでしょうか。
落語だけで芸人があぶれている落語協会にはできない発想。
まあ協会のほうも、来月文枝師をトリで呼んだり、昨年は好楽師をゲストで呼んだり、現在の状態から脱却しようとあがいている様子はうかがえるものの。
講談は協会が分裂していて、芸協が協力関係にあるのは日本講談協会のほうだけ。
しかし浪曲は一枚岩。芸協は今後、浪曲という芸を完全に手中に収めたと言っていいのでは。

私は、昇太会長はなかなかの策士だと思っている。といって、権謀術数を駆使するなんていうのではない。
昇太師の戦略は明確だと思うのだ。次の通り。

  • 落語協会に常に対抗できる体制構築
  • そのため他団体との協力体制構築
  • しかしながら芸協イズムは維持(円楽党の無条件合流はなし)
  • いずれ鈴本演芸場にも復活

ちなみに、「芸協主導で協会を統一しよう」なんていう野望はまるでないはず。
強い落語協会に対抗することは必要。だが落語協会も、落語界を一緒に盛り立てていく仲間である。
ただ、それ以外は傘下に収める。
円楽党も立川流も、徐々に芸協の二次団体化しつつある。
講談も。
それからついに浪曲もだ。
そしてこの一連の流れは、実のところ上野広小路亭の「しのばず寄席」で作られているのではないかと。
しのばず寄席に行ってみれば、非常に多くの団体の芸人が登場する。東京演芸協会とかマイナーな団体からも。
そして、(正確なことは知らないのだけども)あの番組、実質的に芸協さん主導で作っているのではないかな。
永谷商事の主導とは思えないのだ。
奈々福師のブログには、もともと伯山主任の席での浪曲交互枠があってのこととあるが、実は広小路亭のほうが先ではないかと。

期待しましょう。
ちなみに浪曲は本来立ってやるが、落語の寄席では正座し、釈台を用いる。
「こんなスタイルで浪曲はできない」とか言ってしまうと、台無し。
言わないおかげで発展する。

落語協会は二ツ目昇進。今月下席からと、11月上席。
二ツ目昇進は直前に発表されることも多いが、今回は直前と、あらかじめの発表。
公表のルールはよくわかりませんが。
そして、リリースのスタイルも春秋で違う。春のほうは、師匠が出ていないので補った。

【5月下席】

  • 三遊亭まんと改メ 三遊亭萬都(三遊亭萬窓門下)
  • 入船亭扇ぱい改メ 入船亭扇七(入船亭扇遊門下)
  • 金原亭駒平(金原亭世之介門下)

【11月上席】

  • 春風亭貫いち(春風亭一之輔門下)
  • 古今亭松ぼっくり(古今亭志ん陽門下)
  • 金原亭駒介(金原亭馬生門下)
  • 入船亭辰ぢろ(入船亭扇辰門下)

まんとさんは師匠の一文字と、四万十の出身ということでまんと。
名前が漢字になって立派な萬都。
ちなみに真打昇進時に、この人が圓窓を継ぐと思っています。上手い人。

駒平さんは一度も聴いたことがない。乃ゝ香(現佑輔)、杏寿と女性を入れていた世之介師の、初の男の弟子。

貫いちさんも上手い人だが、あるとき先輩を押しのけて前座香盤のトップに立っていた。
どういうことかと思わず記事化したが、結局ただの間違いだったようである。

駒介さんは前座なのに、なぜかWikipediaが立てられている人。

辰ぢろさんはやたら遭遇し、やたら聴いている。ただ、結構な頻度で寝てしまう。
寝てしまうのはリズムがいいからだと思うのだが。
「小辰」が空いてるから名乗る可能性もあるのでは。

作成者: でっち定吉

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2件のコメント

  1. ご無沙汰しています。うゑ村です

    実は数年前から介護離職して関東を離れて田舎暮らしを続けていたこともあり落語を見に行く機会が少なくなっていたのですが久々に芸協らくごまつりに行きました。その時の催し物の一つに浪曲教室がありましたね

    (どちらが良い悪いと言う話ではなく)講談や浪曲を取り入れることで落語協会との差別化を行いたいという意図を感じました

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