マジックの小梅先生は初めて。
和装で、扇子で顔を隠して登場。扇子を外すと、たいへんな美人。
ただ正直、印象はそれだけなんだけど。
ビジュアルを活かすアイテムは、短絡的だがやはり毒舌でしょうかね。
仲入りは入船亭扇遊師。
師は今年よく聴かせていただいた。5席め。
二ツ目昇進の小次郎さんは陸上自衛隊だそうですね。
陸自じゃなくて海自であるが、この日の鈴本の客は、そんな無益なことで声を発しない。
いや、浅草の客だったら間違いなく声を出して訂正すると思った。
私、最近の流行り言葉などよくわからなくなって久しいです。
ただ年末に発表される流行語大賞のノミネートに、「7月5日」というのがありまして驚きました。
7月5日は私の誕生日ですよ。
本当は、7月5日に何かが起こるという予言があったのと、あと大谷選手の誕生日ですね。
あと他のノミネートでは、「伊東市長19.2秒」ですか。
私、弟子の一人が東洋大学なんですよ。卒業証書見せてもらったことがありません。多分除籍なんでしょう。
このあと、「私は高卒ですけども、伊東高校で」と続くと思ったが省略。
さすがに飽きてきたのでしょうか。
またしても狸賽であるが、仲入りなので噺付属のマクラがつく。
狐狸は人を化かすと言いますが、狐は知力に長けてますな。
白い白狐、金色の金狐、黒い黒狐。
雨を呼ぶ狐がうこ、風を呼ぶ狐がふうこ、雲を呼ぶ狐が…
このマクラ、6年前に聴いてた。いろいろ書き残しておくとあとで楽しい。
ちなみにその6年前の池袋では、「平成狸合戦ぽんぽこ」に噺家が多数声優で出ていた話と、御殿対宮殿も入っていた。
今回仲入りなのに入らないのは、トイレ休憩の時間を確保するためと思われる。
それに比べると狸は愛嬌があると言いますか。
と振って本編へ。
相変わらず軽くて、そして丁寧。
トイレは長蛇。
4階を避け2階に行った。入ろうとしたら「並んでますよ」。
並ぶというのは、トイレの戸の前に並ぶことだろう。通路の向かいに立たれてもわかんねえよ。
自販機で茶を買って、座れるカウンターで喉を潤す。
改めて4階のトイレに行こうかと思ったら、2階まで列が伸びてきてた。大変です。
トイレ誘導も出ていた。
仲入り休憩は長かった。
幕が開いて、林家八楽さん。頭が青々としていて、つい先ほど床屋行ってきたというようす。
初日ですからね。
休憩が押したので時間調整のため短い。鋏試し以外に二つ。
「お客さんに言われるんですよ。八楽、お前はなぜ切れねえんだ。二楽はなんでも切れたぞ。正楽もなんでも切れたぞって。でも私と正楽師匠、50年のキャリア差があるんですよ」
亡くなったお父さんに替わり寄席の出番は増えるだろうが、求められるレベルは実に高い。大変だね。
密着すると、紙切りを題材にしたドキュメンタリー映画が作れそう。
柳家三三師は毒薄めだった。
このあと雲助師匠で、橘之助師匠が出て、喬太郎師匠です。
歯を食いしばって行きましょう。
お客さんが寝たりしてますね。いえいいんですよ寝てもらって。もう入場料はもらってますから。
ぐらいか。
どうつながったものか、隠居と八っつぁんの会話から。
道灌についてる気もするが、このぐらい離れてればよかろう。
隠居は、インドに行った知人にもらったお茶を見せてくれる。これは、観て楽しむ茶なんだよ。
お茶を淹れる前に、よく焙じないといけないと隠居。
焙じてから湯を注ぐと、梅の木が生えてきて、ウグイスも登場。
「ホーホケキョ」
今なんか、すごくヘタなウグイスが出ましたね。
おっかあにも見せてやりたい八っつぁん。
そうかい。お前のかみさんはあたしも大好きだ。顔はまずいけど。
落語らしく、おっかぁがやたらせっつくので失敗して柳の木を出してしまう。
焙じが足りないのだ。
これなんだっけ。茶を焙じるのだから「法事の茶」か?
しかし、菊之丞師のやる法事の茶とまるで違う噺。
菊之丞師、それから楽太郎の円楽師もやっていたが、要は古今東西の名人のモノマネ入れたい噺である。
三三師のは、ストーリーも全然違って、モノマネなんか入らない。
そして、非常に新作っぽい。「古典設定の新作」っぽいのだ。
調べたらやはり法事の茶であった。
そして、聴いてる最中は思い出さなかったのだが、サゲまで行くと、落語研究会で柳家蝠丸師が出していたような。
保存してる録画見たら、まさに蝠丸師のものがこれ。
インドの茶でなくて、チベットの茶だったけどもストーリーは一緒。
チベットだけに、八っつぁんにちべっと分けてくれる。
珍品好きの蝠丸師から来てるのかな。
寄席は、いつもの噺が掛かるところ。この日もそう。池袋だけはちょっと特殊だけど。
そんな中で毛色の変わった噺、実にいい感じ。